ブレンディッド・ラーニング 研修設計に活用できるテクノロジーとは

コロナ禍によって企業内研修のオンライン化が進む中で、研修におけるテクノロジーの役割が改めて注目されています。
「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」が進む中で重要視される「学びのDX」において、テクノロジーは必要不可欠なものです。
今回は、企業内研修におけるテクノロジーの活用について、その具体例や、よりよい活用のための考え方などをご紹介します。
▼前回までの記事はこちら
1.ブレンディッド・ラーニングとは? 社内研修で抜群の成果をあげる最先端の学び方
2.ブレンディッド・ラーニング成功のカギ。成果につながる効果測定とは?

 

この記事を読んで得られること

・研修におけるテクノロジーの正しい位置づけ
・研修に活用できるテクノロジーの種類、具体的なツールやサービス
・研修でテクノロジーを活用するためのポイント

 

目次

ブレンディッド・ラーニングの軸となる理論「TPACK」
テクノロジーを応用して、学習のあり方を変換
ブレンディッド・ラーニングで活用できる「3つのテクノロジー」
手段と目的を考え、用途開発をしながらテクノロジーを応用

 

ブレンディッド・ラーニングの軸となる理論「TPACK」

まずは、ブレンディッド・ラーニングにおいてパフォーマンス向上の軸となるラーニング理論「TPACK」を通じて、学習におけるテクノロジーの位置づけを考えてみましょう。

TPACKは、「テクノロジー」「コンテンツ」「教育学」の3つを組み合わせた学習理論です。

テクノロジーは技術に関する知識(TK:Technological Knowledge)、コンテンツは学習内容に関する知識(CK:Content Knowledge)、教育学は教育に関する知識(PK:Pedagogical Knowledge)を指します。この3つの要素が、ブレンディッド・ラーニングにおける研修設計の土台です。

これらを目的に合わせて統合させるのが、TPACKの最大の特徴です。3つの要素を最適化することで、パフォーマンス向上につながる研修が設計できます。

 

テクノロジー、コンテンツ、教育学のブレンドが重要

現代では、最先端の学習というとテクノロジーにフォーカスが当たりがちです。

しかしTPACKではテクノロジーだけでなく、コンテンツや教育学も重要視しています。
3つの要素を組み合わせて、どうすれば学習が定着するのか、人が前のめりに学習して成果に結び付けられるのかを追求しているのです。

 

テクノロジーを応用して、学習のあり方を変換する

企業内研修におけるテクノロジーとは、学習提供手段としてのウェブサービスやツール、その他、目的や学習シーンに応じて使用するシステムを指します。

ここで、ルベン・プエンテドゥラ博士が2010年に提唱した 「SAMRモデル」をご紹介しましょう。これは、テクノロジーが従来の学習に与える影響を示す尺度のことで、以下の4つの段階があります。

・代替 (Substitution)
・拡大 (Augmentation)
・変容 (Modification)
・再定義 (Redefinition)

「代替」と「拡大」は「強化」、「変容」と「再定義」は「変換」と表現されます。
いま求められているのは、テクノロジーで学習を「強化」するだけではなく、学習そのもののあり方を「変換」し、新たな価値を生み出すことです。

そのためのポイントは、テクノロジーを「利用」するというより「応用」するということ。
テクノロジーの応用とは、最新のテクノロジーを生かして、学習の最適なブレンドのあり方を試行錯誤していくことです。

 

ブレンディッド・ラーニングで活用できる3種類のテクノロジー

研修で活用できるテクノロジーの種類や特徴を知るために、まずは「ラーニングピラミッド」という理論を紹介しましょう。

これは、学習方法とそれによる定着率を、ピラミッド型の図で表すことができるとする理論です。上から順に「講義」「読書」「視聴」「デモンストレーション」「グループ討論」「実体験」「他者への指導」となり、下に行くほど定着率が高くなります。

ピラミッドの上四つはインプット、下の三つはアウトプットです。
これをもとに、研修で活用できるテクノロジーは次の3種類に分けられます。 

1インプット(情報提供、知識移転、方法理解) 
2アウトプット(ディスカッション、練習、協調学習) 
3エバリュエーション(評価、フィードバック、学習管理)

1 インプット

動画や文章、ファイルなどを使った情報や知識、方法論の伝達などがこれにあたります。実演動画やライブ配信で「デモンストレーション」もできます。

2 アウトプット

ディスカッションや練習などのアウトプットをオンラインで可能にするのが、インタラクティブなテクノロジーです。
具体的には、アンケートや質問、ディスカッション、試験、ロールプレイ動画などがあります。
たとえばUMUの「AIコーチング」を使えば、練習を一人ですることも可能です。スマートフォンに話しかけると、AIが声のトーン、表情やジェスチャー、話す内容などを評価。気軽にくり返し練習ができます。

3 エバリュエーション(評価、 フィードバック、 学習管理)

主に研修の提供者側が活用するのが、評価や管理のためのテクノロジーです。
評価のためのテクノロジーは、試験やアンケート、課題提出によって習熟度のアセスメントをしたり、学習終了時や一定期間後に、研修の成果を確認したりするもの。
そして管理のためのテクノロジーは、 eラーニングのために発展してきた「LMS(Learning Management System)」が代表的なものです。
学習時間や実施回数だけでなく、試験結果や上司からのフィードバック(指導の質と量)も管理できます。

 

具体的なツールやサービスの例をご紹介しましょう。

・情報伝達ツール
文章、画像、動画、Power Point、PDF、note、notion

・会議システム(同期)
Webex、Zoom、Teams、Google Meet

・インタラクションツール(同期)
SLIDO、Mentimeter、Stormz

・ディスカッションツール(議論内容を視覚化) 
Whiteboard、Document、SpreadSheet、Slide、Jamboard、Miro

・アンケートツール
Google Form、SurveyMonkey

・ビデオフィードバック
Rehearsal、Reflectle、Tanren、ClipLine

 

手段と目的を考え、用途開発をしながらテクノロジーを応用する

テクノロジーを活用するうえで、最も重要なのは手段と目的を考えることです。
現代では、研修にテクノロジーを活用することは必須。しかし闇雲に多くのツールを採用すると、ツールを使うことばかりに目が行きがちになります。

重要なのは、各ツールとその使い方を十分に理解したうえで「用途開発」をすることです。

用途開発とは、既に存在している技術や商品を、別の使い方に適用する方法を考えること。
同じ目的のツールを広く浅く試し、特長を理解したうえで、最も目的に合うツールを徹底的に使いこみ、深く知ることが用途開発につながります。

たとえば、グループワークのアウトプットを、Googleスプレッドシートにシートを分けてまとめれば、シートを見るだけで講師は各グループの進捗を把握でき、参加者もほかのグループの学びを共有できます。
スプレッドシートが、学習管理や情報伝達のツールにもなるのです。
また、ラーニング関連以外のテクノロジーに目を向けることも、用途開発につながります。

たとえば、ウェアラブルデバイスについて知れば、学習者の観察・追跡に応用できないかと、考えを広げることができます。
研修設計者が楽しみながらテクノロジーを活用しコンテンツを設計すれば、その楽しさはコンテンツを通じて学習者にも伝わるでしょう。
テクノロジーを、ブレンディッド・ラーニングで目指す生産性の向上や成果に結びつけるためには、テクノロジーを知ったうえでそれを応用し用途開発する、主体的な運用が必要なのです。

過去の記事も是非あわせてご覧くださいませ!

 

▼前回までの記事はこちら

1.ブレンディッド・ラーニングとは? 社内研修で抜群の成果をあげる最先端の学び方
2.ブレンディッド・ラーニング成功のカギ。成果につながる効果測定とは?
4.コンテンツの揃え方で効果が変わる「ブレンディッド・ラーニング」

▼参考文献
小仁 聡『ブレンディッド・ラーニング〜新リモート時代の人材育成学』(フローラル出版、2021)
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