背中を見て学ぶ営業文化から脱却。三菱地所ホームがUMUで実現した、領域内のナレッジシェアと「教えあう文化」の醸成

▲三菱地所ホーム株式会社 新築注文事業領域事業統括部 人材育成室 山﨑 史織 様
 営業育成を主なミッションとしながら、全社的なジョブローテーションの推進など、幅広く人材開発に携わる。

 


 

高品質なオーダーメイド住宅で、顧客一人ひとりの“生涯の暮らし”に寄り添う三菱地所ホーム株式会社。同社の強みは、顧客の想いを形にする提案力を持つ営業担当者の存在です。しかし、その育成においては、営業マニュアルがなくOJT中心であるがゆえの「営業トークの属人化」という長年の課題を抱えていました。

 

同社はこの課題を解決すべく、AIラーニングプラットフォーム「UMU」を導入しています。テクノロジーと緻密な研修設計を組み合わせることで、営業トークの標準化と領域内でのナレッジシェアを実現し、受講者視点での研修有用度は100%という驚異的な成果を達成しました。

 

今回は、この研修DXを主導された事業統括部 人材育成室の山﨑史織さんに、課題解決に至るまでの道のりと、その裏にあった工夫の数々について詳しくお話を伺いました。

 

 

企業情報

社名:三菱地所ホーム株式会社
本社所在地:東京都新宿区新宿6-27-30 新宿イーストサイドスクエア7階
設立年月日:1984年7月2日
ホームページ:https://www.mitsubishi-home.com/

課題は“背中を見て学ぶ“OJT文化。営業トークの属人化と保有スキルの不透明性

―まず、UMU導入前に抱えていらっしゃった課題について、改めて詳しくお聞かせいただけますか。

 

山﨑さん:UMU導入前は、社内に統一された営業マニュアルがなく、営業担当者の教育はOJTが中心でした。新卒だけでなくキャリア入社の社員も、基本的には周りにいる先輩や上司の営業トークを聞いて真似るといういわば”背中を見て学ぶ”ような形で営業スキルを身につけているのが実情です。

そのため、取り扱う商品の強みやお客様からのよくある質問に対して、担当者ごとに回答の精度にばらつきがある状態でした。

 

―OJTに依存した営業育成体制が、営業トークの属人化につながっていたのですね。

 

山﨑さん:はい。それに加え、私たち事業統括部のような支援者側からすると、個々の営業担当者が会社として求めるレベルに達しているのかを客観的に確認する術がない、という課題もありました。現場のグループリーダーであれば把握できても、会社全体としてのレベル感を可視化し、底上げを図ることが難しい状況だったのです。

 

また、当時はZoomによるオンライン研修も実施していましたが、どうしても一方通行のインプットに偏りがちで、知識の定着につながりにくく、研修内容が実際の業務へ活かされていないという側面もありました。

UMUで展開するアウトプット学習で「現状把握」から「標準トーク策定」、そして応用を含めた「ナレッジシェア」へ

―さまざまな課題があった中で、UMU導入の決め手は何だったのでしょうか。

 

山﨑さん:営業トークの統一と全体の水準引き上げを目指す上で、UMUが実現する学習サイクルに大きな可能性を感じたのが決め手です。具体的には、「現状把握」「標準トーク策定」「ナレッジシェア」という流れを構築できると考えました。

 

まず「現状把握」です。自分の営業トークを動画で客観的に見ることで、口癖や話し方といった自身の現在地を認識できます。また、管理者としても各担当者の動画が記録として残るため、個々のレベルを可視化し、的確な指導につなげられるようになりました。

 

次に、把握した課題を元に行うのが「標準トーク策定」です。UMU上でベテラン社員の優れたトークを手本として共有し、それを参考にしながら、会社として目指すべきトークの型を各自が学習・練習できるようにしました。

 

そして最後が、各自の応用を含めた「ナレッジシェア」です。標準トークをベースに、個々の担当者が実践した応用トークを動画で提出し合うことで、部署の垣根を越えて成功事例を学び合う文化が生まれました。

若手には「ティーチング」、中堅には「コーチング」。階層別に最適化した研修設計

―UMUを導入するにあたり、具体的な活用方法で工夫された点を教えてください。

 

山﨑さん:研修の目的が階層ごとに異なるため、UMUの活用法も最適化しました。

 

新入社員から2年目までの若手は、教えたことを確実にできるようになる「ティーチング」が目的です。座学で得た知識を定着させるため、UMUの動画課題では「この制度について説明してください」といった知識確認型のテーマを設定しています。

 

一方、営業経験が豊富な中堅社員には、自身の経験をさらに高めるための「コーチング」を目的としています。自分の中に確立された「型」が本当にベストなのか、もう一段階成長するにはどうすればよいか、という「気づき」を与えることが狙いです。

 

―中堅向けの課題は、より実践的になるのですね。

 

山﨑さん:はい。例えば、「予算が足りず希望の家が立たないかもしれない」という実際のお客様のお悩みを想定し、研修で学んだ補助金制度などを活用して契約につなげるための営業トークを考えてもらう、といった課題解決型のシチュエーションを設定しています。

 

―中堅研修で導入された『相互評価セッション』もユニークな取り組みですね。

 

山﨑さん:他の受講生の動画を見ること自体に抵抗感を示す社員はほとんどおらず、「〇〇さんの動画が見たい」「勉強になる」といったポジティブな声が多かったです。ただ、「自分の動画は見てほしくない」という恥ずかしさからくる抵抗感は一部ありました。

 

そこで、まず「ここは練習の場であり、フィードバックを受けて成長するためのチャンスだ」ということを丁寧に伝えました。

 

また、特に効果的だったのがベテラン社員への働きかけです。「あなたの成長のためというより、あなたの動画が若手の手本となり、全体のレベルアップにつながるので、ぜひ協力してほしい」とお伝えしました。実際に、意欲的に早く提出してくださるベテランの方の動画が指標となり、全体の営業トークレベルが大きく向上しましたね。

―「優秀者表彰」もモチベーションアップにつながったそうですね。

 

山﨑さん:はい。相互評価で多くの票を集めた方や、特に成長が見られた方など計5名に、表彰状と景品を贈りました。表彰される機会はあまりないので、「初めてこういうものをもらいました」と若い社員がとても喜んでくれまして。その成功体験がきっかけで、今でも熱心に練習を重ねて課題に取り組んでくれているのを見ると、本当にやって良かったなと思います。

研修有用度100%を達成し、運営の質も向上〜研修機会の拡大と効率化を両立〜

―UMU導入後の成果についてお聞かせください。「研修が仕事に役に立つ」という回答が100%という結果は素晴らしいですね。

 

山﨑さん:ありがとうございます。この成果に最も貢献したのは、やはり最後のアウトプットとして行う、声に出してトーク練習をする実践練習機会だと考えています。

 

もし二番手を挙げるとすれば、「インプット動画のマイクロラーニング化」です。以前のZoom研修と違い、テーマを2〜3分のショート動画に小分けにしたことで、隙間時間で効率的に学べるため受講生の集中力が上がり、具体的な営業シーンを想定したお手本として機能したことが、アンケートの声などからもわかっています。

 

また、AI動画で取り上げたようなシチュエーションに実際の商談で出会って、練習した営業トークが使えた、という声が多くありました。

 

―受講生の方々の成長を感じる具体的なエピソードはありますか?

 

山﨑さん:研修で練習したシチュエーションが、そのまま実際の商談で役立ったという声は多くありました。また、苦手意識を持つ社員が多かった税金や相続関連のテーマを扱った後には、「UMUで学習して自信がついた」という声も聞かれました。

 

後日実施したアンケートでも、「自身のスキルが向上したか」という問いに対し、「とても向上した」が71%、「向上した」が29%で、合計100%の社員が成長を実感しているという結果が出ています。受講者自身が成長を実感してくれているのが、何より嬉しいですね。

 

―これまでの全体研修とは別に、中堅社員を対象とした研修を新たに月1回開催できるようになったそうですが、運営工数はいかがでしたか?

 

山﨑さんUMU導入により効率化できた業務があるため、研修クオリティを下げずに研修頻度を上げられました。そのため、コース設計に作り込む時間も含めると、運営全体の時間が減ったわけではありません。しかし、研修運営の質は大きく向上しました

 

当日の設営や出欠確認といった物理的な手間はなくなりましたし、アンケート集計は半分以下に、テストも採点や再テストの手間がなくなったことで、工数を4割ほど削減できました。使い回せるものも含めると半減したイメージです。

 

何より、以前の全体向け研修はレベル設定が難しく網羅的な内容になりがちでしたが、今はUMUで階層別のコースを作成することで対象を絞れるので、内容の質を高められ、受講者にとっても参加のハードルが下がったと感じています。

今後の展望:現場の上司を巻き込み、UMUを「生きたナレッジ基盤」へ

―最後に、今後の展望についてお聞かせください。

 

山﨑さん:今後の大きなテーマは「現場の上司によるフィードバック体制の構築」です。現在は新人研修でOJTトレーナーによるフィードバックを始めていますが、今後は中堅層にも展開していきたいと考えています。30〜40代の管理職手前の社員にフィードバックを経験させることで、彼ら自身の育成スキル向上にもつなげる狙いです。

 

ただ、課題はフィードバックの質のばらつきです。研修の意図を理解しないままフィードバックが行われる可能性もあるため、まずは試行錯誤しながら仕組みを整えていきたいです。将来的には、上の等級の社員が下の等級の社員を指導する、という階層的な育成文化を築いていければと考えています。

 

―最後に、同じ課題を抱える企業担当者へメッセージをお願いします。

 

山﨑さん:一方通行の研修は、研修事務局の自己満足で終わってしまう可能性が高いと感じています。本当に成果につなげたいのであれば、学習者との双方向のやり取りが不可欠です。その仕組みを作る上で、UMUは大変便利なツールだと実感しました。

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