デジタルツインとは?生産性向上に寄与する新テクノロジー
仮想空間上に現実と同じ環境を再現する「デジタルツイン」は、今後さまざまな分野での活躍が期待できる技術として注目されています。デジタルツイン活用のメリットやデメリットや導入のポイントについてご紹介します。
デジタルツインとは
デジタルツインとは、現実世界から収集したデータを使い、仮想空間上に双子のように同じ環境を再現するテクノロジーのことです。
現実空間から収集した膨大なデータをもとに、仮想空間上でAIが分析やシミュレーションを実施します。これを現実空間へフィードバックすることで、将来起こる変化にいち早く対応することが可能となります。製造業や都市開発で近年注目を集めています。
デジタルツインという概念自体は、1960年代から存在しており、工学分野におけるシミュレーション技術のひとつとして知られていました。
技術の進化によって、より効率的に、高い解像度で現実空間を再現できるようになったことから、近年、実用化が進んでいます。
デジタルツインが注目される理由は、産業のイノベーションを推進する原動力として、高い可能性を秘めているためです。デジタルツインの適用範囲は製造業や都市開発に限らず、電力や石油、ガスなどのエネルギー産業でも期待されています。
DXの課題のひとつに、日々増加していく膨大なデータの効果的な活用があります。蓄積データは増えていても、十分に活用できていない企業もあるでしょう。
膨大なデータを収集・分析し、仮想空間でモニタリングするデジタルツインは、DX化にも重要なテクノロジーといえるでしょう。
米Gartner社が2019年に行った調査によると、IoTを導入している組織の13%がすでにデジタルツインを活用しており、62%が導入中か導入予定と回答しています。同社は「2022年までに、IoTを導入した企業の3分の2以上が少なくとも1つのデジタルツインを本番環境に導入するようになるだろう」と予測しています。
デジタルツインとシミュレーションとの大きな違いは、現実空間での事象を再現する場所がサイバー空間かどうかです。シミュレーションはサイバー空間に限らず、実在する場所で実験を行うケースもありますが、デジタルツインは仮想空間のみで行われるものを指します。また、シミュレーションは、人が仮説を立てて入力・記録作業を行うため、タイムラグが生じてしまいます。一方、デジタルツインは、サイバー空間で解析・推測し、現実空間とまったく同じ環境が同時進行で反映されるため、リアルタイムで現実空間へのフィードバックすることができます。
メタバースとの違いは、デジタルツインは現実空間の環境を仮想空間に再現しますが、メタバースは必ずしも忠実に現実空間を再現するものではないということです。メタバースは現実空間とは切り離された世界を構築することもあり、アバターが使われるのが一般的です。
デジタルツイン活用のメリット
デジタルツインを活用することで、生産性向上につながるさまざまなメリットを得ることができます。
設備保全
生産ライン全体をデジタルツインで再現しておけば、製造プロセスで起こったトラブルをすぐにデジタル上で分析し、改善できるようになります。実際に動いているロボットの動作状況を遠隔で確認する、部品の劣化などの故障の予兆を検知して故障する前にメンテナンスをおこなう、といったことがデジタルツインによって実現できます。
品質向上
デジタルツインで再現された仮想空間で製品の試作を繰り返すことで、トライアンドエラーを繰り返すことができ、製品の品質を向上させることができます。製品自体にIoTセンサーを組み込むことで、自動的かつ低コストでデータを蓄積できるため、製品の改善にも寄与します。
リスク低減
新製品の開発には、従来、膨大なコストがかかっていましたが、仮想空間で試作や製造ラインの稼働予測を行えるため、低リスクで新製品を開発できます。
リードタイム短縮
デジタルツインを活用して製造体制を最適化することで、製造のリードタイムの短縮につながります。リアルタイムで人や機械の稼働状況や負荷のデータを収集・分析できるため、製造プロセスを最適化することができます。
コスト削減
仮想空間で試作品を再現できるため、実際に作成しなくてすみコストを抑えられます。また、試作品のデータを次の試作品にすぐにフィードバックできることもコスト削減につながります。流通後のデータの取得も可能なため、マーケティングやリサーチにかかるコストも抑えられます。
アフターサービスの充実
製品出荷後の状態をデジタルツインによって確認することで、使用状況を把握し、適切なタイミングでアフターサービスを行うことができます。
デジタルツイン活用のデメリット
メリットがある一方で、導入までのコストにおけるデメリットもあります。
初期費用がかかる
デジタルツイン導入には、仮想空間に再現するための詳細なデータが必要です。しかし、データ取得にはセンサーなどのIoT機器が不可欠であり、データの分析・処理を担うAIシステムの構築に費用がかかります。
実用化に時間がかかることがある
デジタルツインを実現させるための環境整備に時間がかかる場合もあります。システム内で活用するためには、さまざまな形式で存在しているデータの統合が必要です。また、正しく双子の環境となっているのかを随時検証しなければなりません。
個人情報流出のリスク
都市部におけるデジタルツイン導入など個人情報を取り扱う場合には、個人情報が流出するリスクが発生します。
デジタルツイン導入の注意点
デジタルツインを導入する際の注意点についてご説明します。
デジタルツインが担う役割を明確化
最新のデジタルトレンドや他社事例を理解したうえで、自社の課題をどのように解決可能かを着想します。デジタルツインとの適合性を評価し、解消すべき課題を特定します。経営面から見て、投資の価値があるのかを見定めることが大切です。
協力体制を構築しロードマップを策定
デジタルツインの導入には、いくつかの部署が協力し合い、機能を提供し合う必要があります。導入したいデジタルツインに必要な機能要素を選び、それに対応する体制を構築します。そのうえでロードマップを策定することで、スムーズにデジタルツインの導入へと進むことができます。
利用データを確認
デジタルツインの実現にあたり、デジタル化されている有用なデータや実施に必要だが活用可能となっていないデータを確認する必要があります。また、IoTによるデータ収集システムの確立や外部連携の可能性も探りながら、モデル構築のための素材を調達できる環境を整備します。
システムの構築
デジタルツインのモデル化に向けてリアル空間を再現するための土台を構築します。デジタルツインの構造や表現方法、既存のシステムとの相互運用性、セキュリティ面といった点を確認しながらデータを正しく活用可能とすることを目指します。
構築後も、リアルタイムで収集されるデータと接続し、シミュレーション・分析を実施します。実務への適用と継続的な改善を行うことで、進化し続けるのです。
デジタルツインのテクノロジーを人材育成に活用
デジタルツインのテクノロジーを人材育成に活用している企業も増えています。以下、2つの例をご紹介します。
技術の継承に活用しているINESA
カラーフィルターのメーカーである上海儀電(INESA)は、富⼠通株式会社とともに「スマート製造プロジェクト」を進めています。
⼯場の建屋や設備・機器をすべてデータ化してデジタルツイン⼯場として再現し、現場スタッフは、⼀元的に可視化したデジタルツイン⼯場を俯瞰したり、各機器の電⼒消費量やコンディションデータを遠隔から細かく監視したりしています。これにより、機器に異常が発⽣した際にも、迅速に対処することが可能になっています。
また、技術継承にも活⽤されています。専⾨性の⾼い技能を有する熟練⼯の視点を利⽤して、デジタルツインによって知識・技能を記録することで、そのノウハウを継承するのです。
⼯場横断の全体最適化でベストプラクティスを共有
複数の製造現場を横断的に分析し、⼯場横断の最適化を進める企業も増えています。グローバルに存在する複数の⼯場を可視化して、状況をリアルタイムかつ詳細に監視・把握できる仕組みが構築されています。全世界にある複数の⼯場をデジタルツインで再現し、それらの⼯場を横断的に分析し、製造⼯程や装置を比較することで、ベストプラクティス⼯程を発⾒できるようになります。そのベストプラクティスを他の⼯場に適⽤してみることで、新しい改善活動が進められているのです。
上記の2つの事例のポイントとして、以下のキーワードが挙げられます。
・データ化
・ノウハウの継承
・可視化
・ベストプラクティスの共有
人材育成において、テクノロジーを活用することでこれらは可能になります。デジタルツイン以外でも、何から取り掛かると良いのか、UMUのコンサルタントがご案内します。
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