自律的学習を成功させる6つのポイント

本日はLearning Solutions Magazineに寄稿されたWorkplace StrategistのJD Dilon氏によるコラムをご紹介させていただきます。

最近の企業学習に関してのキーワードに「マイクロラーニング」「脳科学」「自律的学習」などがありますが、これらは今まで人材開発担当者が行ってきた教育配信ではなかなか成功に結びつきません。

ポイントは「学習の配信」ではなく、「学習機会の提供」。

このコラムには人材開発担当者が従業員の自律的学習に戦略的に取り組む前まず考慮すべき「6つのこと」が示されています。
参考になれば幸いです。

自立学習を成功させる6つのポイント

by JD Dillon
August 15, 2017

https://www.learningsolutionsmag.com/articles/2414/in-real-life-self-directed-learning-can-only-work-if#.WZRTlX2fNJc.twitter

私は毎週、2~3のTwitterチャットに参加することにしています。 これは、世界中のL&Dのプロフェッショナルと特定の話題について話し合うことのできる、面白くて時間のかからない方法です。 会社という枠をこえて大きなプロフェッショナルのコミュニティにかかわることができるので、キャリアの浅い頃には特に役立ちました。 私が好んで参加するチャットは、 #lrnchat (Thursdays at 8:30 PM ET) と#GuildChat Fridays at 2:00 PM ET)です。 今回のコラムは、2017年7月7日の#GuildChatに由来するものです。 そのトピックは、Learning Independence(学習の独立性)です。 このチャットでは、十数人のL&Dの人たちが、 職場の学習の自律性について話し合いました。Anthony Altieriは、ここで以下のような貴重な発言をしています。

Anthony氏は、自律的学習とL&Dの関係性を140文字以下で見事に表現しています。

企業で行われる学習には、いつでも最新流行のアイデアがあふれているように見えます。 アダプティブラーニング、混合リアリティなど、テクノロジー主導の多数のコンセプトが、企業で行われる学習の手の届く範囲に入ってきていることは確かです。 しかし、それ以外の最近のビッグトレンドについてよく考えてみると、実は全く新しいものではないことに気付くはずです。 そうではなく、L&Dをとりまく世界が変化を続けているので、長いこと存在していたけれど長いこと無視されていたさまざまなことが表面化しているのです。 これにはマイクロラーニング、脳科学、自律的学習があります。 Anthony氏がきっぱりと指摘してくれたように、従業員が職場で学ぶことをL&Dがコントロールしていたことは、これまでもありません。

 L&Dはこれまで、どのようなフォーマルラーニングの機会を提供するかを決める立場にありましたが、このような機会をどのように利用する(または利用しない)かは、常に個人に任せられていました。

Figure 1: Self-directed learners set their own way (Pexels)

 

なぜ今、自律的学習が注目されているのか?

従業員がこれまでも常に、自律的に学ぶ方法を持っていたとすれば、なぜこのように突然、自律的学習へシフトすべきだと言われるようになったのでしょう? これにはいくつかの要因があります。 まず、GoogleやYouTubeなど、能力開発に役立つ「代替」リソースに簡単にアクセスできるようになったことが挙げられます。 L&Dもようやく、自分たちが高く評価するコースライブラリに対してこのことが与えるインパクトを認識しつつあります。 企業のラーニングテクノロジーを担当する人たちも、Netflixなどのコンシューマー向けコンテンツプラットフォームで使われている、推薦に基づいて大量の選択肢を与える学習体験システムに追随しはじめています。 そして最後に、スケールの問題があります。 ビジネスが競争力を保つには、よりアジャイルなスキルセットが必要とされるようになっています。 L&Dが、時流に後れをとらず価値を証明するには、

大幅なコストや管理を必要とせず、さまざまな役割の人に役立つ柔軟な学習機会を提供する方法をみつける必要があります。 こうしたことが、ラーニングパス、コンテンツアグリゲーションといったコンセプトの出現につながったのです。

これはそれほど単純なことではない

私のこれまでの発言をみても、私が自律的学習を強く支持していることがわかると思います。 L&Dが学習の責任を持ったことは未だかつてなく、従業員の自発的能力開発やアカウンタビリティが、強力なラーニングエコシステムの根本原理であることには同意します。 しかし、このようなコンセプトは多くの場合、仕事が実際に行われる方法と相容れないという残念な真実があります。 ラーニングパスやキュレーションによるリソースは素晴らしいことに聞こえますが、実際には、自律的能力開発を可能にするにはL&Dの戦略を変える以上のことが必要とされます。

 L&Dは、単に新しいプラットフォームを購入し、コンテンツライブラリを再構成するのではなく、一歩下がって職場環境全体を見直し、自律的学習に適した方法を判断する必要があります。

 

L&Dが考慮すべき6つのこと

1. 時間

私は、「うちの従業員には学習のための余分な時間が十分にある」と言う人を見たことがありません。 地位や役割、業種に関係なく、従業員はすべて時間に追われ、圧倒されています。 その上、従業員は専門能力の開発に多くの時間をかけることを期待されています。 個人の時間を使って自分のスキルを高める努力をする人もいることは確かです。しかし、これは義務ではありません。

職場で自然に行われる学習ではなく、的を絞った自律的学習には時間がかかります。

上司が、短期的なタスクよりも長期的な能力開発の優先順位を高くすることによってのみ、時間を作ることができます。

これは、その日うまくいったことや課題を振り返って話し合う時間を従業員に与えるといった簡単なことから、もっとフォーマルなトレーニングまで多岐にわたります。 職場でどのように時間が割り当てられるかをL&Dがコントロールすることはできません。L&Dにできるのは、自律的能力開発についてのビジネスケースをマネージャーに示して影響を与えることだけです。

2. ルール

従業員が能力開発のためにどのように時間を使うかに関するルールが必要だと思われます。 たとえば、米国で働いており、時間給で働く人をサポートする場合、時間という制約を考える必要があります。 この場合、自律的能力開発のためのビジネスケースがより重要になります。 多くの場合、デスクレスワーカーにはその役割や企業の人員配置のやり方などによる制約があるので、その学習オプションは限られています。 このような人たちにも、自分の時間をより自由にコントロールできるナレッジワーカーと同様の学習機会を与える必要があります。

場合によっては、しっかりとしたガイドラインを設けることによって、デスクレスワーカーにも職場以外の場所で行う自律的学習の機会を与えることができます。 たとえば、学習プラットフォームのログイン画面に、その従業員が学習に費やす時間に対する責任を記述する免責事項を表示する方法があります(もちろん弁護士や労働組合が同意した場合に限られます)。

いずれにせよ、従業員が費やした時間や選択肢が、能力プロセスの一環として尊重される必要があります。

3. 期待

従業員が、部門のマネージャーやマーケティングアシスタントに昇進したいと思ったとしても、 それに必要とされるスキルを正確に理解できない場合があります。 だから企業は、知識や能力の要件に関する明確な期待を提示する必要があります。 このような基準には、通常の職務記述書やコンピテンシーリストよりも詳細かつ「正確に」、特定のポジションに就くのに必要とされることが書かれている必要があります。

 今日のビジネスの性質上、職務要件は頻繁に変化するので、自律的学習の取り組みを継続的に行うには、このような期待事項を絶えずメンテナンスする必要があります。

4. アクセス

Gary Wise氏は、そのブログ「Self-Directed Learning or Self-Directed Performance?」で優れた指摘をしています。

フォーマルトレーニングを提供するための単なる別の方法として自律的学習に取り組むのは誤りです。

 そうではなく、L&Dは、従業員の能力開発全般に取り組む必要があります。これには、必要なタイミングで問題解決ができる能力からはじめます。 このときキュレーションが、自律的パフォーマンスを可能にする手段となります。これによって、L&Dは、ビジネス上の成果を直ちにもたらす可能性のある情報を見つけるのに必要とする時間と努力の量を減らす支援をすることができます。 L&Dはこれに基づいて、パフォーマンス上の課題に対処するための学習レイヤーをさらに用意します(たとえば必要に応じて体系的トレーニングを提供する)。

5. フィードバック

Dunning-Kruger 効果とは、人が多くの場合、自分は実際よりも何かをうまくできると考えている傾向のことを言います。 自分は運転がうまいと言っている割には、いつも急ハンドルをきったり、急ブレーキをかけるような友人がいるのではないでしょうか? この傾向は、マネジメントが「よい」パフォーマンスとは何かという一貫性のある客観的な定義を与えず、個々人の解釈に任せている場合に特に顕著になります。 自律的学習から利益を得るには、従業員が、自分のパフォーマンスに関する明確で一貫性のあるフィードバックを受ける必要があります。 このフィードバックは、特にマネージャーや同僚など、さまざまなところから与えることができます。

L&Dは、フィードバックの全般的な価値が組織内で認識されるように計らうことができます。 よいパフォーマンスの例を比較に基づいて示したり、職場の行動を観察してコーチングを与えるようなトレーニングを行うなど、L&Dがこれをサポートすることもできます。

このようにすれば、従業員が、自分の役割に期待されることと実際のパフォーマンスの間のギャップを特定し、適切な能力開発の機会を選択することができます。

6. 自由

自律的学習が根付くには、従業員にそれを任せる必要があります。 L&Dが、「承認されたチャネル」を通じてすべての能力開発の機会をふるいにかけることはできません。 従業員が自分のために行うすべてのちょっとした学習を追跡することはできません。 これは私たちの周囲で日々行われているのです。 L&Dは、従業員と会ってその状況を確認し、自分でアクションをとるのに必要とされるサポートを与える必要があります。 これにはリソースの作成やキュレーションも確かに含まれますが、選択の自由もL&D戦略に含める必要があります。 L&Dは、従業員が自分の能力開発のために行なったことにフォーカスする(修了やテストの点数)のではなく、最終的な結果(パフォーマンス能力)にフォーカスし、それぞれに最適な方法で従業員がそこに至ることができるようにします。 人間は生来、学ぶようにできています。 だから従業員は、L&Dから受けるサポートに関係なく、責任をもって問題を解決し、自分のスキルを開発しようとします。 それほど新しくはない職場の学習の通常の姿としてこのことを受け入れ、それに従って戦略を調整する必要があります。 過去の学習トレンド(ソーシャル、モバイル、ゲーミフィケーションなど)が流行ったときと同じ誤りを犯したり、古くからのやり方が最新の方法であるかのように見せかけてはなりません。

学習プロセスの責任を持つのはL&Dであるというもっともらしくない主張をするのではなく、明確な期待、一貫性のあるフィードバック、アクセスしやすいリソースによって、自律的学習を可能にすることにフォーカスすべきです。 従業員は、これまでも常に自律的に学習してきたのです。 L&Dが、それをいつも適切に支援できていなかっただけです。

 

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人材開発担当者は、学習を提供するのではなく「学習経験を提供する役割」へ。
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皆が主体的に関わり合う学びはすぐそこにあるのです。

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