【ATD-ICE2023】プリヤ・パーカー 基調講演内容《日本語訳》

2023年5月21日〜5月24日までアメリカ・サンディエゴで開催された世界最大規模の人材開発・組織開発関連カンファレンス、「ATD-ICE(International Conference & Expostion)」は、大盛況のうちに幕を閉じました。

 

本記事は基調講演スピーカーの1人、プリヤ・パーカー(Priya Parker)の基調講演について紹介したATD公式サイトの記事、”What Is Your Need For Coming Together?” を日本語に翻訳したものです。

 

ATD公式サイト記事 ”What Is Your Need For Coming Together?” 日本語訳

 

(ここから”What Is Your Need For Coming Together?” の日本語訳)

 

リスクに対してオープンか?それをどのように表すか?以下は、ATD23でのプリヤ・パーカー氏の基調講演の概要である。

 

8人であろうと9,000人であろうと、集いというのは「私たち」と「私」の間のダンスであると、2日目の基調講演でプリヤ・パーカーは説明した。集うということは、「私」を放棄して「私たち」の一部となることを意味する。

 

ファシリテーター、戦略アドバイザー、作家、そして生涯学習者であるパーカーは、「The Art of Gathering Live Experience」の中で、人々がZoomにサインする前、部屋に入る前から集いは始まっていると述べている。集いというのは、スペースをどのように作るかから始まり、その一部は会議の構造によって決定される。例えば、椅子を並べたセミナーでは、人々は交流するよりも、隣の人と話をするようになる。

 

パーカーは集いの最初の5%を「一時的な別世界」と表現した。その時間は、有意義な体験をするために必要なものであり、これはホストに依存するだけでなく、私たち「ゲスト」のあり方の問題でもある。私たちはゲストとして大きな力を持ち、グループが一体何であるのかを明らかにするのに役立つのだ。

 

彼女の著書『The Art of Gathering』のリサーチの中でパーカーは、印象的で変化のある集まりは、人々が「この集いはこうあるべきだ」という特定の考えを持っていないときに生まれることに気付いた。集まりの体験を向上させるためには、先入観から解放されるべきなのである。

 

この一時的な別世界には、ポップアップルールと呼ばれる、グループ内で守るべきルールや規範が含まれることがある。パーカーは、あるジャーナリストがパーティーを開きたいと望んだ例を紹介した。パーカーは、そのジャーナリストのニーズは何かと質問した。するとそのジャーナリストの女性は、仕事の話ではないのだが、自分は長い間自身の欲求を満たしていない疲れ切った母親だと明かした。そこで、このパーティーのニーズが浮かび上がってきた。疲れ切った母親たちが、自分たちの日常から解放されることが必要だった。パーティーのルールとして、子どもの話をしてしまったらテキーラを1杯飲む、ということになった。

 

パーカー氏は、参加者に質問を投げかけるなど、インタラクティブなセッションを展開した。 「あなたは物事を丸く収める人か、ピースメーカーか、またはトラブルメーカーか挑発者か?」両方の資質を持つ人は、変革のための会話に参加する確率が高いと紹介された。

 

不健全な平和は不健全な対立と同じくらい危険であり、あまりにも多くの組織が不健全な平和を持ちすぎている。変革にはリスクが伴う。リスクなくして変革は起きない。そしてパーカー氏は、リスクと集いに関して考えられる4つの質問を投げかけた。このグループは何を避けているのだろうか?それに直面するのを避けることで得られるものは何だろうか?それに直面するのを避けるリスクは何だろうか?そして、そのギフトはリスクに見合うものなのか?

 

変化をもたらすために、自分のコンフリクトスタイルを学ぶようにと、パーカー氏は参加者にアドバイスした。(もし自分のスタイルがわからなければ、チームメイトに聞いてみてください。)

 

そして、「バックフリップを強化する」(つまり、意見、行動、文化を変える)ことが、2つ目のアドバイスだった。例えば、あるマネージャーがパーカーのところに相談に来た。そのマネージャーは、ポジティブなことしか聞きたがらないと思われていた。パーカーのすすめで、そのマネージャーは会議の冒頭で、全員に今週のバラとイバラ(良い状況と悪い状況)を聞くようにした。その際、仕事に関係する話をするようにとの規定はなかった。数週間後、チームの心理的安全性が高まった。この方法は、ミーティングの最後55分間を変え、チームメンバーが上司に対して抱いていた「バラの話(良い話)だけを聞きたい」という認識も変えた。

 

次のミーティングやトレーニングの計画を立てる際には、まず、その集まりの必要性を見極めることが重要である。好奇心を持ち続け、「今何が必要なのか?」と問いかけるべきだ。さらには、ニーズが変化することを理解し、定期的に答えを見直す必要がある。

 

”What Is Your Need For Coming Together?” の日本語訳はここまで)

 

UMUコメント

世界的に有名な書籍「The Art of Gathering: How We Meet and Why It Matters」の著者、プリヤ・パーカー氏によるセッションは、集うことについて知見や洞察に溢れた素晴らしいものでした。パンデミックを経て、今改めて、集うことの意味が問われています。Face to Faceであっても、オンラインであっても、パーカー氏の言うように「今この集まりの中で何が必要か?」を常に問いかけ、見直しながら、研修やミーティングを組み立てていきたいですね。

 

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〈ATD23-ICE〉登壇者インタビュー動画

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