38,000人規模の教育DX。ソラストが実現した、研修修了率90%を3カ月から1カ月に短縮した教育DX

医療・介護・保育の現場を支える株式会社ソラスト。約38,000人の社員が全国で活躍する同社では、従来のeラーニングに「閉塞感」という大きな課題を抱えていました。その状況を打破すべく、学習プラットフォーム「UMU」を導入。社員の学習体験を根底から変え、わずか1カ月で研修修了率90%達成、大幅なコスト削減、そして社員の自己効力感向上という目覚ましい成果を上げています。
今回は、導入プロジェクトを推進された安西庸子さんに、旧来のシステムが抱えていた課題から、UMUを選んだ決め手、そして学習文化の変革に至るまでの道のりについて詳しく伺いました。
企業情報
社名:株式会社ソラスト
本社所在地:東京都港区港南2-15-3 品川インターシティC棟12階
設立年月日:1968年10月
ホームページ:https://www.solasto.co.jp/
ログインすら困難。「一人で学習できない」eラーニングの限界
── UMU導入前、eラーニングシステムに「閉塞感」があったと伺いました。具体的にはどのような課題があったのでしょうか?
課題は複数ありました。まず、社員にとって学習の入口である「ログイン」そのものがハードルになっていました。弊社の事業は医療事務や介護・保育といったサービス業が中心で、日常業務でPCを頻繁に触らない社員も多く、年齢層も40代以上の方が多くいらっしゃいます。そのため、「パスワードが分からない」「ログインできても、どこに何があるか分からない」という声が頻発し、端的に言うと「一人で学習できない」状態でした。
また、以前のシステムはスマートフォンに対応しておらず、操作も直感的ではなかったため、学習意欲の低下を招いていました。特にコロナ禍以降、集合研修ができなくなり、新入社員には初日から「eラーニングで7時間勉強してね」という一方的な学習をお願いするしかありませんでした。これでは会社へのエンゲージメントも高まりません。
さらに、管理側の負担も深刻でした。研修の終了条件はテストで100点を取ることでしたが、未了者への後追いはメールや口頭伝達などによる「人海戦術」。多大なコストと時間をかけて、3カ月がかりでようやく修了率90%に到達するという状況で、毎月これを繰り返すのは非常に大変でしたね。
「ピアラーニング」が他社と違った。UMUで目指した「学びあいの場の再現」
── さまざまな学習管理システム(LMS)がある中で、UMUを選ばれた決め手は何だったのでしょうか?
「ピアラーニング(学びあい)」の機能が他社と全く違ったことです。これが決め手でした。コロナ禍以前、ソラストでは異なる病院の社員同士が交流し、情報交換する文化がありました。それがコロナ禍で失われ、組織がマンネリ化してしまう懸念があったのです。
UMUを使えば、いつでもどこでも他の病院の社員とセッションできる。この「学びあいの場」をオンラインで再現できると期待しました。単に動画を見るだけでなく、自分の経験を共有したり、他者の意見に触発されたりすることで、社員が「自分で進んで学習する動機づけ」にも繋がると考えたのです。
3カ月を要した研修が1カ月で完了。時間とコストの削減、そして「自ら学ぶ文化」の醸成へ
── 導入は3カ月という短期間だったそうですが、どのように進められたのですか?
本来は6カ月の予定でしたが、急遽3カ月に短縮されました。そこで私たちは、一番難しい対象である「新人」から始めることにしました。ITに不慣れな方も多く、学習へのモチベーション維持が難しい新人層で成功すれば、全社展開もスムーズに進むと考えたからです。
成功の鍵は、現場の上司であるマネージャーの理解を得ることでした。約500名のマネージャー向けに何度も説明会を開き、デモ環境を実際に触ってもらう機会を設けました。これにより、上司が部下をサポートする体制を整えることができ、大きな混乱なく導入を進めることができました。
── スマートフォンアプリの導入に、現場からの反発はありませんでしたか?
事前には「私物のスマホを使うことに反発があるのでは」と懸念されていましたが、実際にはほとんどありませんでした。むしろ、通勤時間などを使って専門用語を気軽に調べられる利便性が受け入れられたようです。医師や患者さんとのやり取りで専門知識が求められるため、手軽に学べる環境は社員のストレス軽減にも繋がったのだと思います。
── 導入によって、どのような成果が生まれましたか?
まず、研修の運用工数が大幅に削減されました。以前はコンテンツをLMSに掲載するだけで1〜2日かかっていましたが、今では数時間で完了します。動画のナレーション追加なども、UMU内で完結するため外部サービスが不要になりました。これにより、担当者はコンテンツの企画や改善といった、より本質的な業務に時間を使えるようになりました。
そして最大の成果は、学習者の変化です。これまで3カ月かかっていた修了率90%の目標を、わずか1カ月で達成できるようになったのです。
── 学習者の「自己効力感」も高まったそうですね。
はい。アンケートでは約9割の方が「自分で学習を進められる」と回答しており、導入前の「一人で学習できない」状態から著しく改善しました。UMUの直感的なUIは、年齢層が高い職場でも安心して導入できる証拠だと思います。
また、UMUのコメント機能やノート機能を通じて、学びの質も変わりました。単なるインプットで終わらず、「自分の業務ではこう活かそう」と経験と知識を結びつけて内省するコメントが目立つようになったのです。これは、人に見られるという良い緊張感と、チャット形式の書きやすさが両立しているからでしょう。知識のインプットだけでは「もう知っている」と感じてしまうベテラン層も、ピアラーニングを通じて自分の経験を他者に伝えるという形で、積極的に研修に参加してくれるようになりました。
今後の展望:社内コミュニケーションの活性化、そして業界全体への貢献へ
── UMUの活用は今後どのように広がっていきますか?
UMUは単なる研修ツールから、全社的なコミュニケーションサイトへと進化しています。これまで別のポータルサイトで発信していた社長メッセージや社内の出来事をUMUに集約し、双方向のやり取りを促しています。匿名の「お知恵を拝借」コーナーを設けて皆でアドバイスしあうなど、組織の活性化に繋がっています。
さらに、こうした社内での成功ノウハウを活かし、社外向けにも取り組みを広げています。「テラススタジオ」という医療事務専門のeラーニングサービスとして、私たちが現場で培った「生きる学び」を外部の医療機関に提供し始めました。年間100本の動画を追加していく計画で、将来的にはピアラーニングの機能も活用していきたいと考えています。
人材育成に課題を抱える担当者へメッセージ
── 最後に、同じように人材育成に課題を感じている担当者へメッセージをお願いします。
「管理するためのLMS」という使い方を見直してみてはどうでしょうか。会社が一方的に「やらせる」学習では、本当の意味での行動変容には繋がりません。大切なのは、社員が「自分で学びたい」と思える仕掛けを作ること。UMUの「学習の科学」に基づいた設計は、社員が自ら学び、日々の業務で成果を出す「パフォーマンスラーニング」を実現する上で、非常に有効な選択肢だと実感しています。
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まずはコレから!
組織のAI力を高める
実践型AIトレーニングとは?AIで企業の業績を向上させるためのUMUが提供しているサービスの特徴や実績、実現できることがわかる資料です。
人材育成でUMUのAIを活用した効果が数字でわかる企業事例に加え、最先端の生成AI知識を習得し、変化の激しいAI領域における最新の事例や技術トレンドをキャッチするためのポイントも紹介。さらに、事業会社でのAI活用事例を通じて、自社のビジネスへの応用イメージを膨らませることができます。