科学的に実証された「部下に指示しているだけ」のデメリットと解決方法
職場において部下に対して指示を与えることは重要ですが、指示だけに頼ると、従業員の成長や企業の発展に悪影響を及ぼす可能性があります。ここでは、「部下に指示しているだけ」のデメリットを科学的に解説し、解決方法とその結果について具体的な戦略を紹介します。
「部下に指示しているだけ」のデメリット
部下に指示を与えることが中心となると、以下のようなデメリットが生じます。
自己決定感の欠如
指示だけを与えられると、部下は自己決定感を失い、モチベーションが低下します。自己決定理論によれば、自分で決断することで内発的なモチベーションが高まるため、指示のみではその効果が得られません。
創造性の低下
部下が自分で考える機会を失うと、創造的な問題解決能力が低下します。脳の神経構築は、思考を繰り返すことにより強化されるので、指示しているだけのマネジメントでは、部下が自ら思考しないため、脳科学的な観点からも成長は見込めません。
エンゲージメントの低下
一方的な指示は、部下のエンゲージメントを低下させる原因となります。時ごとの指示をしっかりするのは大切ですが、ビジネスライクすぎる指示はエンゲージメントを低下させます。
エンゲージメントが低下すると、生産性や職務満足度が減少し、離職率が高まる可能性があります。
「指示しているだけマネジメント」の解決方法
部下の成長とエンゲージメントを高めるためには、指示だけに頼らないアプローチが必要です。今回は、部下の成長とエンゲージメントを高めるマネジメントの中で、科学的に効果的な方法を紹介します。
自己決定の促進
部下に対して指示を与える際には、選択肢を提示し、自ら決断する機会を提供しましょう。例えば、「このプロジェクトについて、A案とB案がありますが、あなたはどちらが良いと思いますか?」と尋ねることで、自己決定感を高めます。
そして、このアプローチをとった場合は、必ず肯定的なフィードバックをしましょう。質問の回答が間違っていた時に、叱ったり、強くフィードバックすると、次回以降、質問に回答しなくなるか、ありきたりな回答だけを出すようになります。
肯定的なフィードバック
部下が自ら考えて行動した結果に対しては、肯定的なフィードバックを提供しましょう。たとえ結果が期待通りでなくても、そのプロセスを評価することで、心理的安全性を確保し、次回以降も積極的に取り組む姿勢を促します。
また、フィードバックがビジネスライクすぎてもいけません。仕事の結果だけでなく、努力したポイントや、前回よりも成長できていた点などを積極的に褒めてあげましょう。
定期的なコーチング
部下の成長を支援するために、定期的なコーチングセッションを行いましょう。コーチングでは、目標設定や進捗確認、フィードバックを通じて、持続的な成長をサポートします。
もちろん、ここでも肯定的なフィードバックを意識します。そうしないと、コーチングの時間が苦痛の時間になり、部下はコーチングの時間をストレスと感じるようになります。
「指示だけマネジメント」解消による効果
これらの正しいマネジメントにより、「指示だけマネジメント」が解消されると、部下が自ら考え、決断することで、内発的なモチベーションが向上し、長期的なエンゲージメントが促進されます。
さらに、部下が自律的に考える機会を増やすことで、創造性と問題解決能力が向上し、組織全体のイノベーションが促進されます。
その結果として生産性の向上や離職率の低下、上司との関係性の強化などが期待できます。
しばしば、上司は部下に対して、仕事の指示や注意だけ与えてれば良いと思ってしまいます。
しかし、それだけでは、部下のエンゲージメントは高まらず、生産性は低下し、離職率は高まっていきます。
そうならないためにも、正しい指示を出すことと、部下の見えないところでの活躍をしっかりと褒めるようにしましょう。
そうすることで、部下は職場にやりがいを感じ、上司との人間関係も深まり、自然と頑張っていけるようになるでしょう。
【執筆者】株式会社HYBRID THEORY 代表取締役 丸山裕之 氏
栃木県で公務員を経験し独立。
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