求人倍率3.8倍の激戦を勝ち抜く。内外テックが「SEMIポータル構想」で実現した、エンジニア50名増員と外販ビジネス
内外テック株式会社 / 内外エレクトロニクス株式会社
能登 陽子 さん、堀口 裕介さん
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企業概要
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社名:内外テック株式会社
業種:半導体製造装置部品 仕入販売・受託製造
従業員数:222名(パート社員含む / 2025年6月25日時点)
ホームページ:https://www.naigaitec.co.jp/
Performance Learning Award 2025 受賞企業
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本事例の内外テック株式会社は、ユームテクノロジージャパンが主催する「Performance Learning Award 2025」の受賞企業です。同アワードは、学習を企業の業績や経営インパクトに直結させた革新的な取り組みを表彰するものです。内外テック株式会社は、AIとVRを融合した育成基盤を構築し、自社のエンジニア増員のみならず、その仕組みの外販で業界全体の課題解決に貢献しようとする点が評価され、2025年度の受賞企業として選出されました。
Key Takeaways(要点まとめ)
- 課題:半導体市場の急拡大に伴いエンジニア不足が深刻化。求人倍率3.8倍の売り手市場において、2027年までに79名の技術者を確保・育成する必要があった。
- 解決策:AI活用学習プラットフォーム「UMU」を基盤に、伝説的エンジニアの知見をAI化した半導体eラーニングやAIチャット、更にVR・MR技術を統合した「SEMIポータル構想」を構築した。
- 成果:計画に対し順調に50名のエンジニア増員に成功。さらに同教育パッケージを派遣会社などへ外販することで、新たな収益源と業界貢献の両立を実現しようとしている。
1. 導入のきっかけ・背景
国家的プロジェクトの裏側で深刻化する「3万人のエンジニア不足」
── まず、今回のプロジェクトが発足した背景についてお聞かせください。
能登さん:背景にあるのは、半導体業界全体が直面している構造的な課題です。現在、AI向けデータセンターや車載関連の需要増に伴い、半導体市場は爆発的な成長を遂げています。2030年には市場規模が1兆ドルに達すると予測されており、国も「特定重要物資」として10兆円超の支援を計画するなど、まさに国家的プロジェクトが動いています。北海道のRapidusや熊本のJASM(TSMC子会社)などは、その象徴といえるでしょう。
しかし、市場が拡大する一方で、それを支える「エンジニア」が圧倒的に不足しています。国内で約3万人が不足し、求人倍率は3.8倍という完全な売り手市場です。私たち内外テックグループにとっても、これは対岸の火事ではありません。2027年までに79名のエンジニアを採用し、育成しなければならないという目標があります。従来のOJT頼みの教育や、属人的な指導だけでは、このスピード感と規模感に対応することは不可能でした。そこで、社内外のエンジニア教育を抜本的に効率化すべく、「SEMIポータル構想」を立ち上げたのです。
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2. 選定理由・決め手
伝説の知見をAI化。知識と体験を融合させる「SEMIポータル構想」
── 非常に壮大な構想ですが、その中核として「UMU」を選定された理由は何でしょうか。
能登さん:最大の理由は、私たちが目指す「座学と実践の融合」を実現できる柔軟性にありました。半導体のエンジニア教育において、座学での知識習得は必須ですが、それだけでは現場で使えません。一方で、現場でのOJTは指導者の負担が重すぎます。このジレンマを解消するために、私たちは二つのアプローチを取りました。
一つは「知識のAI化」です。元NEC主席技師長であり、半導体関連書籍を20冊以上執筆されている菊地正典氏を顧問に迎え、その膨大な知見をAIに学習させた半導体eラーニングとAIチャットを開発しました。
もう一つは「VR・MRとの融合」です。クリーンルームでの作業やメンテナンス技術など、物理的な制約があるトレーニングをVR(仮想現実)やMR(複合現実)で再現し、それをUMUの学習コースに組み込むことを目指しています。AI活用学習プラットフォーム「UMU」には単なる動画配信ツールではなく、こうした多様なテクノロジーを統合する「ハブ」として機能することに期待しています。
3. 導入後の効果・成果
自社育成から「業界への外販」へ。UMUと実現した新たなビジネスモデル
── 実際に導入されて、どのような成果が出ていますか。
能登さん:定量的な成果として、2027年の目標に向けて、現時点で50名のエンジニア増員を実現できています。10月からは半導体eラーニングによる本格的な教育もスタートしており、46名の社員が受講中です。
しかし、それ以上に画期的な成果といえるのが「業界全体への教育展開」への道筋がついたことです。 私たちは、特定の企業だけに閉じるのではなく、スキルを持った企業同士がつながる「オープンクラスター(共創ネットワーク)集団」を目指しています。エンジニア不足は業界共通の課題です。だからこそ、私たちが構築した「SEMIポータル」の仕組みを、同じ悩みを抱える半導体デバイスメーカー様や、派遣会社様などへも提供していきたいと考えています。自社で培った教育ノウハウを社外へ展開(外販)することで、自社の採用力強化だけでなく、半導体業界全体のエンジニア育成に貢献できる体制が整いました。
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4. 今後の展望・ビジョン
「学びが評価される」組織へ。人事データ連携が描く未来
── 今後の展望についてお聞かせください。
能登さん:今後は「教育」と「評価」の連動を強化していきます。具体的には、UMUでの学習データを人事評価システム「カオナビ」と連携させる計画です。「何をどれだけ学んだか」がブラックボックスにならず、正当に評価や処遇に反映される仕組みを作ることで、社員の自律的な学習意欲をさらに引き出したいと考えています。
また、AIによるパーソナライズも進めます。個々のスキルレベルに合わせて、AIが最適なeラーニングをレコメンドする環境を構築します。私たちは、従来のサプライチェーンの枠を超え、高い技術を持った「オープンクラスター集団」になることを目指しています。自社だけでなく、業界全体にこの教育プラットフォームを展開することで、日本の半導体産業の再興とエンジニア不足解消に貢献していく覚悟です。
UMU 活用POINT
- 半導体AIチャットとUMUの連携によるナレッジ資産化
顧問である菊地正典氏の最新著書を含む4冊を学習させた独自の半導体AIチャットを構築。これにより、社員は24時間365日、伝説のエンジニアの正確な知識にアクセス可能です。UMU上の学習コースと、このAIを組み合わせることで、属人化しがちな技術伝承を「デジタルな師匠」が支える環境を整備しました。
- 座学とVR・MRを融合した「ハイブリッド・オンボーディング」
座学だけではイメージしづらい「クリーンルーム内の所作」や「精密機器のメンテナンス」を、VR・MR技術で再現するコンテンツも開発・検証しています。UMUでの知識習得に加え、仮想空間でのシミュレーションを組み合わせることで、物理的な制約を超えた効果的な学習環境の構築を目指しています。
- UMUの販売機能を活用した「教育パッケージの社外提供」
自社専用の環境にとどめず、派遣会社など社外へも柔軟に学習環境を提供できる「教育パッケージ」として設計中です。UMUが持つコンテンツ販売・管理機能を活用することで、コンテンツの機密性を守りながらスムーズな社外展開を実現。自社の育成ノウハウを業界へ還元する仕組みを構築しています。
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まずはコレから!
学びが変わる。組織が変わる。
生成AI時代に成果を生む、
UMUのAIラーニング戦略と事例を公開
UMU(ユーム)は、2014年にシリコンバレーで誕生し、現在では世界203の国と地域で100万社以上、日本では28,000社以上に導入されているグローバルAIソリューションカンパニーです。AIを活用したオンライン学習プラットフォーム「UMU」を核に、学術的な根拠に基づいた実践型AIリテラシー学習プログラム「UMU AILIT(エーアイリット)」、プロンプト不要であらゆる業務を効率化する「UMU AI Tools」などの提供により、AI時代の企業や組織における学習文化の醸成とパフォーマンス向上を支援しています。従業員が自律的に学び、AIリテラシーを習得・活用することで業務を効率化し、より創造的で戦略的な仕事に集中できる時間や機会を創出。これにより、企業の人的資本の最大活用と加速度的な成長に貢献します。