ビジネスや企業に欠かせないオンボーディングとは?目的とプロセス
「新入社員が離職してしまうのを防ぎたい」「スムーズに組織になじむ手助けをしたい」と考えている企業も多いでしょう。
また自社で商品やサービスを取り扱っている場合、継続利用してもらうための施策にお悩みの方もいるのではないでしょうか。
オンボーディングとは企業が新しく入ってくる社員に対して受け入れ体制を整えたり、商品やサービスを購入したお客様がスムーズに利用できるようにサポートするプロセスです。
今回はオンボーディングの重要性や、具体的なプロセスについて解説します。
また成功している企業の事例についてもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
適切なオンボーディングを行い、離職や解約を防ぐのに役立てましょう。
IT用語のオンボーディングとは?どんな意味なのか
「オンボーディング」は、「船や飛行機などに乗る」という意味の「on-board」が由来になったIT用語です。
企業という船や飛行機に新しく乗り込む社員が、スムーズに乗り込めるようサポートする体制を整えることを指します。
日本では「オンボーディング=新人研修」と捉えている企業も多いでしょう。
しかし、これまでの新人研修は一時的なものが多く、新卒社員の早期離職や中途採用社員がその実力を発揮できないなどの問題が多発していました。
そこでオンボーディングのように、中長期的に新入社員をサポートする体制に注目が集まっているのです。
オンボーディングの目的は?企業と社員のメリット
オンボーディングは企業側にも社員側にもメリットがあります。
ここからはオンボーディングのメリットや目的を企業と社員、それぞれの立場から見ていきましょう。
企業がオンボーディングを取り入れるメリット
企業がオンボーディングを取り入れるメリットは大きく分けて以下の2つです。
- 新入社員が離職するのを防ぐことができる
- 生産性アップが見込める
新入社員がもっとも転職しやすいのが入社1年目と言われています。
オンボーディングを取り入れて業務に入りやすい体制を整えて、入社後も継続していくことで、新入社員の離職を防ぐことができるでしょう。
また離職率が下がれば、新規採用にかけるコストも減らすことが可能。
さらに新入社員が活躍しやすい環境作りは、企業としての生産性アップも見込めるでしょう。社員1人1人の生産性をアップしたいと悩む方におすすめなのが、UMUの記事『生産性を上げる方法5選!フローの見直しや5S導入で生産性アップ!』です。ワークフローを見直して生産性を向上させる方法5つを紹介しているので、ぜひご覧ください。
オンボーディングの他に研修が終了してから行うフォローアップ研修で悩む担当者も多くいます。フォローアップ研修を行う理由や、どんな内容がベストなのかを詳しく知りたい方は、詳しい事例や2年目のフォローアップ研修についても紹介しているので、UMUの記事『フォローアップ研修を行う目的は?おすすめの内容とカリキュラム3つ』をご覧ください。
社員がオンボーディングを受けるメリット
社員がオンボーディングを受けるメリットは、おもに以下の2つです。
- 仕事のモチベーションがアップする
- チームとしての団結力が上がる
入社後にオンボーディングを受けると、スムーズに業務に取り掛かりやすくなるだけでなく、社員同士の交流が生まれます。
先輩社員が指導してくれたり、交流してくれたりすることで「自分は必要とされている」「チームの一員である」と認識できるため、仕事へのモチベーションが上がるでしょう。
新入社員が離職する理由として多く挙げられるのは、職場内での疎外感を感じることです。
コミュニケーションや指導の場が少ないと「自分は必要ないかもしれない」とマイナスに捉えてしまうこともあるでしょう。
また業務について気軽に相談できるメンターがいないと、仕事に行き詰まって離職につながるケースも少なくありません。
そのため、社員にとってもオンボーディングを受けることは大きなメリットがあると言えます。
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オンボーディングは新入社員の受け入れだけでなく、サービスにおいても取り入れたいプロセスの一つ。
「SaaS」においても、オンボーディングは重要視されています。
ここからはSaaSにおいてのオンボーディングについて、以下の項目に分けて見ていきましょう。
- SaaSにおいて注目されるオンボーディングとは
- SaaSにおけるオンボーディングのメリット
- オンボーディングはアプリにおいてもメリットがある!
今後SaaSサービスを提供していく上で、オンボーディングは解約を防ぐために役立ちます。
ぜひチェックして、参考にしてみてください。
SaaSにおいて注目されるオンボーディングとは
「SaaS」とは企業が提供するクラウドサーバー上のソフトウェアを、ユーザーがインターネットを経由して必要な部分のみを利用できるサービスです。
SaaSは年額や月額でサービスを提供するのが一般的なので、いかに新規ユーザーの解約を防ぐ対策をするかが重要。
そこで新規ユーザーにサービスの良さや使いやすさを知ってもらい、解約を防ぐ方法としてオンボーディングが注目を集めているのです。
つまりSaaSにおいてのオンボーディングとは、新規ユーザーの満足度を高め、サービスを継続して利用してもらうための取り組みと言えるでしょう。
SaaSにおけるオンボーディングのメリット
オンボーディングを取り入れてユーザーの解約を防げば、サービスの売り上げを安定させることができます。
オンボーディングを取り入れるコストはかかるものの、ユーザーの満足度が高ければ、結果的にクレームや新規顧客獲得にかけるコストを削減できます。
つまりSaaSにおいてオンボーディングを取り入れることは、将来的なコストダウンにつながるでしょう。
さらにサービスに対しての満足度が高い顧客は、プラスαのサービスやアップグレードしたサービスを利用してくれる可能性が高まります。
そのため、SaaSにおいてオンボーディングは必要不可欠な取り組みとも言えるでしょう。
オンボーディングはアプリにおいてもメリットがある!
サブスクリプション型のSaaSだけでなく、買い切りのアプリにおいてもオンボーディングは大きく役に立つでしょう。
アプリをダウンロードしたユーザーの評価を上げることは、新たなユーザー獲得に直結します。
また適切なオンボーディングは有料プランへの加入、アプリ内課金などにつながるでしょう。
アプリにおいてのオンボーディングで大切なのは、できるだけ早くユーザーが目的を達成できること。
最初に満足度を感じたユーザーはアプリをアンインストールする可能性がグッと低くなります。
またユーザーが使いやすいように、シンプルで分かりやすい操作性も重要です。
アプリにおいては、より簡潔なオンボーディングが大切となってくるでしょう。
SaaSにおけるオンボーディング方法とは?3つに分かれている
SaaSにおけるオンボーディングの方法はターゲットによって変わります。
ターゲットが以下の3つのどこに当てはまるのかをチェックし、適切なサポートを行いましょう。
- ハイタッチ
- ロータッチ
- テックタッチ
では、それぞれの特徴やオンボーディングの方法を見ていきましょう。
ハイタッチ
ハイタッチとは、大きな費用を使ってサービスを利用する可能性が高い顧客(企業)に手厚いサポートを行うことです。
大きな企業や歴史のある企業ほど、組織で利用するサービスを変えたり、新しいサービスを導入する際は一筋縄ではいかないもの。
そこでハイタッチ客に対しては、直接訪問してサービス導入をサポートしたり、社内で勉強会などを開催したりします。
サービス導入への障壁を取り除くための手厚い取り組みを行いましょう。
ロータッチ
ロータッチとは、ハイタッチよりもサービスを導入する際の費用が高くない顧客(企業)に行うサポートで、手間と利益のバランスを見ながら実施します。
一般的にはユーザーを招いたワークショップや勉強会の開催を行うケースが多いでしょう。
ロータッチ客はハイタッチ客と比較すると、サービスにかける費用は小さいものの、ハイタッチ客よりも導入への障壁が小さいことが多いです。
ロータッチ客が増えればハイタッチ客よりも大きな利益を生む可能性があるので、手間をかけすぎないにしろ、丁寧なサポートが必要と言えるでしょう。
テックタッチ
テックタッチとは、ハイタッチやロータッチよりもさらにサービス導入にかける費用が少ない顧客に対して行うサポートです。
企業だけでなく個人も対象になるため、SaaSやアプリを提供する場合は、確実に行っておいた方がいいサポートと言えるでしょう。
テックタッチ客へのサポートはおもに以下のとおりです。
- 使い方が分かる動画を提供する
- チュートリアルを準備し、早い段階で達成感を得てもらう
- サービスの変更やアクションをメールや通知で知らせる
- コミュニティやナレッジスペースを作り、ユーザーの疑問を早期解決する
オンボーディングのプロセスとは?5つのステップ
オンボーディングはおもに以下の5ステップで行います。
- 自社やサービスについて理解する
- 対象者にとってのゴールを設定する
- 意見を集める・意見をすり合わせる
- データを分析する
- PDCAを回す
正しいプロセスを覚えておくことで、より効率的に効果のあるオンボーディングを行うことができるでしょう。
新入社員に対してもSaaSなどのサービス提供に対しても活用できる考え方なので、ぜひ参考にしてみてください。
①自社やサービスについて理解する
適切なオンボーディングを行うために大切なのが、自社について、または提供しているサービスについて理解を深めることです。
たとえば以下のような項目をチェックすると、自社や提供するサービスの全体像が見えてくるでしょう。
【新入社員に対するオンボーディング】
- 社内の雰囲気はどうか
- 社員同士コミュニケーションは取れているか
- 正当な評価がされているか
- 社員が働きたいと思う環境か
【サービスに対するオンボーディング】
- サービスの強み、できることは何か
- ターゲットは誰か
- ほかにはない個性は何か
- いつ・どのタイミングで使うのか
新入社員に対するオンボーディングは、まず準備を整えることが何よりも大切です。
入社後にいくら手厚いサポートを行っても、会社自体が魅力的ではない、働きにくい環境では早期離職を防ぐことができません。
部下とのコミュニケーションが苦手・難しいと悩んでいる方は、UMUの記事『部下とコミュニケーションを図る!得られる効果・上手く取る方法5選』がおすすめです。ダメ上司に見られやすいNGコミュニケーションも併せて紹介しているので、ぜひご覧ください。
またサービスに対するオンボーディングの場合、サービスの特徴や強みを正しく把握するだけでなく、競合他社のサービスを把握することが重要となってくるでしょう。
②対象者にとってのゴールを設定する
次に対象者にとってのゴールを設定しましょう。
たとえば新入社員に対してのオンボーディングでは、新入社員にどのような人材になってほしいのかを考えることが大切です。
このように大きな目標である「KGI」をあらかじめ設定しておきましょう。
KGIを設定したら、KGIまでの細かいプロセスである「KPI」を設定します。
ゴールを決め、達成するには何が必要なのかを考えることで、やるべきことや必要なことが明確になってくるでしょう。
③意見を集める
SaaSにおいてのオンボーディングでは、実際にサービスを利用しているユーザーの意見が重要視されます。
そのため、アンケートを実施したり、コミュニティスペースで意見を集めたりして、ユーザーとのコミュニケーションを大切にしましょう。
継続利用しているユーザーだけではなく、解約したユーザーの意見にも耳を傾けると、サービスをより良いものにブラッシュアップしていくためのヒントが見つかります。
また新人研修においては、新入社員が配属される部署でどんな人材が必要とされているのか、どんな新入社員を求めているのかなど、期待値をすり合わせておくことが重要。
現場の意見を集めることで、能力に見合う部署に新入社員を配属させたり、適切なメンターを選任したりすることができるでしょう。
④データを分析する
オンボーディングを実施したら、データを分析して良い点や悪い点を把握しましょう。
ステップ2で設定したKPIやKGIなどをベースに、達成できた部分と達成できなかった部分を洗い出します。
また行った取り組みがどのように結果に結びついているかも分析しましょう。
⑤PDCAを回す
ステップ4まで行ったら、またステップ1に戻り、何度も繰り返しましょう。
この一連の流れは以下の頭文字を取って「PDCA」と呼ばれています。
- Plan:計画やゴールを決める
- Do:実行する
- Check:チェック、分析する
- Action:改善する
このようにPDCAサイクルを回すことで、自社のサービスをより良いものにしたり、新入社員が活躍しやすい環境づくりに役立てたりできるでしょう。
オンボーディングの事例は?有名企業の実例を紹介!
ここまでオンボーディングの重要性や具体的なプロセスを解説してきましたが、実際にオンボーディングを取り入れている企業は多数あります。
今回は数ある企業のなかでもオンボーディングを取り入れて成功した事例のある企業について、紹介します。
- GMOペパボ株式会社
- サイボウズ株式会社
- コネヒト株式会社
成功事例を参考にして、自社に最適なオンボーディングを行っていきましょう。
GMOペパボ株式会社
GMOペパボ株式会社では新入社員がワクワクするようなオンボーディングが実施されています。
「新しく入社した人を歓迎しよう」という考えのもと、入社した社員と先輩社員が気軽に交流できる場「ペパボカクテル」「ランチワゴン」などを設けています。
入社した社員はまず社内チャットツールである「カクテルチャンネル」に参加。
カクテルチャンネルではGMOペパボの先輩社員が積極的に交流してくれるため、職場環境に馴染みやすいでしょう。
このようにGMOペパボでは気軽にコミュニケーションできる環境やスペースを提供することによって、オンボーディングを成功させています。
サイボウズ株式会社
サイボウズ株式会社の特徴は、一風変わった報酬額の決定システムです。
というのもサイボウズ株式会社では社内の基準ではなく、市場価値で報酬額を決定しています。
採用する人の能力はもちろん、市場のデータを収集したり、本人の希望を聞いたりして報酬を決めるので、納得した上で入社することができるでしょう。
またサイボウズ株式会社では、時期に関わらず社員がいつでも異動希望を出すことが可能。
アプリ内で異動希望を出すとすぐに人事で検討が始まり、可否が決まります。
また興味のある部署の体験もできることから、自分のやりたい仕事、自分に適した仕事が実現できるでしょう。
コネヒト株式会社
コネヒト株式会社では入社後90日間を重要視して、おもに3つの柱でオンボーディングを行っています。
- クイックウィンの支援
- カルチャーの理解支援
- コミュニケーション支援
業務スキルアップやコミュニケーションに関するサポートはもちろん、注目したいのが「クイックウィンの支援」です。
クイックウィンは大きな目標を定めつつ、小さな成功体験を積み重ねていくことを意味しています。
入社後、短期間で成果を上げることができれば、新入社員のモチベーションアップだけでなく、周囲からの評価アップも期待できるでしょう。
オンボーディングは適切なステップで行うのが大切!
新入社員に対するオンボーディングは、段階を踏んで行うのがおすすめ。
というのも、社員の能力やペースに合わないオンボーディングを行っても全く効果がないどころか、むしろ早期離職につながる可能性もあるからです。
ラーニングプラットフォーム『UMU』を活用すれば、eラーニングと現場でのOJTを組み合わせて効果的なオンボーディングを行うことができます。
テレワーク化や働き方改革が進むなか、注目されている「eラーニング」について気になる方は、eラーニングを導入するメリットや導入方法を分かりやすく解説しているので、UMUの記事『無料のeラーニングとは?無料で導入するメリット&デメリット』をご覧ください。
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オンボーディングは新入社員や中途採用社員が活躍しやすい環境づくりだけでなく、SaaSやアプリなどのサービスを提供する際にも欠かせないプロセスです。
新入社員に対するオンボーディングは、早期離職を防いで会社の団結力アップやコミュニケーションの活性化につながるでしょう。
サービスにおいてのオンボーディングは、継続利用が見込めたり、プラスαのサービス購入が見込めます。
しかしオンボーディングは準備をしっかり行い、段階を踏みながら進めていくことが重要。
場合によってはオンラインプラットフォームなどを活用し、スムーズで最適なオンボーディングを行いましょう。
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