企業内人材育成のDX化
社員目線を重視したプラットフォーム選び

人事総務本部 人事部 人材開発課 専任課長 沢村麻衣子さん

 

株式会社ワコール様

株式会社ワコールは、1949年創立。ワコールグループとして世界約50カ国で展開し、 インナーウェアを中心とした繊維製品の製造、卸売販売及び一部製品の消費者への直接販売を展開。「世界のワコール」を目指し業界を牽引するリーディングカンパニーです。人材育成体系の見直しに伴い、部門単位ではなく、全社導入を前提として2019年の春からUMUの利用を開始しました。新入社員研修からマネジメント層向け研修まで、あらゆる学習シーンでUMUを活用しています。同社人事総務本部 人事部 人材開発課 専任課長の沢村麻衣子さんに、導入のきっかけ、目指した人材育成におけるビジョン、UMUの活用方法とその成果についてお聞きしました。
(2021年1月インタビュー)

 

企業情報

企業名   :株式会社ワコール
本社所在地 :〒601-8530 京都府京都市南区吉祥院中島町29
創業    :2005(平成17)年10月1日

資本金   :5,000百万円
ホームページ:https://www.wacoal.jp/

 

新たな人材育成体系の確実な実行にはラーニングテクノロジーが必要だと感じた

―UMUの第一印象について教えてください。

UMUを導入した他企業の人事部に知り合いがいて、UMUはユーザーインターフェースが使いやすくおすすめ、という話を聞きました。
調べてみると、まず目に入ったのがキリンのロゴと、ポップなビジュアル。
LMS(Learning Management System)というと堅苦しく、真面目な印象があったのですが、UMUは非常にカジュアルな見た目で、ついつい触ってみたくなるという印象で感覚的に魅力を感じたのを覚えています。情報社会からSociety5.0への移行期にいる私たちは部門や職種を問わず、複数のシステムを日々の業務の中で活用しています。それらは必要且つタイムリーに実行しなければならず、社員自ら進んでアクセスします。一方、「学びや自己啓発のためのシステム」については、緊急性がないため後回しにされがちです。だからこそUMUのもつ「見た目のカジュアルさ」や「アクセスの手軽さ」は重要なポイントだと感じました。

―UMUを選択する決め手になったのは何でしょうか。

当社の経営理念を表す言葉の一つに「より良きワコールはより良い社員によって造られます」という言葉があります。そこには「一人ひとりの社員が資質向上のため、切磋琢磨し精進努力してほしい。自立した社員が、助け合い、励まし合い、鍛えあって、より強く連帯できる」という、当社創業者の想いが込められています。UMUの機能を活用することで当社の人材育成のビジョンを多面的且つ加速度的に実現できると考え、導入を決めました。特に学習者同士がラーニングプラットフォームの中でコミュニケーションを取り合い、コメントや課題を共有できるなど、受講生同士の有機的なつながりを促進できるというUMUのユニークさに魅力を感じました。


WACOAL TERAKOYA社内資料より抜粋

遡るのですが、一昨年の秋頃から人材育成体系の見直しを行い、「WACOAL TERAKOYA」として、全社育成体系の再構築を始めました。

その過程の中で、創業者の人材育成に対する思い、言葉を探すことにしたのです。社内の資料室を管理していた先輩に協力をお願いし、複数の文献を集め片端から読み進めました。そして発見したのが、昭和54年10月9日に書かれた「ワコールの基本精神 -社員育成のために-」の中に記されていた「自立した社員が、助け合い、励まし合い、鍛えあって、より強く連帯してこそ、相互信頼の心情で結ばれた組織体を作り出すことができる」という言葉です。これを見つけてくださった先輩には感謝です。「見つけた!これこそがWACAOAL TERAKOYAの目指すべき姿だ。」と思いましたね。

冊子「ワコールの基本精神 -社員育成のために-」

経営理念、創業者の想いを受け継ぎながらも「WACOAL TERAKOYA」は、人材育成のビジョン・ミッション・プリンシパルを新たに定め、これまでの育成体系を一新するプログラムを構築しました。この構想を実現していくためのプラットフォーム(ラーニングテクノロジー)を探していた時にUMUと出会い、UMUの機能を活用すれば従前より増加する手上げ制の研修管理やセルフラーニングの拡充を実現できると思いました。したがって社内での上程に際はWACOALTERAKOYAの全体構想とプラットフォーム(UMU)をセットで提案しました。

WACOAL TERAKOYA社内資料(左:表紙 右:目次)

WACOAL TERAKOYA社内資料より抜粋

従前の階層別研修を軸とした育成体系では、職種や成長スピードが異なる多様な人材に対して画一的な研修を実施しており、そのことに違和感を持っていました。WACOAL TERAKOYAの特徴として「多様化する個人のキャリア形成において、必要となる学びは一人ひとり異なる」という前提に立ち、各々の適切なタイミングで必要な内容を自ら選択できるよう、手挙げ制の研修メニューやマイクロラーニングで学べるコンテンツを大幅に増加いたしました。とはいえ、個別にカスタマイズしたコンテンツ開発及び運用となるとこれまで以上の工数と手間がかかります。人的工数を減らし、ヒューマンエラーを最小限にしながらも多彩なメニューを同時に展開するには、ラーニングプラットフォームが必要不可欠であると感じました。

社員目線を第一に、学習プラットフォーム統一に方針転換

―UMU導入に際し、社内の意見をどのようにまとめていったのでしょうか

UMUは新しい企業ですし、日本発のサービスでもないため、「本当に大丈夫なの?」という意見は当初ありました。
しかし、UMU創業者のドングショー・リーさんが来日した際本社にお越しいただき、社内の関係者を対象に説明会を実施しました。それを聞いていた当時の人事部長から「これからはラーニングプラットフォームでもUMUのようにAIが搭載されていくというのがスタンダードになっていくのだろうな」とのコメントをいただきました。これはその場の参加者のほとんどが感じたことだと思います。それまではUMUにたいして、否定的だったメンバーもいたのですがそこから空気が変わり始めましたね。

―新たな学習環境の構築にあたって、これだけは貫き通したい、と思ったことはありますか

常に社員の目線に立って、使いやすさ、アクセスの手軽さを重視していました。
当時、別の部門では他のLMSを検討しており、導入の決定直前という段階でした。しかし、部門ごとに導入しているLMSが異なると、社員目線ではとても分かりにくい&アクセスが面倒になりますし、部門や職群をまたぐコンテンツ展開も行っていく予定でしたので、管理者側も複数の異なるLMSの仕様に慣れていくというのは非常に効率が悪いです。
ユーザーである社員のことを第一に考えるのであれば、全社で学習のプラットフォームを統一すべきだと強く感じ、そこは譲れませんでした。そのため、社内での承認会議を前日に控えていた他部門の担当者にUMUについて説明し候補の一つとして再検討していただくようお願いしました。担当者には大変な思いをさせてしまったと思いますが、結果としてあの時UMUで統一していたことは良かったと感じています。今まさに、部門横断でのコンテンツ共有が容易にできており、職群を超えた教育メニューの水平展開がスピーディーに実行できています。

UMUの導入で業務改善が進み、生産性が大きく向上

―実際にUMUを導入して、どのような成果がありましたか。

第一に、UMU導入によって業務改善が進み、生産性が大きく向上しました。
例えば、研修の応募管理や受講後アンケートなどを一元管理できるため、人事部側のヒューマンエラーがなくなり、とても助かっています。
また各プログラム評価の経年比較が容易にできるため、アジャイル型で研修開発を進められると同時に外部講師へのフィードバックや共有も迅速にできています。

その他の実例としては当社ではグローバル人材育成の一環として海外語学研修があります。2019年度の研修生は4ヶ月間をカナダの語学学校に通い、そのあとワコールアメリカを訪問しニューヨークエリアのマーケットリサーチを行うといったプログラムです。
彼らには毎月2回、英語のレポートを提出してもらうのですが、UMU導入以前はメールでのやりとりを私と各研修生との間で行うという1対1のフローでした。しかし、UMUを活用することで研修生同士がお互いのレポートをタイムリー見ることができるようになり、相互にフィードバックしあえるという環境が生まれました。
さらに、帰国後の最終レポートをUMUにアップロードし、誰でもコメントできるようにしたことで、「学び」と「成果」を派遣された研修生だけに留めるのではなく、研修には参加していない社員にも共有することができました。結果的には本研修の意義や目的、内容を詳しく知らなかった社員にも、本研修やアメリカの市場動向について理解を深めてもらうことができたと感じています。

社員一人ひとりにカスタマイズしたコンテンツ提供

―導入前にイメージしていた通りの活用はできていますか

イメージ通り、プラスアルファという感想です。特にコンテンツ作成の簡単さには驚かされました。
例年2ヶ月ほどかけて行っていた新入社員向けの入社時集合研修を、2020年度はコロナの影響を鑑みほぼ全てオンラインに切り替えたのですが、それを決定したタイミングが入社式の1週間ほど前でした。オンラインに切り替わっても対応できるよう、学習プログラムを作り、個別のIDを紐づけるまでのシステム設計は完了していました。一方コンテンツに関しては、企画構想まではあったものの、とにかく時間がない中で作成しなければいけません。コンテンツの質を充実させるためには、私一人ですべてのコースを作成するのは無理があると感じました。そこで活躍したのが、4月から海外語学研修に参加する予定であった3名の社員です。渡航制限により海外に行くことができなくなったため、彼らにUMUのコース作成を手伝ってもらうことにしました。
彼らにとって初めてのコース作成でしたが、ものの1時間ほどのレクチャーですぐに理解し、サクサクと作成が進み、なんと1週間後にはほぼ全てのコースが完成していました。各コンテンツのリリース前日にはすべての内容をチェック、修正していましたが、アプリでも行えるので通勤途中でも簡単にできました。UMUのシンプルさ、簡単さ、手軽さを改めて実感しました。
またキャリア採用の社員に対しては、入社の1ヶ月前にIDを付与しています。入社前に会社のことや業務について勉強しておきたいという中途入社者からのニーズがあったことがきっかけです。入社後すぐに業務に活かせる知識や会社情報などを「時間があれば覗いてみてください」という形で提供していますが、特段操作方法などのマニュアルをお渡しせずとも皆さん利用していただけています。

―複数のIDをフル活用していると聞いています。どのように使い分けているのでしょうか

IDを使い分けることで対象者別に様々なプログラムをデザインし、トップページも簡単に変えられる、という強みを最大限に活かした使い方をしていると思います。内定者用、新入社員用、キャリア入社者用、トレーナー用、管理職用、セルフラーニング用など、1つのプラットフォームのなかで、対象者ごとに個別の学習ページを用意し、コンテンツを組み合わせて提供できるという点が嬉しいですね。私一人で13のアカウントを使い分けながら、社員一人ひとりにカスタマイズした学習ページをデザインし、提供しています。

また研修内容によっては人事部長に共有するためのアカウントを作ってシェアしています。人事部長にとってはオンラインでの双方向の研修は初めてとのことでしたが「こういうオンラインを軸にした研修スタイルでも、社員個々の考え方や思い、能力が見やすくていいね!」という感想をいただきました。

ワコール社内資料

―これからUMUを導入する予定の企業に向けて、アドバイスはありますか。

UMUにはあらゆる機能がありますが、それらを使いこなすことが目的とならないよう、まずは本当に実現したい人材・組織開発のビジョンをしっかりとイメージ、設定することが大事だと思います。
そのうえで、そのビジョンを実現するためのプラットフォームに求める要件やシステムデザイン(仕組みや設計)を考えることが必要です。
UMUの機能は頻度高くアップデートされますので、設計(人事担当者)側も試行錯誤しながらシステムのデザイン、運用をしていく必要があります。常に、ユーザー(社員・管理者)目線に立ち、どのように設計するとユーザーにとって最適な学習ページをデザインできるか、楽しみながら作れるとUMUの効果を最大化できると思います。

【プロフィール】

人事総務本部 人事部 人材開発課 専任課長
沢村麻衣子 氏

慶應義塾大学 総合政策学部 卒業後、ワコールに新卒で入社。事業戦略・マーケティング業務に携わり退社。外資系企業に転職後、シンガポールへの駐在に帯同し6年半滞在。本帰国後、ワコールに再入社。人事部 人事企画課にて働き方改革に伴う諸制度を導入。現在は人材開発課にて採用、配置、全社人材育成プログラムの企画、タレントマネジメント、キャリア自律促進プログラムの構築等に携わっている。ギャラップ認定ストレングスコーチ、国家資格キャリアコンサルタント、ブレンディッドラーニングファシリテーター。

【インタビューを終えて】

社員目線を第一に、人材・組織開発の変革に取り組む沢村さんの情熱には、圧倒的なパワーがありました。創業者 塚本幸一氏の「自立した社員が、助け合い、励まし合い、鍛えあって、より強く連帯してこそ、相互信頼の心情で結ばれた組織体を作り出すことができる」という社員、人材育成への想いをUMUを活用して実現していきたい、と語ってくださり感銘しました。UMUが大事にしている「双方向で楽しく学び続ける組織文化を創り上げる」というビジョンを共有し、一緒にプロジェクトを進められることに喜びを感じます。学び合い、高め合う組織づくりを全力でサポートしたいと私達も決意を新たにしました。

写真:ワコール提供

(インタビュア:小松麻美・石川慶子/ 構成・編集:高田蒔)

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