IT人材育成のプロ、トレノケートが300名を超える大規模新入社員研修で実現した「自律学習」への変革
企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支えるIT人材の育成は、いまや経営そのものと直結する重要課題です。しかし、大規模な研修では「品質のばらつき」や「学習内容の定着」といった根深い問題を引き起こします。
約30年の歴史を持つ人材育成のプロ、トレノケート株式会社もまた、同様の課題に直面していました。長年の重要顧客から求められたのは、従来の手法にとどまらない、研修改革の提案でした。それは、同社にとってこれからの事業を見据えた、重要な取り組みの始まりでした。
講師主導型研修(ILT)を主力としてきた組織が、いかにして300名以上もの新入社員を「自律学習」へと導いたのか。その裏側には、学習プラットフォーム「UMU」を核とした、学習体験の設計と、組織全体での取り組みがありました。
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会社概要
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- 社名:トレノケート株式会社
- 本社所在地:東京都新宿区西新宿六丁目8番1号 住友不動産新宿オークタワー20階・27階
- 設立:1995年12月
- ホームページ:https://www.trainocate.co.jp/
「今までのやり方を変えたい」―。顧客からのコンペ要求を機に、研修モデルの変革へ
― 長年の重要顧客から、従来どおりのやり方ではない提案を求められたことが、今回のプロジェクトのきっかけだったと伺いました。
三浦さん:はい。10年以上お取引のあるお客様から、『今期はやり方を変えたいのでコンペとしたい』という、お話をいただきました。前年度までの積み上げではない、まったく新しい提案が求められたのです。お客様から提示されたキーワードは『デジタルラーニング』と『自律学習』でした。
受講者数が増えるとクラス数や講師数も増えるため、講師の品質をどう均一に保つかという課題は以前からありました。さらに、従来主力としてきたILT (Instructor-Led Training)の知見だけでは、お客様の期待に十分応えられないと感じました。これまでもeラーニングコンテンツを利用した人材育成に取り組んできましたが、まだ十分に活用しきれていないという課題もありました。今回の機会は、改めてデジタルラーニングをどのように自社の強みとして発展させていくかを真剣に考えるきっかけとなりました。
自律学習の「鍵」はアウトプットにあった。なぜUMUだったのか
― 既存のLMSや従来の手法では限界がある中、なぜUMUが最適なパートナーだと判断されたのでしょうか。
工藤さん:既存の社内LMSでは、どうしてもインプット中心の設計になり、受講者がアウトプットできる機能や設定が限定的でした。UMUはアウトプットを促す機能が豊富で、何よりUI/UXが『受講者の目線』で作られていると感じました。研修コースを自由に組み立てられる設計の自由度の高さも魅力でした。これなら、単に動画を見せるだけではない、本当の意味での自律学習を支える基盤になれると判断したのです。
「講師が補足する前提」からの脱却。124時間分のコンテンツ開発秘話
― UMUの導入を決定し、どのようにプロジェクトを進められたのでしょうか。
三浦さん:講師、営業、システム担当など、約30名が関わる大規模プロジェクトとなりました。コンペという状況下で、短期間での対応が求められましたが、同時に社内では研修を変えていく好機だという意識が共有されていました。
プロジェクトで特に注力したのは、研修コンテンツそのものの開発でした。4カ月の研修で必要となる動画は、合計124時間分。その約半分を、採用が決まってから研修が始まるまでの数か月で新規に作成する必要がありました。
森さん:単に動画を制作するだけではありませんでした。重要なテーマは、私たちの『設計思想』そのものを転換することでした。従来の研修資料は、講師が口頭で補足することを前提に作られています。それを、受講者が一人でも迷わず学べる『自律学習用コンテンツ』へと、すべてチューニングし直す必要があったのです。
ヒントの出し方、設問の表現一つひとつに至るまで、工藤さんを中心に、受講者目線での細やかな改善が重ねられました。
「自助・共助・公助」を文化へ。UMUが可能にした学び合いの設計
― UMUを具体的にどのように活用し、「自律学習」を促す仕組みを構築したのか教えてください。
工藤さん:最も特徴的だったのは、『他の受講生の結果が見える』機能です。これまでのLMSでは、学習は完全に個人的なものでした。しかしUMUでは、他の受講生のアウトプットが見えることで、健全な競争意識や、『自分も頑張ろう』というモチベーションが生まれました。実際にアンケートでは『他の人が見えてモチベーションになった』という声が寄せられる一方で、『プレッシャーに感じた』という声もありました。社内では、それも新入社員のうちに経験すべき貴重な体験だと捉えています。
さらに、トレノケート社は独自の学習文化を提唱しました。
三浦さん:研修の冒頭で『自助・共助・公助』というルールを徹底しました。まず自分で調べ(自助)、次にUMUのコミュニティ機能で同期と助け合い(共助)、それでも解決しなければ講師に聞く(公助)、という流れです。これにより、単なる知識の習得だけでなく、これからのITエンジニアに必須の『学び続ける力』そのものを育むことを目指しました。
満足度90%は始まりに過ぎない。苦難の先に見えた、組織と事業の変革
― この挑戦は、受講者と運営側の双方にどのような成果をもたらしましたか。
森さん:受講者アンケートでは、80~90%が『自主的な学習習慣が身に付いた』と回答するなど、非常に高い評価を得ることができました。特に意欲の高い受講生は、私たちが教えていない技術まで自ら調べ、最終課題に反映させるなど、期待をはるかに超える成長を見せてくれました。
エンゲージメントの高さは、研修後に寄せられた「講師へのお礼のコメント」の多さからも明らかでした。しかし、成果はそれだけではありません。運営側であるトレノケート社自身に、より大きな変革がもたらされました。
森さん:講師の意識が、『動画を作って見せること』から『学び合いをどう設計するか』へと大きく変わりました。その場で臨機応変に対応するスタイルから、事前に学習体験の全体像を『設計』する文化へと移行しつつあります。そして何より大きな成果は、これまで講師個人のスキルや経験に依存しがちだった研修ノウハウを、誰でも再現可能な形で他のお客様にも展開できる、持続可能な会社の『事業資産』へと転換できたことです。この取り組みが、われわれのデジタルラーニング事業を大きく前進させました。
UMUはパートナー。「集合研修を超える」オンライン学習の未来へ
― UMUと共に、どのような「次世代の人材育成」の姿を描いていますか。
工藤さん:オンラインでも、同期と一緒に学んでいるという一体感を、さらに醸成したいです。そして、UMUを活用して『動画での自律学習は、集合研修と同等、もしくはそれ以上の成果を出せる』という認識を広めていきたいです。
三浦さん:UMUは単なるツールではなく、われわれのビジョンを実現してくれる存在です。UMUと出会えたことで、できることの幅が広がり、今後のさらなる可能性も感じています。今後は、弊社のオンデマンド演習環境とUMUを連携させ、インプットから実践までをシームレスにつなげたい。UMUのAI機能を活用して受講者の質問内容を分析し、学習のつまずきを可視化するなど、今後も取り組みたいことがあります。
コンペを機に始まった今回のプロジェクトは、トレノケート社のデジタルラーニング事業を発展させる、重要な取り組みとなりました。UMUというパートナーと共に、同社の歩みはこれからも続きます。
▼本事例に関するお問い合わせ
トレノケート株式会社が実現した、大規模オンライン研修のDX。 その背景には、学習効果を最大化するための緻密な学習設計と、それを支えるプラットフォームの活用がありました。
- 大規模研修の品質を標準化し、学習効果を高めたい
- 講師主導型の研修から、学習者の「自律学習」を促すモデルへ転換したい
- 講師個人のスキルに依存しがちな研修ノウハウを、誰でも再現可能な「事業資産」へと転換したい
このような課題をお持ちの企業担当者様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。 貴社の課題に合わせた、最適なソリューションをご提案します。
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組織のAI力を高める
実践型AIトレーニングとは?
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人材育成でUMUのAIを活用した効果が数字でわかる企業事例に加え、最先端の生成AI知識を習得し、変化の激しいAI領域における最新の事例や技術トレンドをキャッチするためのポイントも紹介。さらに、事業会社でのAI活用事例を通じて、自社のビジネスへの応用イメージを膨らませることができます。