「ツムラ漢方マイスター制度」UMU利用頻度と本試験点数に相関関係。マイスターの実務成果の高さを証明

株式会社ツムラは、2022年にUMUをパイロット導入し、2023年から全MRを対象に本格導入しています。研修での活用事例と成果との関連性についてうかがいました。

※2024年2月開催「Performance Learning Summit 2024」にてご講演頂いた内容を基に記事を作成しております。

 

講演登壇日:2024年2月19日(月)

講演タイトル:導入教育研修におけるUMU活用

登壇者:株式会社ツムラ 医薬マーケティング部 教育研修課 茂木 敏史氏

 

 

企業情報

会社名:株式会社ツムラ

設立:1936年4月(創業:1893年)

代表取締役社長CEO:加藤 照和

所在地:東京都港区赤坂二丁目17番11号

資本金:301億42百万円 (2023年3月31日現在)

事業内容:医薬品(漢方製剤、生薬製剤他)の製造販売

URL:https://www.tsumura.co.jp/index.html

 

パイロット導入で手応えを感じ、2023年度から約700名の全MRがUMUを活用

私がUMUを知ったのは、2021年ごろでした。当時、実はUMUの活用方法について懐疑的でした。直接UMUのご担当者にご相談させていただいたところ、納得できる取り組みをされていたため、2022年にまずは教育部門において対象を絞ってパイロット導入することになりました。

 

当社のMRは約700人いますが、新入社員15人と2年目のMR20人と大学担当者の約80人に対してまずは教育を行いました。結果、UMU導入による成果がみられたため、2023年度に全MRを対象に本格導入をしました。

 

医療メーカーは、入社後、常に情報更新する必要があります。
入社して半年間の導入教育の後、継続教育というかたちで学習を提供しています。
私たちは主に入社半年間の導入教育と、5年次までの若手MRに対する基礎教育「シラバス研修」を行っています。

 

漢方に関する知識は、ベテランになるほど習熟度が高まることが理想的ですが、そこには課題があります。その解消にUMUを活用できないかと、現在取り組んでいます。

 

2023年度の新卒社員研修の目的は自主自立型の人材の育成

2023年度の新卒社員研修は、前年度の反省を踏まえて実施しました。

当社の導入教育は「圧倒的なアウトプットとフィードバック機会を設定することによって、自主自立型の人材を育成する」ことを目的としています。

 

従来の研修はインプット主体になりがちでしたが、アウトプットの機会を設けることを強く意識して研修を設計しています。受講者同士のフィードバックの機会も設けるように変更したのです。

UMUを有効活用し、リアルの集合研修とリモート研修の混合型で、OFF-JTとOJTを含めて110日間の研修を行いました。

 

 

UMU導入でMR認定試験全員合格を10年ぶりに達成

MRについては、知識、技能、倫理観の3要素で習熟度を確認しています。

 

すべての要素でUMUを活用していますが、特に知識について詳しくご紹介します。当社はMR認定試験の合格に関しては、最低限の知識レベルと考えております。2013年以降、不合格者も数人いましたが、2023年度は10年ぶりに全員合格しました。

 

十分に学習してから現場に配属するために、毎年4〜9月に導入教育を行っています。研修成果の確認として9月に模試を実施し、A〜Dにレベル分けしています。A~Ⅽが本試験に受かるレベルです。2021年のUMU導入前の状態(下画像 左グラフ)においては模試でDランクをとる社員が数人いました。一方、UMU導入後の2022年は、Dランク以下が1人もいませんでした。それだけではなく、これまでB~Cランクがボリュームゾーンでしたが、3教科すべてにおいて、Aランクがボリュームゾーンとなっていました。

 

ただ、2022年12月の本試験では2人が不合格でした。油断と過信が原因だと考えています。9月に実施した模試で良い成果を出したことで、私たちも現場の上長たちも安心してしまいました。UMUでは毎日問題を配信していましたが、完遂の徹底を指示しきれていませんでした。そのため、せっかくの学習習慣が途絶えてしまったのです。大きな失敗でした。

 

 

UMUはあくまでもプラットフォームです。我々が熱意を込めて循環させきれるかどうかで、成果が大きく変わると勉強になりました。

 

2023年度はこれを踏まえて、UMUを導入教育に活用しました。9月の模試では、Dランク未満が1人おりましたが、ボリュームゾーンは昨年と同様Aランクです。点数では、昨年と比較して3科目中2科目の点数が向上しました。12月の本試験では、現場と意識を共有して学習機会を設け、全員が合格できました。

 

 

アウトプット、フィードバックを重視した4つの取り組み

アウトプット機会の設定とフィードバック機会の設定を特に重視し、動画の投稿と評価を行いました。活用の4つのポイントをご紹介します。

 

1.相互啓発

受講生同士によるプレゼン能力の向上を促しました。MRのテキストや製品教育について動画で学んだことを、動画にアウトプットすることを課題としました。

 

研修4日目と47日目の動画を見比べると、劇的な変化を確認できます。新卒社員の配属現場への引き継ぎ資料としても提出し、成長過程を自他ともに確認できました。

 

 

そして、提出した動画に対する評価を、新卒社員同士で行いました。他者に見られることで、より良い動画を残そうとモチベーションが向上したのではないかと思います。

 

 

また、新卒社員はフィードバックされるだけでなく、フィードバックする立場としても、良かった点や改善点を意識しながら動画を視聴します。

これにより、真剣さや緊張感を維持できたと感じています。

 

 

製品教育においては、24回プレゼン動画を提出してもらいました。同期15人から360回分のフィードバックが集まります。その内容はすべてUMUに残されますので、都度見直すことによってモチベーションを維持できたのではないでしょうか。

 

2.双方向型

従来型研修では、一方通行になりがちです。一方、当社の導入教育では、反転教育を採用し、双方向型の研修を意識しました。研修の目的をアウトプット中心にしたことで、受講者の満足度が向上しました。

 

例えば、従来型の研修では、16名の研修生がいた場合、研修中に1人に質問を当てた場合、他の15人は緊張緩和してしまいます。UMUを活用すれば、1つの問題に対して全員が答えられるため、常に緊張感を維持できます。

 

回答は、文字だけでなくて動画でも回収でき、テストの正答率やスピードでランキングも表示されます。受講生は緊張感をもって、しっかり講義を聞くことになります。

 

 

受講生にとっては、かなりストレスを与える研修でしたので、不平が出るだろうと予測はしていました。しかし、アンケートでは、意外にも満足度が高く、驚きました。「他の人の回答を見ることによって勉強になった」「緊張感をもって受けられた」などの前向きな意見ばかりで、双方向型研修の良さを実感しました。

 

 

 

3.生産性向上

UMUの活用により、研修準備にかかる手間も軽減し、生産性が向上しました。例えば、これまでExcelで管理していた研修中の日報を、UMUを活用することによって、確認にかかる時間を大幅に削減できました。

 

 

 

4.アウトプットで記憶に残す

ラーニングピラミッド(学習方法と学習の平均定着率の関係を示した理論)では、『他の人に教えること』が学習定着率の最も高い方法と言われています。

 

例えば、テキスト学習について、ただ「読んでください」というより、「明日テストするから読んでください」と言うほうが定着します。「テキストの内容について人に説明してほしいので読んでください」と言うと、さらに定着率が高まります。

 

当社では、導入教育後の課題として動画撮影を実施しています。人に説明するような課題が与えられているため、しっかり研修を聞きますし、研修後も動画投稿のためにセリフを整えるため復習を兼ねられます。また動画撮影は、知識定着を促すだけでなく、同時にプレゼンスキル向上にも繋がります。そして、動画を軸にして、お互いの啓発を図ることもできます。

 

撮影された動画は、AI分析、キーワードスコア、他者評価と3つの観点からフィードバックされます。AI分析では、明瞭さ、スピード、流暢さ、アイコンタクト、表情、ジェスチャーの6つの軸でAIによって評価、採点されます。キーワードスコアでは、重要な言葉を使えているかの確認、他者評価で上長も評価できるというように、多面的な評価がしやすいところもUMUのメリットだと思います。

 

 

※詳細は、過去のインタビュー記事内「動画投稿は3つの分析評価方法」でもご確認いただけます。

https://umujapan.co.jp/interview/tsumura-new-employee-training/

 

MR試験対策の具体的な取り組み

MR試験対策においてUMUをどのように活用したか、1日の流れをご紹介します。UMUによるアウトプットとインプットを「サンドイッチ型」にしています。

 

 

上画像右側は、ある1日のコースで、時間軸によって区切られています。例えば、まず各章の動画とテキストの内容をしっかりとインプットさせて、その後どんな学びがあったのかを記述でアウトプットさせます。これをすべて終えて、16時からテストで確認します。

 

テストで間違えた問題は、自動的にUMUの「マイ問題集」に収納されます。自分が間違えた問題を簡単に確認することができるのです。常時、手間なく反復確認でき、学習効率が向上しました。

 

 

さらに、16時30分〜17時に自分が間違ったところについて他者に説明する、アウトプットの機会も設けます。それについて同期社員がフィードバックする時間も設けています。アウトプットによる相互啓発によって、集合知が働き、効率的な学習定着を促すことができます。

 

 

 

「講義UMU化マニュアル」で配属後の学習の効率化を実現

講義UMU化マニュアル(自力解決補助)もとても功を奏しました。

 

MRは、製品知識を得るだけでなく、実売の見方や文献検索の方法など、様々なことを学ぶ必要があります。導入教育中に各部署の担当者が講義を行いますが、配属前の新卒社員は必要性を感じておらず、忘れてしまいます。そこで、これらの講義動画や資料をUMU上に残してもらうことにしました。これまでは講義中にハンドアウトの資料を渡していましたが、内容も忘れ、資料もなくしてしまうことがありました。UMU内に置くことによって、後から自分で探すことができ、配属後の効率化に繋がりました。

勉強時間を確保するための、重要なポイントになったと感じています。

 

導入教育については、受講者がしっかりと勉強できるようにUMUで組み立てることができました。ここで得た知見を活かして、それ以外の業務でも活用しています。

 

「ツムラ漢方マイスター制度」UMU利用回数と本試験点数に相関関係

研修が実績に繋がるかは、企業にとって大切なことです。いくら知識を得られても、それを医師に伝えて、実績として残せなければ意味がありません。

 

私たちは、シラバス研修と導入教育のほかに、「ツムラ漢方マイスター制度」も担当しています。習熟度が高いMRを選定し、さらに「マイスター」として養成する取り組みです。制度は、大きく三つのフェーズ二分割されます。「①選定」「②養成」「③認定」です。年1回の社内試験で選定されたMRに、年に5回の養成研修を実施します。研修後、修了確認試験の合格者をマイスターとして認定します。

 

2020年、全社目標として「2031年までにマイスター称号者500人」と定めました。1年間に50人ずつ認定する必要がありますが、遅々として進んでおらず、現在38人のみです。しかし、2023年度、UMUを活用したところ、大きな成果を得られました。

 

 

選定テストの学習にUMUを活用

運営上、第一段階の「選定」がボトルネックになっていました。2020年度はもともと習熟度が高い28人が選定されていました。しかし、次年度以降、養成研修を受けるメンバーが少なくなってしまうという課題がありました。

 

 

しかし、2023年4月から、選定テストの事前学習にUMUを活用したところ、過去2年と比較して2倍の人が選定テストをクリアしました。29人はUMUを活用したことによって合格したという結果が出ました。2024年度以降は、さらに多くの人がUMUで学習するだろうと予想しています。

 

 

UMU利用頻度と本試験点数に相関関係

2022年度、社内システムで過去問や毎月のドリル掲示を行い、Microsoft formsで本試験を実施したところ、通信障害による解答回収の不備がありました。これを受け、2023年度はUMUで一元管理することにしました。練習問題や講義動画、生薬の問題を配信するほか、9月には初めて模擬試験を実施しました。

 

模擬試験は実証実験の役割も果たし、本番当日も問題なく実施することができました。UMUのご担当者にも、非常に大きな助力をいただきました。

 

 

結果が、縦軸にUMUの問題回数、横軸に本試の点数の結果を出した上の散布図です。相関係数0.31とやや弱いながらも、UMUでたくさん問題を解いた人ほど本試験点数が高いという結果が出ました。

 

 

また、合格点である75点以上の人のUMU利用平均回数が約91回と、それ以下の人に比べて約3倍でした。

 

マイスターが実務でも成果を発揮

ツムラ漢方マイスターは、下画像の通り実務でも成果を発揮しています。ツムラ漢方マイスター38人、その他MR691人の2023年度の上期の結果を見ると、営業目標達成者の割合が、非マイスター31.0%に対してマイスター44.7%と、13.7%高いことがわかりました。

マイスターが成果をあげていることがわかり、選定テスト合格に向けて、前向きに促せるようになりました。

 

学習機会の平準化が、自学自習の習慣化に繋がる

シラバス研修は、ツムラ漢方マイスターを目指す若手を育てる基礎教育です。これまでは、研修中と研修後にインプットするかたちで行っていました。UMUを使うことによって、研修前の事前準備、研修中の口頭試問、研修後の動画課題提出と、アウトプットの機会を多く設定できています。

 

 

事前課題では、受講者に現場で使うリーフレットについてしっかり話せるかどうか、文字起こしと動画を提出してもらいます。講義者はそれを見て、レベルを確認したうえで、講義内容を決めます。すでに理解していることは講義せず、多くの受講者が勘違いしている点や、知識が不足している部分に特化して講義を行います。

 

前述の通り、研修中もアウトプットの機会を多く作り、常に緊張感を持って受講してもらう工夫をしています。緊張感をもつことで、インプットの質も高まるのではないでしょうか。

 

研修後は、学びを定着させるために動画を投稿してもらいます。動画は現場の上長にも評価してもらいます。投稿された動画をすべて見たうえで、推奨動画をリコメンドして、循環させています。

 

 

従来の研修では、研修中が学習のピークでした。UMUを導入したことにより、研修前から研修後まで課題があるため、学習機会が平準化しています。 つまり日常的に学習する、自学自習の習慣化を促すことができたのです。

 

2023年度のレベル確認試験において、29人中8人がシラバス研修を受けた若手MRでした。シラバス研修中にUMUを使ったからこそ、試験にも前向きに取り組めたのだと思います。

私たちは、「わかる」に留まらず、成果に繋がるような研修を構築したいと考えUMUを活用しています。

 

講演に対する質疑応答

-新入社員同士でフィードバックし合う取り組みについて、何か工夫されたことはありますか?

新入社員の中にもフィードバックが上手な人も含まれているので、それを見て学び取っているようです。お互いに研鑽する機会を作れば、1から10まで言わなくても、ある程度成立し、育っていきます。私たちも、改善点などがあればフォローしています。

 

-実際導入初期において、どれくらいUMUの準備に時間を充てられましたか?

準備に時間はかかりましたが、その後の成果を考えると導入する価値がありました。最初はどのように組めばよいのかわからず、精神的な負担感はありましたが、UMUのご担当者に優しく教えていただいたので、安心して導入できました。

 

-課題の動画をすべて確認することはとても大変な作業になるかと思いますが、どのような体制で確認を行われていますか?

すべての動画を確認することは、前提としていません。研修生同士のフィードバックに任せています。文字起こしの内容をざっと見て確認することはありますが、それ以上に、受講者同士のフィードバックを促すことが大切だと考えています。回数を重ねるうちに、自分たちで気づき、修正されていきます。

 

-導入研修担当者は全員で何名でしょうか。

導入研修の担当者は7人です。実務としてUMUを率先して使ってるのは3~4人です。研修はどう組むかよりも、コンテンツの中身のほうが重要です。コンテンツは、他部門にスライドを作ってもらったり、試験問題は専門の人に作ってもらったりしています。UMU導入後も、コンテンツを作る人の仕事は大きく変わっていません。UMUに慣れて、新しい気づきを得て、新しい問題形式を作るケースもあります。取り組みたいことがあれば、UMUの方に相談すると、実現のサポートをしてくれます。

 

-MR認定試験では、間違えた問題すべてを動画で提出するのでしょうか?

すべてではなく、一番自分が覚えにくそうな問題、自分の課題となっている問題を取捨選択してもらっています。すべて動画で提出する場合、たくさん間違ってる人はたくさん動画を残さなくてはいけないからです。毎日のテキスト学習に関しては、1対1でタッグを組んでもらい、フィードバックし合う仕組みを作っています。

 

-プラットフォーム活用において、どのように他部門と連携されていますか?

営業支援部署のほか、文献を検索するための装置や説明会の資料の申請方法、稟議の立て方、交通費の精算など、すべて研修中に行っています。そのため、財務などさまざまな部門との連携があります。特に新入社員に対しては社内の様々なことを教えなくてはいけません。

普段プレゼンテーションしている資料にセリフを入れてもらい、私たちが「AIビデオ」を活用し動画コンテンツを作成しました。作成後、各部門に出来上がりを確認してもらいましたが、満足してもらえました。2年目以降は情報の更新だけなので、他部門の負担は軽減したと思います。

 

 


 

大手企業様をはじめとして、全社学習プラットフォームの活用、営業教育、新入社員教育等、様々なシーンでUMUをご利用いただいております。

Webでは公開していない情報も含めて、一つの事例に対し、1スライド形式でわかりやすく解説した事例集をご用意しております。是非事例集も合わせてご覧くださいませ。

 

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