「納得」「発見」「実感」×ゲーミフィケーションで具体的イメージ醸成の支援

サービス推進総括 人財開発統括部 人財育成基盤部 大津 章裕さん

 

トランスコスモス株式会社では、昨年度の採用活動から、内定者フォローに至るまでオンライン型の実施に変更しました。学習意欲向上のための設計、ゲーミフィケーション要素の取り入れなどにより対面フォローと同品質を維持しようとさまざまに工夫。どのような方針で設計して、運用したのでしょうか。施策全般の企画・運営を担当された同社のサービス推進総括 人財開発統括部 人財育成基盤部 大津 章裕(おおつ・あきひろ)さんにお聞きしました。(2021年7月)

 

企業情報


社名:トランスコスモス株式会社
本社所在地: 〒150-8530 東京都渋谷区渋谷3-25-18
設立年月日:1985年6月18日
資本金:290億6,596万円
ホームページ: https://www.trans-cosmos.co.jp/

 

コミュニケーション方針は「納得」「発見」「実感」

―昨年度、最初にどのようなコミュニケーション方針を立てたのでしょうか。

例年と変わらない方針としては、「内定者とのこまめなコミュニケーション」「内定者同士のつながりが醸成できる機会の提供」「入社後の具体的なイメージが持てる情報提供」です。これらの方針実現のために、昨年度はオンラインフォロー中心であることから、次の三つを強化しました。1点目として、スマートフォンやタブレットでの受講割合が増えていることを前提に、フォロー施策を構築するよう意識。2点目は、オンラインならではの心配ごとや、不安の解消をおこなうなど、入社意欲向上に繋げられるような施策やコミュニケーションを実施。そして3点目は、会社理解、そして同期間のつながりが醸成できる場の提供に努めました。

―内定者フォローはオンラインだけでおこなったのですか。また、特に注力した点はどこになりますか。

例年は対面フォローで一部オンラインを活用していました。フルオンラインでの内定者フォローは初めてです。

内定者フォローは2種類あり、知識をインプットするeラーニングと、同期や講師との交流を通じて新たな発見を得ることを目的とした、オンライン集合型のセミナーです。しかしながら、学習の場を提供しただけでは意味がありませんので、オンラインによる内定者フォローを実施するにあたり、2つの柱を立てて学習意欲向上の設計を行いました。「時期に合わせた動機付けメッセージ配信」と「ゲーミフィケーション要素の活用」です。

―時期に合わせた動機付けメッセージはどのようなタイミングでおこなったのでしょうか。

入社までに実施している、オンライン集合型イベント時期に合わせて行いました。「なぜ内定者準備のために、eラーニング受講をすべきなのか」を、時期に合わせて、メッセージ性を変えて伝えることで、動機づけの強化を図っています。
まず、内定式をおこなうタイミングで大切になってくるキーワードは「納得感」。
「1、2年上の身近な先輩が、研修で学んだことを活かして、こんな風に活躍している」という事例を紹介したり、講師の成功談や失敗談を例に話をすることで、受講者の反応も大きく違う、ということも実感しました。これが、最初のステップだと考えます。

続いて、年末に行われるオンライン集合型セミナーでのキーワードは「発見」。
同期が集まって、一緒にワークに取り組んで、フィードバックし合う・・・
このような交流を通じて、「eラーニングで学んだことを実際にやると難しい」「周りの同期に追いつけていない」「勉強した成果が出ている!」といった、様々な発見を得ることも学習意欲向上に繋げるには、非常に重要だと思っています。

最後に、年明けにも最後のイベントを実施するのですが、そこでのキーワードは「実感」。
あと数ヶ月で入社というタイミングでも、学生気分が抜けていない内定者が多いため、マインドセットの意味合いも込めて、「自分がもうすぐ社会人になるという自覚を持って、準備を始めよう」というメッセージを伝えています。

 

ゲーミフィケーションや表彰で意欲向上

―もう一つの柱、ゲーミフィケーション要素はどう組み入れたのですか。

UMUにある機能を活用して、「ゲーム要素を取り入れ、少しでも楽しみながらeラーニングの受講をおこなう」というコンセプトのもと、企画・実施をしました。具体的には、まず、学習を進めるとポイントが貯まる「UMUポイント」、学習を進めれば学習レベルがあがる「レベル機能」、一定の条件を満たすと集められる「バッジ」などが挙げられます。中にはすべてのコンテンツを早々に終わらせたり、毎日ログインしてUMUポイントを獲得したりと、意欲的に取り組んでいる内定者がいます。そういった優秀者は定期的に、表彰コンテンツに掲載するようにしています。こういった取り組みを通じて、内定者間で切磋琢磨しながら入社準備を行って欲しいという思いと、研修担当がしっかりと内定者の頑張りを見ているということを、オンライン上でも伝えようとする姿勢が非常に重要だと考えます。

―表彰されると意欲が湧いてきますね。個人名はわかるようにしたのですか。

はい、表彰制度については、毎月1回データを集約して、できる限り個人名を載せてアップしています。内定者の閲覧率も高く、他の同期の頑張りには注目するのだと感じました。また、新しいコンテンツにみんなで「いいね!」ボタンをクリックするなど、みんなで頑張っていこうという雰囲気づくりができたと思います。

―雰囲気づくり大切です。オンライン集合型セミナーでうまくいった、あるいは手間取ったことはありますか。

当日はZoomを使い、セミナーを進めていきますが、意見を集約してグループごとに発表するときは、UMUの集約画面を投影し、双方向のコミュニケーションを行いながら実施しました。実施する中で感じたのは、対面型以上に綿密な運営計画をするべきだということです。オンラインでは内定者の状況が見えづらく、運営メンバー同士も連携が取りづらいです。

 

思い込みをせず、聞く力もつけていきたい

―オンラインでは、予期せぬトラブルも起きると思いますが、どのように準備をしたのでしょうか。

何かあった時に冷静且つスピーディーに対応できるよう、事前にできる限りのトラブルを想定して、準備するようにしました。
特にトラブルの多くは機材のことです。画面が映らない、声が聞こえない、など様々なトラブルは発生しましたが、受講環境を調査した“事前アンケート”の情報を活用しながら対処することができました。我々が冷静な対処をおこなうことで、内定者も安心感をもって受講できるようになりますし、我々の準備量に対しても、感謝する言葉がアンケートにも多く書かれる結果となりました。
ここでの経験は、我々運営メンバーとしても非常に嬉しく、モチベーションがあがる取組み事例となりました。

―相当洗い出しをして万全な準備であったのですね。意外だったことはありましたか。

ここ数年の傾向として、パソコン使用に慣れない人が増えてきています。卒論をタブレットだけで仕上げるなど、キーボード慣れしていない人がいることを耳にはしていましたが、いよいよそういった世代の方が入ってきたことが衝撃でした。

―確かにそれは衝撃です。受講生の環境を把握するヒヤリング力も必要ではないでしょうか。

受講生の環境把握には、非常に苦労しました。例えば、受講者側の天候が悪くて近くに落雷があり停電が起きてしまったり、我々運営側でも、配信場所のネットワークの不調で動画が流せなかったりと、色々なことが発生しました。また、我々はホストとしてとにかくZoomを落とさないように非常に気を使いました。大事なのは、受講者側からも何かあったら言ってもらえる関係性を構築することや、内定者へ的確なヒアリング項目を設定し、正しい情報を収集する“聞く力”も大事だと感じました。

―昨年はオンラインのみによる内定者フォローだったと思いますが、今後は対面型に戻していきますか。

理想論としては、対面とオンラインのハイブリッド型がいいと思っています。オンラインでは、全国にいる内定者が容易に繋がることができますし、イベントに参加してくれる配属先の先輩社員からも、予定を立てやすく参加しやすいという声があるのが実情です。
一方で、画面上で伝えるメッセージと、直接対面で伝えるメッセージとでは、伝わり方にも差が出てくると思いますし、同期間でのつながりの強化については、対面に勝るものはないと思います。
今後は、対面とオンライン双方のメリットを活かせるような仕組みづくりを、我々も検討していきたいと考えています。

―フルオンラインの内定者フォローで見えてきた課題はありますか。

「ITリテラシーの低下」「内定者間のつながり希薄」「内定者のマインド状態把握」の3つが見えてきた課題です。ITリテラシーの低下については、パソコンの最も基本となる操作方法から、Officeスキルまでをカバーできる施策を検討・実践していきたいと考えています。2点目の内定者間のつながり希薄については、コミュニケーションの場の在り方も再検討が必要だと考えています。最後に「内定者側のマインド状態の把握」については、ツールを導入するなど、新たな施策検討を進めています。

 

インタビューを終えて

機材トラブル予測をできる限り洗い出して綿密に準備するとは、ITに強いトランスコスモスさんの強みを活かした内定者フォローだと感じました。「納得」「発見」「実感」のコミュニケーション方針や、ゲーム要素を取り入れ、受講生を楽しませるといった様々な工夫も内定者のためにこれだけするのかと圧巻です。その一方で、やはりリアルに勝るものはないといった気づきにも率直に向き合い、ハイブリッド型にしていく形が理想と語った点が、他の多くの企業の参考になるように思いました。UMUはこのような工夫と努力を重ねる企業の皆様に寄り添って、オンライン学習での支援を丁寧に続けていきます。

(担当:宮下雄介/編集:石川慶子)

 


大津さんにご登壇いただいたセミナーのレポートを以下よりダウンロードいただけます。

https://umujapan.co.jp/download/umu_for_naiteisya/

 


 

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