研修後1回きりでは効果なし。受講者アンケートのベストプラクティスとは?

1)研修効果測定においてアンケートでカバーできること
多くの企業は企業研修の効果測定のため、受講者へのアンケート調査を実施しています。しかし、アンケートは研修が終わった直後に1回だけ実施されるケースが多く、本当にその結果だけで研修に効果があったと証明できるのでしょうか?
今回は、研修前後のマインドの変化や行動変容をしっかりと測定・評価するためのアンケート設計の方法や、注意点などを具体的な設問を交えてご紹介します。
研修の効果測定で、よく引用されるのが「Jack J. Phillips 研修の効果測定の5段階モデル」です。本来であれば下記図のレベル1〜5まで一貫して設計するのが理想ですが、アンケート測定に適している、レベル1の「研修受講後の反応」と、レベル3の「研修受講者の実際の職場行動の変容」に絞ってアンケートの設計を行っていきます。
研修効果をアンケートで正確に測定・評価するためには、研修直後〜職場実践後の2回にわたって調査を実施する必要があります。レベル1は研修直後に、レベル3は行動変容が起きる職場実践を経た3ヶ月〜6ヶ月後の段階で実施します。
レベル1の段階では、どのようにして研修内容を職場で実践するのか、下記のように具体的なイメージを研修直後に持ってもらうことが大切です。
– 研修実施前・後とでどのような捉え方の変化があったか
– 職場で活用するイメージが湧いたか
– スキルを活用することでパフォーマンス向上ができると感じたか
また、レベル3の段階では、日常業務での研修成果の実践度合いを測るため、より具体的なエピソードについて回答してもらう設計にしていきましょう。
2)1回目のアンケートで成果を意識させる仕組みづくりを
では、アンケートの設計と、運用上のポイントについて解説していきます。
効果測定を意識したアンケートの設計においては、一般的な研修後のアンケートの、研修内容全般に関する設問、マインドセット、講師や教材に関する設問に加えて、「目標・課題の達成」に関する設問を盛り込んでいくのがポイントです。
まず、研修直後に行うレベル1のアンケートの設問例を見ていきましょう。
①目標に対する進展
研修前後で能力が向上した値と、その数値の根拠を受講者に説明してもらうことで、当初設定した目的(研修の目的)が、どの程度達成されたかを把握することができます。
②職場のイメージを具体的計画の策定
学んだ事を活用できそうな場面をできるだけ多く回答してもらいます。この時に、活用場面が具体的に思い浮かべられなければ、その活動が実際の行動に繋がることはないでしょう。活用場面のイメージ数と具体性は、どれだけ行動の可能性が上がるかに直結します。
③職場で実践する際の障害・改善点の把握
学んだ内容を実践する上で、ボトルネックになっている事や、上司や同僚の助けが必要な項目を洗い出し、受講者の成果の妨げとなっている問題解消の手助けを行いましょう。
このレベル1のアンケートを運用する上で重要なのは、アンケート内容を研修前に受講生に見せておくことです。こうすることで、これらの項目をしっかりと埋められるよう、受講者は責任を持って受講してくれます。
アンケートは、単なる調査方法だけでなく、受講者の意識づけにも役立たせることができます。
3)2回目のアンケートで行動変容が見えてくる
次に、職場実践後に行うレベル3の設問例を見ていきます。
①実践計画の達成度
研修直後に立てた実践計画を何パーセント達成できたか、具体的に何を行ったのか回答してもらいます。この情報を蓄積していくことで、定性的なデータとして研修の振り返りに活用することができます。
②成功・失敗のエピソード
研修のおかげで得られた成果や、できるようになった成功エピソードと、行動計画を立てたものの実践できなかったこと、上手くいかなかった事など、失敗エピソードを回答してもらいます。両方をしっかりと分析することで、今後の研修改善にもつなげていくことが期待できます。
③研修内容を踏まえて得られた成果
研修で学んだ内容で印象に残っている事を、一定の期間を置いて質問をすることで、その研修がどれだけ印象に残っているのか、研修内容を普段から意識して実践ができているのか、研修の定着度合いを把握することができます。
また、研修受講のおかげで回避できた失敗やリスクなどの設問を入れる事で、リスクマネジメントの観点からも評価ができます。
レベル3の職場実践後のアンケートを運用する際には、レベル1で回答した内容を横に置き、振り返りながら回答してもらうことがポイントです。
いかがでしたか?今回ご説明した設問を全て取り入れる必要はありません。自社の研修内容やビジネスインパクトから逆算したアンケート設計を行いましょう。そして、研修直後と数ヶ月後の2回にわたって実施することで、研修効果として担保できるマインドの変化や行動の変化が証明できるでしょう。
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