【10月11日開催】「成長しつづける組織をつくる」シリーズ 第1回:多様性を強みに変える 「インクルーシブリーダーシップ」という新しい考え方とは
セミナー事後リリース 〜なぜダイバーシティ推進が組織に定着しないのか、その隠れた前提とそれを打破する方法について〜
ユームテクノロジージャパン株式会社は、東京大学大学院教育学研究科附属 バリアフリー教育開発研究センター 准教授でOTD普及協会理事の星加良司氏と、ユームテクノロジージャパン取締役副社長でダイバーシティ推進担当の小松麻美をモデレーターに、各回先進的な知見を持つ企業をゲストに招いて、アカデミックとビジネスの双方の視点から「今、成長しつづける組織をつくるために必要なことは何なのか」を解き明かしていく「成長しつづける組織をつくる」シリーズを開催。
第1回は、2021年10月11日(月)に三井物産人材開発株式会社 人材開発部長で、星加氏と共同研究も進めている佐々木孝仁氏をお招きして、オンライン開催されました。
「組織変革のためのダイバーシティ(OTD)」について
「ダイバーシティ→成果」の理論
これまでは、リーダーがダイバーシティ活用の方法をデザインし、そのデザインに基づいてマネジメントをしていくことが基本でした。しかし、「摩擦」や「カオス」的な要素がないと組織の中から新たな価値観や発想は生まれてこないと考えられるようになり、これらを重要視するとなると、突発的な事象に対し、適切に対応していくことが、マネジメントのあり方として求められてくることになります。リーダーに求められる資質・スキルの質も、大きく変わってきていると考えられます。
「D&I」を阻むもの
一つは、「リーダーシップ」とこれまでセットで考えられてきた「管理的な思考」があります。管理職なのだから「管理的思考」がないといけないと思いますが、この「管理的思考」が新たな価値を生み出すことの邪魔をしている側面があります。
まず管理的思考の一つの特徴は、「こうなれば、こうなるはず」という計算可能性を高める傾向が挙げられます。リスクやコストへの重要度が高まり、新しい価値創造を過小評価しがちになります。なぜならば、リスクやコストは計算可能性に落とし込みやすいからです。一方、価値創造の部分は不確実性が高く、ある意味では上限がわからないという青天井状態(=有限性がなくなるため)で計算ができません。管理的思考が強いと、「リスク」「コスト」を優先するため、「多様性が価値を生み出す」評価が向きにくくなります。結果、多様性を推進していくことへブレーキがかかりやすい傾向になります。
多様性が推進されづらいメカニズムのもう一つの要因は、「マジョリティ性の壁」があります。これまで十分に成功を納めてきたマジョリティにとっては、居心地の良い環境が維持されますが、マイノリティ側はいつまでたっても能力を発揮しづらい問題が生じてきます。
「インクルージョン」の視点
組織の中でのインクルージョンの観点を重視したマネジメントに転換していくためには、マイノリティの視点に基づく組織変換が重要になってきます。マジョリティは、自分たちが優位な状態だとは気づきづらく、「こういう風にすべき」「これに気づいていないので、明日から意識しましょう」などを、外からの観点として提示すると反発が起こりやすい傾向にあります。ダイレクトに気づいていないことを指摘し反発を生じさせるよりも、いかに自らこのことに気づいていくかという認知プロセスを後押しできるかが鍵になります。この気づきを得られた段階で、気づきが定着化するよう組織の中で「インセンティブ構造」を作ります。自らのあり方や組織の既存のあり方を疑い、変えていく行動を起こしたことによって、ポジティブなフィードバックを与えられるような構造を制度的に組み込むことが、組織の変革の1つのアプローチとして重要であると考えています。
なぜ「インクルージョン」が重要なのか
ここ数年で、「インクルージョン」の観点が「ダイバーシティ」とセットで語られるようになりました。これまで組織や集団にとってのメリットを生み出す手段として、ダイバーシティを位置づけていく考え方から、再び個人の権利や平等・公正な機会などを保障・確保することに力点を置いたダイバーシティの考え方が重要なのではないかというトレンドに移行しています。その反映として「インクルージョン」や「イコーリティ」「エクイティ」などの頭文字を並べたスローガンを掲げる組織も増えてきており、再び個人の権利や機会保障の観点が再注目されていると思います。
利益を追求するという効率性の観点だけではなく、「持続可能性」「サステナビリティ」「インクルーシブネス」などの社会の中で、役割を果たしていくことをビジネス組織に求められています。そのため、「ダイバーシティ」や「インクルージョン」の観点も新たな局面を迎えていると考えられます。
多様性を力に変える「インクルージョン」の共同研究で見えてきたこと
三井物産人材開発株式会社 人材開発部長 佐々木 孝仁(ささき たかひと)氏
「組織風土がリーダーシップを規定する力を持つ」という結果に。日本では組織文化をとても大切にし、組織文化を壊さないようにすることを重要視することや、組織文化に過剰に合わせに行くこともされるかと思います。そうして組織文化の影響を受けた方がリーダーになっていくという風潮が多く、特に日本では新卒一括採用の文化が根強く、なかなか離職しない大企業においては、顕著にこの結果が現れるのではないかと考えています。
重要視していきたいポイントは「リーダーシップ=関係性という視点」です。包摂力の高い組織づくり、特に日本企業組織においては、個が抑圧されることなく尊重され、かつ組織のベクトルも損なわれることないように、職場MCCや有害なリーダーシップなどのある種の阻害要因と思われる指標を、日本版にモディファイしていきながら、新たなインクルーシブ・リーダーシップのモデル化を定めて、促進に向けて研究を進めていきたいと考えています。
【クロストーク】星加氏×佐々木氏
今感じている課題【成功のジレンマ】
「過去にこの手法で成功してきた方々」と「新しい世代」との認識のギャップは、組織開発であったり、日常のコミュニケーションの中にあるバイアスを、顕在化していく取組をどう波及していくかが課題だと思っています。
今感じている課題【人材・組織開発におけるリターンの説明】
人材開発・組織開発でどれだけリターンがあるのかの説明が難しいと感じています。成果までに時間がかかる取組には、優先順位が下がる可能性が高く、計算可能性を超えた取組の難しさを実感しています。そのため人材開発をコストベネフィットにダイレクトに証明することに、かなりの難しさを感じています。
【具体的なアプローチ方法】
近年のリーダーシップ研究の中で関係性・文化・風土などに働きかけていくことの重要性が強調されるようになり、具体的にどんなアプローチをするべきなのか。この点においては聞きやすいテーマと接続させることが、人材開発において重要なポイントとなります。
日常のコミュニケーションの活性化を測ることや、バイアスを取り除くための場を作るようなワークショップを設計することなど、企業としてのコミュニケーションスタイルを問い直すことに繋げることが出来ると思います。
「UMU(ユーム)」について
「UMU」は、Google社のトレーナーとして多数の受賞実績があるドングショー・リーによって開発された。グローバル本社は、米国ポートランド、2015年創業。
UMUは、AIをはじめとした最新テクノロジーと学習の科学との融合で学習を提供するラーニングプラットフォーム。UMUの名前は、「U(あなた)、Me(私)、Us(私たち)」の頭文字。誰もが講師になり学び合う世界の実現を目指す。マイクロラーニング・ビデオ会議・ライブ配信・AIコーチング等の機能で、双方向性のあるオンライン学習プログラム設計を可能にするシステムを備えている。世界203の国と地域で100万社以上、日本では、日本生命、パナソニック、アステラス製薬、ワコールをはじめとする約1万社以上がUMUを導入。日本の人事部HRアワード受賞多数。
私達UMUは、企業様向けに研修のオンライン化やリモート学習の無料相談会を毎日実施しております。
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