パイロット導入の成果を経て、約1000名の全MRに向けた営業教育を展開。営業活動数の向上を実現
※本記事は、2024年2月開催「Performance Learning Summit 2024」にてご講演頂いた内容を基に記事を作成しております。
講演登壇日:2024年2月21日(水)
講演タイトル:学び合いの文化構築に向けて
登壇者:
株式会社ツムラ 医薬マーケティング部 製品教育課 課長 宮内 清志氏
株式会社ツムラ 医薬マーケティング部 製品教育課 中村 秀大氏
企業情報
会社名:株式会社ツムラ
設立:1936年4月(創業:1893年)
代表取締役社長CEO:加藤 照和
所在地:東京都港区赤坂二丁目17番11号
資本金:301億42百万円 (2023年3月31日現在)
事業内容:医薬品(漢方製剤、生薬製剤他)の製造販売
URL:https://www.tsumura.co.jp/index.html
3つの課題克服のためUMUをパイロット導入
UMU導入の背景には、3つの課題を克服したいという意図がありました。
1つ目は生産性です。MRへの研修や学習は、知識インプットが中心となっており、効率的な教育を設計できていませんでした。
2つ目は営業力です。営業力を強化するためには、プレゼン能力向上の弱点補強が必須ですが、個々に最適な教育プログラムが整っていませんでした。
3つ目は学習文化が醸成されていないことです。製品教育課が、「自主自律型」「業務支援に役立つ学習」を掲げているものの、学習文化への強い発信力がありませんでした。
UMU導入各社の実績から、UMUによってこれらの課題克服ができることを知り、弊社は2022年に導入しました。
製品教育課においては、大学担当MR80人を対象に、生産性の向上と営業力の強化を目的にパイロット的に進めることになりました。
大学担当MR80名に実施したパイロット導入の取り組みと成果
パイロット導入の取り組みと成果を紹介します。
以前は「大学担当者会」を知識詰め込み型で研修を行っていました。
UMU導入後は、「UMU実施コース」を活用した事前課題を研修前に全員が履修し、従来よりも高い知識定着を図りました。
これにより研修当日は、知識の詰め込み型から、ディスカッション主体の形式に変革できました。現場で知識をどう活かしていくかを共有することに価値があるのではないかという観点からです。
事前課題で得た知識について「学内講師育成能力がどのように変化したか」を確認したところ、73%が「能力の向上を実感できた」という回答でした。
下画像右図は、新任大学担当者13人に行ったアンケート結果です。UMUを使った事前課題の良かった点として、「他の人の課題が見れて参考になる」「動画コンテンツで繰り返し学習できる」「自分の弱点がわかる」「スマホでも学習できる」などが挙がりました。
教育の効率化による生産性の向上や営業力の強化、学習コンテンツの整理などの成果に繋がっていることが確認できました。
この成果を受け、2023年度から医薬営業本部MR全体の約1000人に対し、UMU導入を決めました。学習文化の醸成、生産性の向上、営業力の強化の3つの課題をさらに攻略すべく、取り組んでいます。
経営層からのメッセージ配信で、学習文化の醸成を図る
人的資本の最大化を行ううえで、経営層のコミットメントが大切だといわれています。
UMU導入に際して、CEOと医薬営業本部長の対談を企画しました。そこでは、UMU導入の背景や目的について、MRに向けたメッセージをもらいました。この対談動画の視聴を、UMU導入の最初の実施事項としました。
この動画視聴後、学習者から「学習に関わる時間効率を上げていきます」「自己のレベルアップに向けてUMUを活用していきます」「得意先のアウトプット数を増やします」「UMU学習を活かして選ばれる営業マンになります」といった自発的なコメントが思った以上に多数寄せられました。
現場の心が動き、学びが加速する予感が、成果に繋がったと考えています。
〈CEOと医薬営業本部長の対談〉
UMU活用の反転学習で、集合研修の時間を3分の1に。
従来はインプットからディスカッションによるアウトプットまでを、月に1回実施している各拠点での定期勉強会の中で行っていました。
UMU導入後は、UMUを活用して事前にアウトプットを行い、定期勉強会ではディスカッション中心とする、反転学習に変更しました。これにより、従来1開催につき180分かかっていた集合学習を、60分前後に短縮することができました。約3分の1まで集合学習の時間を削減できたものと目算しています。
集合研修の時間が減ることで、MRは研修の時間を、情報提供活動の時間に充てることができるようになります。また、集合時間は減っていますが、隙間時間で事前学習を実施できるので、学習の総量は削減することなく維持されています。
定期勉強会の変更イメージですが、まずは事前課題としてUMUで知識のインプットを行いました。年齢も経験値も異なるため知識習得にかかる時間は人それぞれですが、UMUを使うことで、個人が自分のレベルにあった進捗で学習を進めることができました。
また、ディスカッション前に、知識確認とともに、自分ならどうするかを考える内容を盛り込み、学習者が自分事として学ぶ仕掛けを作りました。
ディスカッションでは、ナレッジ共有や事例検討に時間を割いています。
ディスカッション後は、今後自分が行うことを決めて、自ら宣言してもらいます。次月に、宣言した内容について振り返りを行うことで、次の活動のサイクルに進む設計にしています。
一元管理で資料の検索時間を削減し、生産性の向上を実現
資料の統合による情報検索時間の削減にも取り組んでいます。
今まで各部門の社内ページ、社内イントラネット、office365チームスなど、様々な媒体に散らばっていた資材を全てUMUに統合しました。
また、今までは継続教育、マナー教育、領域教育、大学担当者教育、公正取引委員会による安全教育などが、eラーニングやサーファスなどの媒体にばらばらに管理されていました。
これらをUMUに集約し、データを整理できるようになりました。
目算ですが、定期勉強会の変革と検索時間の低下によって、MRの生産性向上に寄与できていると考えています。
相談教室開催で、現場にUMUの利用促進を図る
UMUの導入にあたって、ITに明るくない人は抵抗感を持つのではないかと懸念していました。そのため、対象者が安心してスムーズに活用できるように、導入に向けた相談教室を2回開催するとともに、相談窓口を設置しました。
営業力強化として、AIを活用したロープレを実施
2023年上期は、製品に関するUMUコースを8本作成しました。
これまでは本社の教育部門や各拠点の教育部門からMRへ、間接的に教育するかたちでしたが、UMUにより直接の教育が可能となり、均質化できました。
8本のUMUコースの中で、マーケティングとして特に注力すべき重点施策については、プレゼンテーション動画の課題提出を必須としました。さらに、投稿された動画に対するマネージャーの評価も必須としました。
管轄エリアが物理的に広い場合も、支店長から直接的に動画課題へのフィードバックを得られるようになりました。
マネージャー(課長)は、拠点内の全メンバーのプレゼンテーションを見て評価しています。その評価やAIによる評価を知ることは、学び合いに繋がっています。
また、音声認識により話した内容はテキスト化されるため、ディテール内容のセルフチェックも可能となりました。
さらに、楽しむための工夫として、各拠点の代表者を選出して全社で共有しました。
営業支店巻き込みの工夫
営業力向上のために大切なことは、上長の意識を高めることだと考えています。
そのため、各営業所の実施状況を共有し、所長自らが動画撮影を行うとともに、営業所員全員の動画撮影完了を賞賛することを行っています。上長の意識が部下に影響することを営業会議で伝えています。
また、全国のMRが視聴できるように模範動画も共有しています。支店ごとに課長、所長、支店長が確認して全国20地点の代表者を選出し、営業会議で代表者を発表しました。
さらに、途中経過としてUMU学習コース完了のランキング発表を行い、エンゲージメントを高める工夫を行いました(下画像 左)。
UMU上で良いコメントをしている優れた所長を共有し、他の所長に気づきを促す工夫も行っています(下画像 右)。
更に、優れた動画を提出したMRを営業会議で紹介することも行っています。UMUがいかにアウトプットの向上に繋がっているのかを上司に伝え、関心を高めてもらうためです。
上期の営業活動回数は2倍の数値に上昇
学習者にアンケートをとったところ、コンテンツの満足度が高いことが確認できました。また、データの有効活用については全員が「理解できた」、ほぼ全員が「学んだことをアウトプットができる」と回答しています。学習者の体験の充実を確認できました。
上期(4月〜9月)の営業活動の変化を確認したところ、A製品においてコール数、説明会回数、症例獲得数が、前年に比べて、全て1.6倍になりました。
2022年は、コロナが5類だったことが影響している可能性があるため、プレゼンテーション動画撮影の任意コースとしたA製品と、必須コースB製品を比較しました。
両方とも前年より多く説明会を実施していますが、必須コースとしたB製品のほうがより説明会数が増加しています。
UMUコースでしっかり学習した群は、営業活動数が多いという結果
上期(4月〜9月)に続いて、11月からB製品対象の追加の学習コースを提供しました。
同年の9〜10月(追加学習前)と11月〜12月(追加学習後)で比較したところ、説明会の回数が1.27倍上昇しました。
UMUを1時間以上学習した人と、していない人でも比較しています。B製品のコンテンツをすべて見ると1時間以上要するだろうことから、比較基準を1時間としました。
その結果、1時間以上学習した群の営業活動が多いことが示されました。
UMU学習後の、MR説明会や成果に繋がる変化について、「説明会依頼に反応のない先生から、UMU学習後に返信があった」「今回学習した内容を紹介すると、試してみたいと反応があった」「説明会により、実際に採用された」などの報告がありました。
下期の学習を経て、営業活動回数は昨対比3倍に上昇
上期にプレゼンテーション動画撮影の必須コースを実施し、下期に追加の学習コースを実施したB製品は、昨年の11〜12月と比較すると、説明会回数が3倍以上上昇しました。
本取り組みを決算説明会資料でも紹介
パイロット導入の2022年から本導入の2023年にかけて、学習文化の醸成、生産性の向上、営業力の強化の取り組みの成果が少しずつ認められています。
このような取り組みを、2023年12月に開催された「UMU Performance Learning Award」で発表し、その様子を第3四半期の決算資料で紹介しました。
私たちのチームは、さらなるプレッシャーのなか、教育貢献ができるように取り組んでいきたいと考えています。
講演に対する質疑応答
-「事前学習のために時間を確保できない」といった意見は現場から挙がりませんでしたか?
宮内さん:パイロット的に実施した際、「隙間時間に自分で勉強できるので良い」という反応がありました。そこをポイントに社内に展開しています。集合研修を詰め込み型で学習するのと、隙間時間で学習するのとどちらが良いかを問いかけると、大半が後者を選択します。
-事前学習を促進するにあたって事務局から働きかけたことはありますか?
中村さん:事前学習を一連のパッケージにして’’強制力’’を持たせたことが、結果に繋がったと思います。個人で得意先を攻略するのは難しいですが、ディスカッションでは複数人で話せます。そのため、「学習⇨ディスカッション⇨行動」のサイクルが自然とできたのも良い成果だといえます。
-動画撮影に抵抗のある方もいらっしゃるかと思いますが、それを払拭するためにどのような工夫をされましたか?
宮内さん:製品課がまずは動画を提出しました。「私たちもやっているから、みんなやろう」というかたちで進めたので、思ったよりもスムーズに運営できたと思います。
-営業の方がUMUを認知して、日々プラットフォームにアクセスするようになった要因を教えてください。
宮内さん:相談会を設置していたことがよかったのだと思います。初期段階では、やり方がわからないという声が多々ありました。すぐ質問できる環境があることは、現場からの反響も良かったです。
中村さん:新しいものを発信するとアクセスが伸びるので、新しいコンテンツの発信を継続することが必要なのではないかと思います。
-UMUで学習した後に、説明会開催に興味をあまり持たれていなかったドクターへの説明会開催が決まったというお話がありました。これはUMU上の学習によって、どんな効果があって、成果に結びついたのでしょうか?
宮内さん:例えば適応症の広い漢方薬など、製品のデータについて、より深い知識をつけて話せるようになったことが大きいと思います。新しい見聞を得たことで、製品の良さが伝わり、ドクターの反応が良くなりました。成功事例の中から参考となるものを見つけて次の説明会開催の提案に活かしたり、ドクターの領域に合わせた説明会を開催できたりしたという声が届いています。
大手企業様をはじめとして、全社学習プラットフォームの活用、営業教育、新入社員教育等、様々なシーンでUMUをご利用いただいております。
Webでは公開していない情報も含めて、一つの事例に対し、1スライド形式でわかりやすく解説した事例集をご用意しております。是非事例集も合わせてご覧くださいませ。
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