部下と信頼関係を構築する方法
職場において、上司と部下の信頼関係はチームのパフォーマンスを左右する重要な要素です。
ある研究では、才能あふれる人が多数集まるチームより、能力は一般的だが、信頼関係とチームワークのあるチームの方が、はるかに高い成果を上げることがわかっています。
この記事では、部下との信頼関係を構築するための具体的な方法について解説します。
オープンなコミュニケーションの促進
信頼関係を築くためには、オープンなコミュニケーションが不可欠です。部下が自分の考えや意見を自由に話せる環境を整えることが大切です。
例えば、定期的な1on1ミーティングを設け、部下の状況を把握し、彼らの声に耳を傾けることが重要です。スタンフォード大学の研究では、定期的なコミュニケーションが信頼関係の構築に寄与し、チームの効率性を高めることが示されています。
また、そのためにも必ず「心理的安全性」は確保しましょう。日常のコミュニケーションで心理的安全性が低下していると、部下は本心を離さないので、オープンなコミュニケーションは不可能になってしまいます。
共感と理解を示す
部下の気持ちや状況に対して共感と理解を示すことも信頼関係構築の鍵です。部下が困っている時や悩んでいる時には、まず話を聞き、彼らの立場に立って考えるよう努めましょう。
心理学の研究によれば、共感を示すことで相手は安心感を抱き、信頼が深まることがわかっています。エモリー大学の調査によると、上司が共感的な態度を取ることで、部下のストレスレベルが低下し、仕事への満足度が向上することが明らかになっています。
一般的に上司は、部下が困っていても、自分の忙しさや、甘やかしてはいけないと手を差し伸べることを躊躇いますが、適切に手を差し伸べれば部下は自分のことを重要な個人と見てくれていると感じ、信頼関係が加速します。
透明性と一貫性のある行動
透明性と一貫性のある行動は、信頼関係を築くための基本です。上司が部下に対して誠実で一貫性のある対応をすることで、部下は上司を信頼するようになります。
ここでいう一貫性とは、上司のその時の気分や忙しさによって態度を変えない様にするということです。忙しくても、気分が乗らなくても、一貫性のある同じ対応をする様にしましょう。
これを聞くと、「忙しい時に無理だ」という意見をよく聞きますが、そうではなく、話しかけるなオーラを出したり、態度をそっけなくするのではなく、いつもと同じ調子で「ごめんね。今少し手が離せないから、終わったら話に行くよ」と言った様な態度を取るということです。
フィードバックの提供
建設的なフィードバックは、部下の成長をサポートし、信頼関係を深めるために役立ちます。
ポジティブなフィードバックは部下のモチベーションを高め、改善点を指摘するフィードバックは彼らのスキル向上につながります。フィードバックを提供する際には、具体的で実行可能なアドバイスを心がけましょう。カーネギーメロン大学の研究では、具体的なフィードバックが部下のパフォーマンス向上に寄与することが示されています。
また、建設的なフィードバックは、部下自身が「上司は私のことを見てくれている」と感じられ、より信頼関係が厚くなります。
感謝と認識を示す
部下の努力や成果に対して感謝と認識を示すことも、信頼関係を強化するための重要な要素です。小さな成功や日々の努力に対しても感謝の言葉をかけることで、部下は自分の仕事が評価されていると感じ、上司への信頼が深まります。心理学の研究によると、感謝の表明は人間関係を強化し、職場の雰囲気を改善する効果があることが分かっています。
ただし、感謝も伝え方が重要です。仮に、一生懸命仕事をやり切ったにも関わらず、無表情でビジネスライクに「ありがとう」と一言だけで終わったらどうでしょう。がっかりしてしまい、次からは、ほどほどの仕事をしますよね。そうならないためにも、しっかりと気持ちが伝わる感謝の伝え方をしましょう。
部下との信頼関係を構築することは、チーム全体のパフォーマンス向上に直結します。オープンなコミュニケーション、共感と理解、透明性と一貫性のある行動、建設的なフィードバック、感謝と認識を示すことが重要です。
また、部下との信頼関係構築は、なんとなく構築されることはありません。正しい方法を、正しいやり方で実行しなければいけません。
上司は、部下とのコミュニケーションをしっかりと訓練して、正しい対応ができる様になりましょう。
【執筆者】株式会社HYBRID THEORY 代表取締役 丸山裕之 氏
栃木県で公務員を経験し独立。
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