公教育1,500人超の教職員が登録する産学連携プラットフォームをUMUで整備

学校と企業の橋渡しと人材育成において不可欠な学び合いの場を提供する、UMUを活用した産学連携プラットフォームについて伺いました。

 

本記事は、2024年2月開催「Performance Learning Summit 2024」にてご講演頂いた内容を基に記事を作成しております。

講演登壇日:2024年2月26日(月)

講演タイトル:公教育1,500人超の教職員が登録する産学連携プラットフォームをUMUで整備

登壇者:アルマ・クリエイション株式会社 代表取締役 神田昌典氏

 

 

企業情報

社名:アルマ・クリエイション株式会社

本社所在地:東京都渋谷区道玄坂1-12-1 渋谷マークシティW16階

資本金:93,805千円

設立年月日:2007年8月31日

 

産学連携「探究リンク・プロジェクト」

 

私は経営コンサルタントとしてマーケティングならびに人材教育、特に社長教育に専念してきました。併せて、15年間にわたり教育に関わる活動をしています。

小中高校や大学への支援、OECDの共創パートナーとして研究活動にも参加しています。

そして、UMUと出会い、学校教育に必要なインフラを提供できると感じました。

これまで、学び合いはマインドマップや読書会といった手法で行ってきましたが、これらをデジタル化するうえで、UMUは素晴らしいテクノロジーです。

 

クライアント企業の人材開発だけでなく学校教育も含めた社会全体の学習パフォーマンス向上を目指し、UMUを活用して「探究リンク・プロジェクト」を進めています。

 

人材育成に必要な学び合いとは

 

長期的なリーダー育成のためには、学び合いが重要です。

これは、アクションラーニングやアクティブラーニングへとつながり、そして現在の探究学習へと展開していると考えています。

具体的には、2007年頃より、イギリスの教育者であるトニー・ブザン氏が提唱されたマインドマップという創造的な学びツールを日本に普及させることに尽力してきました。今やマインドマップは、学習における当たり前のツールとして取り入れられています。

従来の箇条書きに偏りがちな教育手法では、勉強に向いていないと感じていた生徒たちが、マインドマップにより、学習に興味を持つようになりました。記憶力が向上し、情報整理や分析がスムーズに行えるようになり、クリエイティビティを発揮できるようになったのです。

 

探究学習を支援する’’協育’’プラットフォーム構築の全容

 

学校における探究学習と企業における人材育成

 

2022年度から学校教育に導入された探究学習が、日本の競争力を復活させるうえで、決定的な要素になると考えています。

探究学習は、実際の現場を見ると、企業内で行われている人材育成と大きく変わりません。

しかし、教育は学校だけに委ねるだけではうまく機能しません。

学校の先生方の多くは、産業界での実務経験があまりありません。そのため、いくら素晴らしい先生でも、ビジネスの実態について深く理解していない場合があります。

従来は、学校卒業後、社会に出てから企業で人材育成してください、というスタンスでしたが、これは大きな機会損失です。

 

産業界の各個人が取り組んでいるプロジェクトや学び、経験についての知見を教育界に伝えるため、プラットフォームが必要です。

そこで、UMUを活用することで、企業の社員育成で行われている取り組みを教育界にも導入できると考えました。

 

実社会に必要な才能を拓く産学連携

 

受験教育では測定できない才能を持つ子どもたちが、探究学習では能力を発揮しています。探究学習では、プロジェクトを率いる力やチームを作る力、壁を越えて成長する力など、実社会に必要な才能が重視されます。しかし、筆記試験ではそのような力が測られないため、進学できない子どもたちもいます。そのような状況は社会にとって損失です。

ういった課題の解決策として、UMUと共に産学連携プラットフォーム「PABLOS」を作りました。現在、1,609名の先生方に登録いただいています。

この先生方の勤務校に対して有益なコンテンツを提供し、学校側のエンゲージメントを高めていくことを目指しています。

 

日本最大級の産学連携による探究学習プラットフォーム「PABLOS」

 

PABLOSとはProject and Ability Based Library Online Schoolの略で、実際に社会で活躍する人たちとその活動を教育機関に紹介しています。

UMUを活用することで、教育界と産業界の境界を越えることが容易になりました。

 

 

2030年に向けた教員研修

 

PABLOSでは、学校の先生方がオンボーディングしやすいように、いくつかの簡単なクイズを提供しています。

また、OECDとの教育共同研究として、2030年に向けた教員のあり方に関するプロジェクトも進行中です。このプロジェクトでは、研究成果を共有することによって、教員のあり方を考えられるようになります。

 

大阪・関西万博の「共創チャレンジ」

 

私たちは大阪・関西万博の「共創チャレンジへの共創パートナー登録を行っており、万博に対する取り組み加速させています。

子どもたちが参加し、記憶に残る万博を創り上げることを目指しています。

そのために、「Team EXPO 2025」という組織を通じて、子どもたちに様々なアウトリーチプロジェクトなど、万博の「共創チャレンジにおいて子どもたちを巻き込む様々なプロジェクトを展開していく予定です。

 

 

グローバル探究分野

グローバル探究分野では、11の大使館から各国がSDGsを実現するうえでぶつかっている壁について映像で紹介ます。それらの課題に対し、日本の子どもたちがアドバイスを行うかたちで教育活動を展開しています。

 

 

「探求の達人」

私たちは、『探究の達人』という本を学校の先生に提供しています。この本では、ICTなどのさまざまな知見を取り入れ、小学校から中学校までの探究学習の授業をより充実させるためのコンテンツを積極的に提供しています。

 

 

教育関連の書籍ライブラリー

出版社と連携して、教育に関連する書籍のサマリーを学校の先生に提供しています。これらの書籍を各学校の図書館に収蔵してもらい、これを機に校内での考え方を更新してもらいたいと考えています。

 

 

ザ・ジョブ図鑑

私たちは、映画のようなクオリティの動画を制作しています。

学校の先生は自分以外の職業についてなかなか知る機会がありません。そこで、異なる職業の人々の一日の仕事を24時間に凝縮した動画を作成しています。

例えば、酪農家や地方創生の都市を設計する人、またはライフセーバーなど、様々な職業の動画「ザ・ジョブ図鑑」を作成し、これを通じて異なる職業について理解を深めていただきたいと考えています。

 

 

今、対応すべきは「自分の未来を想像する力」

現在の20代の83.2%が老後の生活に不安を感じているという調査結果があります。このような状況が、株価の上昇にもかかわらず続いていることは注目すべきです。

20代の多くが老後の生活に不安を抱えている状況は、深刻な問題であり、これは、教育のあり方の問題だと考えています。

 

 

経験使い捨て社会

 

受験教育は一時的には高度成長期に適していたかもしれません。

しかし、AI時代においては、覚えたことが受験と共に忘れられ、さらにこれまでの経験が使い物にならない「経験使い捨て社会」の問題が顕在化してきます。

小学校で個性を活かした教育が受けられたとしても、中学校、高校に進むと個性を発揮する機会が極端に限られていきます。

大学では、さまざまな経験を積むことが期待されますが、企業の中では自らの個性よりも企業文化に合わせて活躍することが求められます。

定年退職後、セカンドキャリアに移行したいと考えても、それまでの企業における経験がそのまま役立つわけではありません。結局、企業にしがみつかざるを得ない状況に陥ることもあります。これが、「経験使い捨て社会」の問題です。

 

経験を活かせる社会へ

 

当社はこの問題の解決策として、学び合い教育を推進しています。

学んだことをアウトプットすることが重要であり、ラーニングサークルのような形式を活用して、自身の経験を整理し、共有することが必要です。

これによって、自らの経験を活かし、AI時代に対応していくことが求められます。

 

 

 

企業のリーダーがコンテンツを伝えなければいけない

 

探究学習が始まったものの、圧倒的にリソースが不足しています。

教科書の内容はすでに時代遅れであり、教育と企業の現場は互いに理解し合っていない状況です。

子どもたちが、YouTubeやTiktokではまだ触れる機会がない、社会課題に取り組む起業家や企業のリーダーに関心を持つような学習コンテンツが必要です。

 

「探究リンク・プロジェクト」で、新規事業を創出する

 

 

PABLOSは、学校の先生たちと共に取り組んでいます。また、キャリア教育の中核的な団体である日本進路指導協会や、OECDとの連携も、重要な要素として取り組んでいます。

 

 

「グローバル探究分野」とは、主に大使館が関わる分野です。

この分野では、高校生が大使に対してインタビューを行ったり、また、他国の問題について高校生同士でディスカッションを行ったりする授業実験が行われています。

次に小学校での産学連携の取り組み事例を紹介します。

 

 

上画像右は、コニカミノルタ株式会社のDX(デジタルトランスフォーメーション)チームとの協力事例です。

同社からの依頼で、印刷業の100年後を考えるプロジェクトが始まりました。「今後何を可視化すべきか」という問いに対して、子どもたちからはウイルスや菌、笑顔などさまざまなアイデアが出されました。

 

このような発想は、大人にはなかなか思いつくことのできない重要な視点であり、やる気を失っていたベテラン社員の内発的な動機に火をつけます。これは非常に重要です。

 

サンデン・リテールシステム株式会社は、子どもからの提案を受け、冷凍自動販売機を学校に運び込んでくれました。

 

こうした取り組みにより、大人も子どもと同じように、新しいアイデアにキラキラと目を輝かせるようになります。新しい時代を作っていくには、世代を超えた連携が必要だと感じています。

 

 

 

子どもたちに考えさせることは、実用的でないと思われるかもしれません。

しかし、実際には探究学習はとても進化しており、会社づくりなどの実践的な活動も行われています。

例えば、未来を創ろうプロジェクトでは、SDGsに基づいてコマーシャルフィルムの制作からロボットのプロトタイプまでの製作を行っています。

 

これらのプロジェクトで、子どもたちはニコニコしながらプロモーションビデオの制作やロボットのプロトタイプ開発など、幅広い活動に取り組んでいます。

彼らは編集やテキスト作成から始め、プログラミング的思考を用いてプログラムを作成し、遠隔操作可能なロボットのプロトタイプを制作するといった一連の過程を通じて、実践的なスキルを身に付けています。

 

 

別のクラスでも同様の取り組みを通して、複数の新規事業が生まれる場面もあります。実際、小学校から中学校、高校、そして大学まで、学校が日本のシンクタンクの役割を果たす状況が広がっています。

 

 

今後、PABLOSにアウトリーチ講座セクションを設け、参画いただける企業リーダーから探究学習に役立つ講座を提供していただけるようにします。この講座を通じて、さらに多くの企業や学校と連携していくことを考えています。

 

プラットフォームを充実させて、産学連携でイノベーティブな成功事例をつくる

 

今後、新たなセクションを作成し、企業のアウトリーチ講座(出張講座)の内容を入れていきます。

 

目的は、就職のためのインターン募集ではなく、子どもたちの探究心を育み、彼らの成長を親心を持って支援することです。

子どもたちの探究心に役立つ講座を提供することが重要であり、自社の実績や優位性を強調するようなアプローチは採用していません。

企業が100年後も継続して発展するための新鮮なアイデアを子どもたちに求め、子どもたちからのアドバイスを受けることで、反転学習を実践しています。この方法により、子どもたちは真剣に取り組むことができます。

 

講演に対する質疑応答

 

-コンテンツ作成において大切にされていることを教えてください。

 

短い単元ごとに分割することが効果的であると認識しています。

3〜5分程度の短い単元に細分化し、視聴者にとっても受け入れやすいかたちで提供しています。

3分の場合、10セクションで30分と、集中力を保つことができる状況です。このようなフォーマットを作成し、各セクションごとに理解を深めていくことで、短時間でも成果を挙げることが可能と考えています。

また、知識の提供よりも内発的な動機が重要です。

興味を引き、関心を高め、自発的な学習意欲を促すことがまず必要です。その後、段階的にステップ1、ステップ2、ステップ3と進んでいきながら、理解を深めていきます。最後に総合演習を行うことで、習得した知識を実践的な場面で活かすことができます。

イントロダクションから講座の目的、取り組みに対する説明、展望、そしてクライマックスとしての質問など、スクリプトに基づいて、初めての課題に直面しても学習意欲をしっかりと引き出すような加速学習のフォーマットが有効です。

 

 

-多くのラーニングプラットフォームを見られている神田様からみて、他社のテクノロジーとUMUの違いは何だと考えられていますか?

 

UMUは学び合いに最適です。

AIが本格化する現代において、知識や技術を身に付けるだけのオンデマンドの動画プラットフォームでは不十分です。 従来型の一方通行の教育は、ほぼ、役割を終えるだろうと考えています。

これからますます重要になる、学び合いや企業文化の強化という教育の本質を押さえたプラットフォームとして、UMUが最適だと思います。

 

-企業教育でも従業員が自ら学びを取りに行く状況を作りたいと考えています。アドバイスをいただけますか?

 

学習を促進するためには、組織全体での変革が必要です。学習と組織変革は密接に関連しているので、両方のプロセスを同時に推進することが重要です。

優れたコンテンツだけを提供しても成果が出ないことがあります。

強制力を持たせるために、上層部からの指示や評価基準の設定をしても、あまり学習の成果が得られない場合もあります。外発的な動機では、学習のパフォーマンス向上には限界があます。内発的な動機が極めて重要なのです。

観察すると、強制されているわけではないにも関わらず、何度も繰り返し学習している人が存在することがわかります。その中に、会社を好きで、自己成長のために勉強している自覚を持っている人もいると思います。特に社長からのメッセージを繰り返し確認する人は、社長の考え方やビジョンを理解しようとしているのです。このような人が1人でも部署に存在することは非常に重要です。

もう1人そのような人材を追加すると、2人のグループが形成されます。この2人が協力し合い、プロジェクトを進めたり、互いを褒め合ったりすることで、一緒に行動する楽しさを感じます。2人のグループが形成されると、組織は停滞しないため、現状維持のバイアスに陥りません。

これはネットワーク理論の議論の中で証明されており、2人グルーは他部署や近隣の組織と連携して組織変革を進めることができます。このような2人グループが部署ごとに形成され、その影響が広がっていくことで、あらゆる組織変革がデザインされていくのです。組織変革を設計する際には、これらの少数のグループを重視し、その活動を広げることが重要です。

教育者としての視点と組織変革の視点を踏まえると、DXと同時に教育改革が実現可能であると考えています。

 

-UMU導入初期に戻れるならば、「ここは注意しておけばよかった」と思われることはありますか?

 

初めから、短い区切りで収録することを意識していました。

コンテンツ制作は大変なので、2人組での取り組みが有益であると考えます。

UMUは、新入社員に対してのナレッジマネジメントのベースとしても非常に良いものです。さまざまな人の知識をインタビュー形式で採り入れることで、コンテンツ編集が容易になり、若手が学びながら成長できる環境が整います。

このようなアプローチによって、組織全体で共有されるコンテンツ作成の文化が育まれ、皆で協力してコンテンツを発展させていくことが可能です。そのためにも、2人組の制度の導入は進歩につながると考えられます。


大手企業様をはじめとして、全社学習プラットフォームの活用、営業教育、新入社員教育等、様々なシーンでUMUをご利用いただいております。

Webでは公開していない情報も含めて、一つの事例に対し、1スライド形式でわかりやすく解説した事例集をご用意しております。是非事例集も合わせてご覧くださいませ。

 

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