学習を最大化する脳科学的学習方法「効果的な復習のタイミング」

学習を最大化する脳科学的学習方法「効果的な復習のタイミング」

現代のビジネスや教育の現場では、情報やスキルの定着が成功の鍵となっています。基本的なビジネススキル、サービスの理解、接客スキル、セールススキルなど、幅広い知識やスキルを身につけるには、効率的な学習が必要です。こうした学習の効果を最大化するためには、適切な復習のタイミングが重要であることが、脳科学の観点からも実証されています。本記事では、記憶の定着を高める「効果的な復習のタイミング」について、その科学的な根拠と具体的な方法を詳しく解説します。

 

効果的な復習の科学的基盤

学習を最大化する脳科学的学習方法「効果的な復習のタイミング」

 

復習は、学んだ内容を長期記憶に定着させるための重要なステップです。人間の脳は新しい情報を短期的には記憶しますが、そのままでは徐々に忘れてしまいます。復習のタイミングを工夫することで、記憶の低下を抑え、定着率を劇的に向上させることができます。

「エビングハウスの忘却曲線」によると、学習後に情報は急速に忘れられていくことが示されています。この曲線を元にした研究では、間隔を開けた復習が記憶の保持に非常に効果的であることがわかっています。

この部分は、想起学習にも通じているのですが、記憶は思い出した時に定着します。しかし、復習のタイミングが短すぎてしまうと、思い出すことが容易になり、記憶が定着しずらいのです。

復習のタイミングに関する研究

研究によると、学習直後の記憶は1日で約70%が失われると言われています。適切なタイミングで復習を入れることで、記憶の低下を防ぎ、効果的に定着させることが可能です。

ピョートル・ウォズニアックの研究では、以下のタイミングでの復習が最適であるとされています。

〇最初の復習:1〜2日後

〇2回目の復習:7日後

〇3回目の復習:16日後

〇4回目の復習:35日後

〇5回目の復習:62日後

一方、ウォールタールー大学の研究では、以下の復習タイミングが効果的とされています。

〇24時間以内に10分間の復習

〇1週間後に5分間の復習

〇1ヶ月後に2〜4分間の復習

これらの異なる研究が示す復習タイミングの違いは、記憶の特性や学習内容による影響が考えられますが、どちらも適切に取り入れることで学習効果を最大化できます。

効果的な復習のやりかた

復習の効果を最大限に引き出すためには、適切なタイミングで復習を繰り返すことが重要です。学んだ内容を維持し、忘れないためには、以下の3つの具体的な方法が効果的です。

① 24時間以内の初回復習

学習後24時間以内に初めての復習を行うことで、短期記憶に保存された情報を長期記憶へと変換します。このタイミングでの復習は、情報を整理し、脳がその情報を重要と判断して定着させるのを助けます。

Cepeda et al. (2008)の研究によれば、学習後すぐに復習を行うことで、その情報の忘却速度を遅らせることができ、記憶の定着が促進されることが示されています。

 

② 1週間後のフォローアップ

初回復習の後、1週間後にもう一度復習を行うと、記憶の定着がさらに強化されます。1週間の間に記憶がやや薄れてきますが、ここで再度復習を行うことで、情報が再び活性化され、脳に深く刻まれます。

 

③ 1ヶ月後の最終確認

最後に、学習から1ヶ月後に短い時間でも復習を行いましょう。この復習は、学んだ情報を長期間にわたって保持するための最終的なステップとなります。1ヶ月後に再度復習することで、脳はその情報を「重要」と認識し、長期的に保存する傾向があります。

2×2の法則による復習設計

先の研究に基づき、学習の効果を高めながら、より簡略化したものが「2×2の法則」です。

さきほどの「24時間以内」「1週間後」「1ヶ月後」の復習では、復習が集中してしまい中長隔週時間が確保できない可能性が出てきますが、「2×2の法則」は「2日後、2週間後、2ヶ月後」というタイミングで復習を行い、記憶の低下が始まる前に情報を思い出させる方法です。

この法則に従って学習設計を行うことで、記憶の定着を向上させたまま復習を取り扱いやすくなり、学習者の成果を最大化させることが可能となります。

 

効果的な復習のタイミングを取り入れることで、学習の効率が飛躍的に向上します。本記事で紹介した「24時間以内」「1週間後」「1ヶ月後」の復習サイクルを実践することで、学んだ内容が脳にしっかりと定着し、忘れにくくなります。また、復習の量が多すぎてしまう場合は2×2の法則を取り入れることで、さらに効率的な学習をサポートすることができます。

適切な復習を行うことで、短期的な学習成果だけでなく、長期的なスキルアップやパフォーマンスの向上にもつながります。ビジネスの現場や教育の場で、こうした効果的な復習のタイミングを取り入れ、継続的に学習と成長をサポートしていきましょう。

 

【執筆者】株式会社HYBRID THEORY 代表取締役 丸山裕之 氏
栃木県で公務員を経験し独立。ハーバード大学やスタンフォード大学などの論文や研究データ、脳科学・心理学の文献などを年間700冊読み込む。科学的に効果が実証された方法で社内研修や、組織構築を提供する株式会社HYBRID THEORYを設立。また、脳科学に基づいた学習方法を用いた学習塾を運営している。能力や才能に関わらず、誰でも結果の上がる「科学的に正しい方法」を伝えて、個人の人生の満足や会社の利益向上を目指している。

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