UMUで実現 互いに学び合う「参加型研修」
「ライフサイエンスとテクノロジーの進歩を追求し、新しい価値の創造により、世界の人々の健康と豊かさに貢献します。」という経営理念を掲げる協和キリン株式会社。同社営業本部では、医療の最前線で活躍するMR(医薬情報担当者)の更なる知識・スキルの向上を目指しています。MRは個人での営業活動が中心であり、多様な働き方を実践する中で組織としての一体感や互いに学び合う文化の醸成が必要となっていました。
eラーニング提供などの一方通行型の研修から脱却し、MRの自律的な日常学習を支援するため、同社は学習プラットフォームUMUを導入しました。知識のインプットだけでなく、アウトプットを重視した参加型の学習環境を構築した結果、任意で設定したアウトプットトレーニングの動画課題に全MRの約65%にあたる585名が参加するなどの成果を上げています。この学習変革は、いかにして成し遂げられたのか。また本社主導型のトレーニング提供から現場主体のラーニング環境に移行しつつある現在の取り組みについて詳しく伺いました。
【お話を伺った方】
協和キリン株式会社 営業本部 人材育成室
折原 佑輔 さん、中村 寿理 さん、細野 健 さん
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企業情報
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社名:協和キリン株式会社
本社所在地:東京都千代田区大手町一丁目9番2号 大手町フィナンシャルシティ グランキューブ
設立年月日:1949年7月1日 
ホームページ:https://www.kyowakirin.co.jp/
「一方通行の研修」からの脱却。双方向の学習環境の提供へ
―UMU導入前は一方通行の研修に課題を感じていらっしゃったと伺いました。アウトプットを重視するようになった背景や、最終的にUMUを導入された決め手について教えてください。
細野さん:以前のLMSでは、動画を掲載して見てもらい、テストを受けて終わりという一方通行の研修しかできませんでした。これでは知識の定着に限界があると感じていました。
折原さん:そこで、双方向の学習環境であれば教える側からの継続的なフォローやMR同士の学び合いが加速して製品知識の定着も促進されるのではないか、という考えが生まれました。学習者の意欲を上げ、自律学習を進めるためにも、アウトプットを重視する方針へと舵を切りました。その中でUMUを選んだ決め手は、動画課題やディスカッション、ランキングなど、学びのバリエーションを広げられる多様な機能が揃っていた点です。
初の課題実施で参加率65%。成功の鍵は「心理的安全性」の設計
―任意にもかかわらず、製品研修内の動画課題にMRの65%(585名)が参加した回もあったそうですが、この高い参加率の要因をどう分析されていますか。
中村さん:全国のMRが取り組むアウトプットトレーニングについて、提出された動画課題の閲覧権限を同じ営業所のメンバーに限定したことは要因の一つかもしれません。「営業所内」という心理的安全性の高い小規模な単位内での提出課題の共有だからこそ、MRは気負わずに取り組み、メンバー間でお互いの提出動画を見て参考にし合うことにつながったのではないかと考えています。
細野さん:また、「アウトプットトレーニングを始めます」と社内に周知も行いました。その際に「営業所の仲間うちで評価し合う」といった活用事例も載せて、ピアラーニング(相互学習)の価値や、良い意味でのピアプレッシャー(仲間からの刺激)が生まれることへの期待も示しました。
複数部門を巻き込んだMRへの「ディスカッション」でのフィードバック体制
―動画課題だけでなく、ディスカッション機能も活用されているのですね。MRの皆さんのモチベーション向上につながった取り組みはありますか。
折原さん:我々人材育成室の担当者に加え、製品の販売戦略の責任を持つブランドマネージャーや、支店の学術担当者にも積極的に協力をお願いして、フィードバックをしてもらいました。 普段、現場のMRがブランドマネージャーなど本社機能のメンバーと直接やり取りする機会は多くありません。だからこそ、本社メンバーからのフィードバックがMRにとって「特別な価値」になったのではないかと考えています。
中村さん:また人材育成室の製品研修担当からは、言い回しや表現の仕方のフィードバックもしていました。「ドクターに対してはこういう伝え方のほうが適切ですよ」といったアドバイスです。
営業所ごとの試験結果ランキング公開がもたらした学習効果
細野さん:また、学習意欲を向上させる工夫として、ゲーミフィケーションの要素が必要だと考え、今年から製品知識試験の「ランキング」を掲載するようにしました。全国の営業所ごとの平均点を出して、上位の営業所をUMU上で公開しています。
中村さん:ランキングを出すようになってから、これまであまり振るわなかった営業所が上位になることもありました。その営業所にヒアリングを行うと、営業所内の会議にて「試験成績が芳しくない自分たちの状況をどう思うか」と振り返りの時間を設け、なぜ製品知識が必要なのかを皆で話し合い、自律的に学習に取り組む風土が醸成されていました。これは私たちにとって大きな発見でした。
試験のランキング公開という一つの仕掛けが、単なる競争意識を煽るだけでなく、現場での対話や内省を促し、チームの学習文化そのものを変えるきっかけとなった瞬間でした。この営業所の取り組みを聞いて、全国の営業所で自律学習に取り組む風土が醸成されることを期待し、「試験結果を踏まえて営業所会議内で製品知識の重要性について考える機会を設けている営業所もあります」とUMU上で取り組みを紹介しました。
目指すはMRが自律的に互いに学び合う「参加型研修」
―UMU導入から現在までにどのような成果がありましたか。また、その手応えを踏まえ、今後の展望やUMUに期待することについてもお聞かせください。
折原さん:定量的な成果として、人材育成室メンバーの業務効率化があります。UMU導入前と導入後でUMUへのコンテンツ搭載や設定、受講結果のまとめ作業などにかかる時間を比較したところ、43.5%の時間を削減できたという結果が出ました。これにより創出された時間を、私たちはより質の高い研修コンテンツの企画や、UMUの機能を活用した自律的な学習を促進する取り組みへの投資に充てています。
細野さん:現場主導の育成施策に成果も見え始めています。今年の3月頃から、一拠点で現場主導のアウトプットトレーニングのパイロット運用を行いました。3カ月ほど経った時点で、その講師役を担う社員にアンケートを取ったところ、半数以上が「MRの情報提供の数が増えた」「話の質が高まっている」と回答しています。
中村さん:今後の展望としては、「MR同士が相互に学び合い、高め合う風土の醸成」です。「グローバル スペシャリティ ファーマ」として事業成長を続けていくためにも、一人ひとりのMRの生産性を高めるべく、現場MR同士が自律的に学び合う文化の醸成を目指しています。
細野さん:UMUに期待することとしては、やはり一方通行ではなく「参加型」の研修や日常学習をさらに強化したいです。
MR一人ひとりの実践力向上は、最終的に「世界の人々の健康と豊かさへの貢献」という企業の使命につながります。「一方通行の研修」という課題から、MRが主役となる「参加型の学習」へ。協和キリン様の取り組みは、テクノロジーの活用はもちろんのこと、「どうすれば学習者が楽しく、意欲的に取り組めるか」という徹底した学習者視点の設計が成功の鍵であることを示しています。特に、ランキング公開がきっかけとなり、ある営業所では自主的に会議で対話が持たれました。このエピソードは、「学び合い、高め合う文化」が着実に醸成されている証左といえるでしょう。現場主体のトレーニングが全国へと広がる未来に向け、UMUがプラットフォームという形で今後もお役に立てるよう、これからも全力でサポートします。
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