【脳科学から紐解く】適切な目標設定が従業員のモチベーションを向上させる理由
従業員のモチベーションは企業の成功に不可欠な要素です。しかし、モチベーションを高めるための具体的な方法として適切な目標設定が重要であることをご存知でしょうか?
今回は、企業において目標設定が必要な理由と、その効果を科学的な観点から解説します。
モチベーションの根源「ドーパミン」
まず、モチベーションの正体からお話しします。
私たちのモチベーションの多くは、「ドーパミン」という脳内ホルモンによって引き起こされます。
- ゲームをやりたい
- 美味しい食べ物が食べたい
- 好きな人に会いたい
これらの欲求も、ドーパミンがもたらします。
そして、ドーパミンは「嬉しい、楽しい、やった」といった快楽の感情が生じたときに分泌されます。そして、その快楽をもたらした行動を、強くまた繰り返したくなるのがドーパミンの役割です。
- ゲームがとても楽しい(快楽)→ドーパミン分泌→またゲームがしたい(モチベーション)
- 美味しいものを食べた(快楽)→ドーパミン分泌→また食べたい(モチベーション)
- 好きな人に会って幸せ(快楽)→ドーパミン分泌→また会いたい(モチベーション)
そして、仕事のモチベーションも同じ要領で起こります。
- 仕事の目標を達成した(快楽)/お客様から褒められた(快楽)/セールスが成功した(快楽)/目標が達成できた(快楽)→ドーパミン分泌→よし次も頑張ろう(モチベーション)
つまり、仕事でも、効果的にドーパミンを発生させることができれば、自然とモチベーション高く仕事をすることができるのです。
目標設定がモチベーションに必須の理由
それでは、目標設定をすることでドーパミンが分泌される理由をご紹介します。
それは、目標を達成したとき、人間は快楽を感じてドーパミンを分泌するからです。
例えば、達成したいセールス目標を持ったAさんがいたとしましょう。
Aさんは、セールス目標を叶えるため、日々努力しました。スキルを磨き、努力をし、後半追い込んで、辛い思いもしながら期限までになんとかセールス目標を叶えました。
その時、Aさんはどう思うでしょう。「やった!よっしゃ!嬉しい!」と言う気持ちになりますよね。
この快楽を感じたときにドーパミンが分泌されるため、脳は、またこの快楽を味わいたいと思って、明日からモチベーション高く努力することができるようになります。
逆に、このような、目標を達成して得られる達成感や嬉しい気持ちがなかったらどうでしょう。
「仕事は最低限やれば良い」となりますよね。これは大変危険です。
これが、モチベーションが上昇するため、モチベーションに目標設定は必須なのです。
まだまだある。目標設定の知られざるパワー
目標設定によって引き起こされるモチベーションは他にもあります。
目標を設定することで、自分の現在の立ち位置が明確になります。その状態で、日々努力をしてスキルを磨き、小さな成功を積み重ね、着実に目標に近づいていることが実感できたらどうでしょう。これもまた「やった!よっしゃ!嬉しい!」と感じますよね。
人間は、このような、目標に近づいていることを感じてもドーパミンが分泌され、モチベーションが非常に高まるのです。
実験を一つご紹介します。
コロンビア大学の心理学者ルーファス・ウェンドルフが行った、モチベーションに関するスタンプカードの実験です。
コーヒーショップで「Aカード」と「Bカード」の2種類のポイントカードを配布して、どちらのポイントカードが先にスタンプが埋まるかを調べた実験がありました。それぞれのカードの特徴は以下の通りです。
[Aカード]
8ポイントで満点のカード
[Bカード]
10ポイントで満点のカード。ただし、最初から2ポイント押されている。
つまり、AカードもBカードも、両方とも8ポイントで満点になるように設計されています。この2つのスタンプカードを配って実験しました。
その結果、どちらのカードの方が先に満点になり、多く満点を出したと思いますか?
正解は、Bカードです。
詳細は以下の通りです。
実験結果
- Aカード: 35%の顧客がカードを完全に満たして無料のコーヒーを獲得しました。
- Bカード: 55%の顧客がカードを完全に満たして無料のコーヒーを獲得しました。
さらに、平均的な達成時間も比較されました。
- Aカード: 平均的に22日で満点に到達。
- Bカード: 平均的に15日で満点に到達。
明らかにBカードの方が、行動量が増していたのです。
この理由も、モチベーションが関係しています。
Aカードはスタート時からゴールまでまだ、8分の1残っています。まだまだゴールまでは遠いです。
しかし、Bカードは10分の2ですから、約分すると5分の1。押すスタンプの数は同じだったとしても、8分の1残っているAカードよりも、Bカードの方が進んでいる感覚がするのです。
この実験からも分かるように、人間は、目標に近づいている感覚をしっかりと感じることができるとモチベーションが上昇するのです。
そして、この「目標に向かって進んでいる感覚」のポイントとなるのが目標設定です。
この感覚は目標設定があって初めて叶うことです。ゴールテープがあるから近づいている感覚がするし、進歩が感じられて嬉しいのです。
逆に、目標設定がなく、ゴールテープが見えないまま、日々一生懸命努力しなさいと永遠は知らされたらどうでしょう。ものすごくつまらないですよね。モチベーションなんて湧くはずもありません。
このようなことから、目標設定は、自分の現在位置を確認し、進歩を感じることでモチベーションを上げる効果があるのです。
目標設定の注意点
もちろん、目標設定も、ただ闇雲に目標を設定しても効果はありません。しっかりと効果のある目標設定をして、それをフィードバックする必要があります。
また、ペンシルベニア大学のアダム・グラント博士の研究では、定期的なフィードバックが従業員のパフォーマンスを向上させることが示されています。目標設定により、上司や同僚からのフィードバックを受け取りやすくなり、必要に応じて目標を調整することができます。これにより、従業員は常に最適なモチベーションとパフォーマンスを発揮できる状態に保たれます。
つまり、目標はただ設定するだけでなく、しっかりと効果のあるものを設定し、適切なフィードバックを組み合わせることで従業員のパフォーマンスを最大化できるのです。
いかがだったでしょうか。適切な目標設定は、従業員のモチベーションを向上させるための非常に有効な手段です。逆に、目標設定が欠けてしまった場合、従業員にモチベーションややる気を期待することはできないでしょう。
従業員のモチベーションを向上させ、日々のパフォーマンスを最大化するためにも、正しい目標設定をするようにしましょう。
【執筆者】株式会社HYBRID THEORY 代表取締役 丸山裕之 氏
栃木県で公務員を経験し独立。
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