ゲーミフィケーションを学習設計に取り入れる

本日の記事では、学習をより効果的にするために「ゲーミフィケーション」をいかに取り入れるか、設計するか、という点について、お役に立てる内容をご案内致します。企業での研修や学校での学びにおいて、より”効果的に” ”楽しく” 学習を進めていきたい方はぜひご一読ください。

ゲーミフィケーションとは

 ゲーミフィケーションとは、ゲームデザイン要素やゲームの原則をゲーム以外の物事に応用する取り組みです。 例えば、ゲームにでてくる「レベルアップ」や「スコア競争」など、ゲームで利用される要素を盛り込むことで、参加者を楽しく熱中させ、学習や目標達成へのモチベーションを高めようとするものです。
近年では、学校教育や企業研修、マーケティングの手法として導入されており、とくに学習においてはeラーニングとの相性がよく、成功例も多数出ていることから注目されています。

人材開発の世界最大の組織であるATD(Association for Talent Development)は、Talent LMSの「The 2018 Gamification At Work Survey」(2018年 仕事におけるゲーミフィケーション)の調査結果の中で下記のように報告しています(1)

・適切に設計されたゲーミフィケーションベースのトレーニングは、様々なレベルで組織と学習者の両方に助けになる
・ 従業員の80%は、職場でのゲーミフィケーションソフトウェアの使用を楽しんでいる
・従業員は、ゲーミフィケーションによって、仕事においての生産性(87%)、積極性(84%)、幸福感(82%)が向上すると感じている
・ゲームをする回答者の75%は、仕事をゲームのようにすれば生産性が上がると考えている
・ 年上の従業員は、若い従業員よりもゲームの要素に動機付けられる

 若い世代だけではなく、年上の世代にも動機づけが行え、従業員の積極性や幸福感に結びついているゲーミフィケーション、学習設計に生かさない手はありません。
今回は、ワーバック、ハンター著、「ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義」(2)からそのエッセンスを抽出したいと思います。

ゲームを楽しくする3つの要素

 まず基本的な設計として、ゲームを楽しくする3つの要素が挙げられています。

 ①自発的であること

参加者は、強要されることなく、自分が能動的に選択し、参加していることが重要です。「人にやらされる」ことはモチベーションを削ぐ一番の要因になります。

 ②ルールがあること

参加者はゲームにおいて、現実世界とは異なるルール・制約の中で動くことになります。

 ③フィードバックがあること

参加者の行動に対して適正なフィードバック(結果)が与えられること。また、参加者の習熟度によって最適な達成感や成長を与えることが重要です。特に単調なフィードバックよりサプライズ的なものの方が喜ばれると言われています。

ゲームの一般的要素はPBL

ゲーミフィケーションの最も一般的な要素はP(ポイント)、B(バッチ)、L(リーダーボード)の3つです。それぞれを解説いたします。

①P(ポイント)

 行動や結果に対して、ポイントを与えます。ポイントには以下の効果があります。
−効果的にスコアを記録する
−勝敗がある場合、勝った状態を示す
−ゲーム進行と外的報酬を結びつける
−フィードバックを提供する
−進捗を対外的に示すことが出来る
−データを蓄積する

②B(バッチ)

 バッチとは、ポイントをより大きな塊にしたものです。ある目標をクリアした場合に参加者に付与するフィードバックとして提供されます。バッチの特徴は以下となります。
−ユーザーが取り組んでいく目標となる
−ユーザーが出来ることのガイダンスとなり、期待されていることを端的に示す
−ユーザーが気にかけていることや実行したことのシグナルになる
−ステータスになる
−グループの目印として機能する。同じグループの人同士のアイデンティティを生む

③L(リーダーボード)

 参加者同士を比較した際の立ち位置を示すものです。参加者に自分が進歩していることを知らせることができます。ランキングなどが代表的なリーダーボードとなります。
適切な状況であれば、リーダーボードは強力な動機づけとなり得えますが、その一方で、リーダーボードはモチベーションを殺いでしまう恐れがあるとも言われています。ビジネス環境でリーダーボードだけを導入すると、業績の強化よりも後退につながることが多いとする調査結果もいくつか存在します。

 上記のPBLはもっとも一般的ですが、ゲーム要素はこれだけではなく、ダイナミクス(原動力、仕組みの包括的側面、制約や物語など)・メカニクス(プレーヤーの行動を前進させ、ゲームに関与させる基本的プロセス、チャレンジや競争など)・コンポーネント(具体的構成要素、リーダーボード、レベル、ポイントなど)といった要素も含まれます。

 ダイナミクスが5項目、メカニクスが10項目、コンポーネントが15項目あり、それぞれがゲーミフィケーションを成り立たせ、盛り上げるためのポイントになっています。本記事では解説は割愛させていただきますが、ゲーミフィケーションの要素を詳細に知りたい方はぜひ、ワーバックの「ウォートン・スクール ゲーミフィケーション集中講義」をご参考ください。

学習に取り入れるにはどうすればよいか

 では具体的に学習にゲームを取り入れるにはどうしたらよいのでしょうか。ワーバック氏は「ゲームをデザインする6つのステップ」を定義しておりますので、そのステップにそって設計することで、具体的に要素を取り入れることができます。

1、ビジネス目標を定義する

ゲーミフィケーション・学習を通して実現したい目標を決めます。売上の向上や、顧客維持・ブランドロイヤリティの向上などの成果を決めます。

2、対象とする行動を具体的に考える

参加者に対して学習・ゲームを通して、何をやってもらいたいか、それをどう測定するか。例えば、「学習時間を伸ばす」「課題の提出率を上げる」などの「行動」を決めます。

3、プレーヤーを細かく設定する

 「参加者は一人ひとり異なる、同じでない」ということを念頭におき、参加者を詳しく設定します。どんな人が参加するのかを想定することが、適切なゲーム設計に繋がります。

4、アクティビティサイクルを作る

エンゲージメントループ(プレーヤーが何をするか、なぜそれをするのか、それに応じた仕組みづくりでは何をすべきか)、進捗ステップ(プレーヤーが進んでいく道のり)を考えてつくります。
進捗ステップでは、「初めのステップは非常にシンプルかつ誘導的にしておき、プレーヤーをゲームに招き入れる」(オンボーディング)ことが重要です。一休みとチャレンジを組み合わせることで、熟達しているという満足感と、達成感を与えることが重要です。一言でいうとレベルアップやバッチの設計が上記に当たります。

5、楽しさを忘れない

「誰もが同じ種類の楽しさを求めている」「参加者の好みは変わらない」と思い込んではいけません。その仕組みが”楽しい”かどうかを見分ける最善の方法は、厳格なデザインプロセスを通じて開発、試験、改良を繰り返していくことです。最初にうまく設計されたゲームを作るのは非常に難易度が高いので、常に観察しつつ、考え、作り続ける事がポイントとなります。

6、適切なツールを活用する

 上記のステップを実現するための適切なツールを活用する必要があります。特に学習においては、どの程度学習を行ったか、ということを可視化できるツール・仕組みは特に重要になります。手っ取り早いのはLMS(Learning Management System)を導入し、だれがどこまで学習したかを管理する方法ですが、システムを導入せずとも、例えば学習した量(例えばページ数や回答したドリルの数等)を単純に積み上げて棒グラフで壁に張り出すといったことでも実現することは可能です。

ゲーミフィケーションの事例

・マイクロソフト「Language Quality Game」

 マイクロソフトの製品は様々な言語に翻訳されていますが、それぞれの言語が正しい表示・表現になっているかを確認する膨大なチェックが必要になります。そこで、言語の緻密なバグチェックをゲーム化し、バグを見つけるたびにポイントが得られるようにし、言語間で競わせる仕組みを作ったという事例です。結果、任意で4,500人が参加し、500,000ページをレビュしたと報告されています。(3)

・ウォルマート「従業員向け安全トレーニング」

大手量販店のウォルマートでは、配送センターの従業員の安全トレーニングにゲーミフィケーションを導入しました。フォークリフトの充電には約3分かかるそうですが、その3分間にゲーム要素のあるトレーニングを取り入れ、ポイントを付与し、ランキング形式で楽しく学び合う仕組みを作りました。わずか3分間のゲームが安全手順の重要性を認識させ、インシデントが54%減るという効果を上げました。(4)

いかがでしたでしょうか?

UMUは上記のゲーミフィケーションの要素を抑えたマイクロラーニング設計を得意としています。PBLの要素はもちろん、例えば、学習したコースごとに付与するポイントを自由にデザインすることができ、より効果的にゲーミフィケーションを活用しながら学習を促すことが出来ます。

 他にもUMUではどんな学習設計ができるのか?など、皆さまがイメージ、期待いただいている効果をぜひ教えてください。その効果に対してどういう学習設計がUMUで実現可能か?などご案内ができればと思います。

 


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