【学習の科学】「基礎を飛ばして応用をやっても成果が出ない」理由 スキーマ理論が示す、営業トーク上達の“最短ルート”
基礎を軽視すると、応用は身につかない
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「もっと応用的なトークを身につけたい」
「お客様に合わせて柔軟に話せるようになりたい」
営業トレーニングの現場で、最も多く聞かれる声です。
しかし実は、基礎が固まっていない状態で応用を練習しても、学習効果はほとんど生まれないことが、脳科学と認知心理学の研究で明らかになっています。
人は、基礎を徹底的に繰り返したときにだけ、応用的な対応ができるようになります。
つまり、「いきなり応用」「いきなりフリースタイル」ではなく、「まずは基礎を徹底して磨くこと」が最短の近道なのです。
なぜ基礎の反復が応用につながるのか?
その理由を説明するのが、スキーマ理論です。
スキーマ理論とは、人の知識は単体で保存されるのではなく、過去の経験や学んだ情報と自動的に結びついて「知識のネットワーク」をつくるというものです。
実は、新しく学んだ情報は、それ単独では存在せず、頭の中で過去の知識と自動的に結びつき、新たな情報ネットワークとして存在します。
そして、そのネットワークがしっかり形成されたとき、初めて「応用的な考え方」や「柔軟な対応」ができるようになります。
スキーマ理論の具体例
たとえば、私たちが「快感を得たときにドーパミンが出る」と学んだとします。
この瞬間、脳の中ではスキーマ理論が働いています。
新しく得た「ドーパミン=快感」という情報は、単独で保存されるわけではありません。
それはすぐに、過去に学んだ「ドーパミンはやる気を生み出す」「集中力を高める」といった知識と自動的に結びつきます。
すると、「どうすれば仕事のパフォーマンスを上げられるか?」という問いに対して、脳はこれらの知識を組み合わせ、自然にこのような応用的な回答を作り上げます。
「ご褒美を設定して快感を得られるようにすれば、ドーパミンが出てやる気も集中力も上がりますよ。」
これは“考えた”というより、脳の中で情報が勝手に結びついて導かれた答えです。
つまり、新しい知識は単なる“点”として存在するのではなく、脳に入った瞬間から過去の知識と“線”で結ばれ、膨大な情報ネットワークとして整理されていく。
このネットワークがあるからこそ、私たちは新しい状況や質問に対して、自然に応用的な答えを導けるのです。
そして、もちろん営業や接客、仕事でも同じです。基礎のフレーズや言い回しを繰り返し練習するほど、頭の中で知識同士が線で結びつき、応用力が生まれていくのです。
つまり、いきなり現場に飛び込む、自由対話でロープレしても、まだスキーマ理論による情報ネットワークが構築されていないので応用的な回答ができないんです。
なので、まずは徹底して基礎を磨く、これが応用的な回答をするための近道であり、必須の道なんです。
UMUのAIチャットボットが「基礎」を鍛える理由
UMUのAIチャットボットは、「決められたフレーズを言わなければ次に進めない」という設計になっています。
一見制約のように見えますが、実はこれが脳科学的に最も効果的な基礎定着の仕組みです。
必要な情報をしっかりマスターすることで、脳内で知識が点から線へと結びつき、スキーマが形成されます。
その結果、応用力を“考えずに”発揮できるようになる。AIチャットボットは、「基礎」を自動的に定着させる仕組み。つまり、“基礎を鍛えるための科学的装置”なのです。
まとめ
応用力は、自由に考えることで生まれるのではありません。
正しい型を、繰り返し、正確に使うことによって、脳内に知識のネットワーク(スキーマ)が形成されます。
そのネットワークがあって初めて、応用的な会話や柔軟な提案が可能になるのです。
だからこそ、営業トレーニングの第一歩は「基礎」を磨くこと。
基礎が大切とスポーツでも学業でも言われていますが、それは、脳科学に当てはまる正確な認識だったんです。

【執筆者】株式会社HYBRID THEORY 代表取締役 丸山裕之 氏
栃木県で公務員を経験し独立。
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