〈ATD23-ICE〉セッションサマリーご紹介:学習・トレーニングのあり方の基本

2023年5月21日〜5月24日の間、アメリカ・サンディエゴ San Diego Convention Center にて行なわれた世界最高峰の人材育成の国際カンファレンス「ATD International Conference & Exposition」に、オンライン学習プラットフォーム「UMU(ユーム)」を提供する、ユームテクノロジージャパンのメンバーが現地に参加して参りました。

本記事では、イベント中に行われた、学習・トレーニングのあり方の基本について解説された講演のサマリーをご紹介致します。UMUが提唱する学習・トレーニングのあり方の基本について学んでいただけます。

 

登壇者セッションサマリー

参加者のエンゲージメントをマスターする:会場を支配する3つの方法
Mastering Participant Engagement: 3 Ways to Own the Room

■登壇者名:Sardek Love

 

■アジェンダ

②エンゲージメントの法則

②The Engage Framework(エンゲージメントのフレームワーク)

③コンテンツを記憶させるストーリーテリング

 

■重要ポイント

①エンゲージメントは質問から始まる

②The Engage Frameworkの3要素は、「関連性」「経験的」「実行可能」

③トレーナーがガイドとなるストーリーテリングでコンテンツを記憶させる

 

■要約

2本の興味深いTikTok動画を見せ、なぜその動画に惹きつけられるのかを考えさせることから始まったSandrek Loveのセミナーは、参加者のエンゲージメントを高めるため要素と具体的な方法について解説するものでした。

 

まずAttention(注意力)の法則として覚えておかねばならないのは、「Attention goes where curiosity grows(好奇心が育つ方向に注意が向く)」ということです。参加者の注意を引き付けられず、Distracted(気が散る)/ Disinterested(興味がない)/ Dissatisfied(不満足)という3Dの状態が起きるのを避けなければなりません。

 

そのためにまず登壇者のSardekが強調したのは、「エンゲージメントは質問から始まる」ということです。好奇心を刺激するような質問(curious ask)、WhatやHowの質問をすることを推奨しています。適切な種類の質問をして繰り返し参加者の注意をこちらに向けるようにすることで、エンゲージメントを高めることが可能になります。

 

次に、The Engage Framework(エンゲージメントを高めるフレームワーク)として3つの要素を紹介しています。その3つとは、①relevant(関連性があること)②Experiential(経験的であること)③Actionable(実行可能であること)です。参加者の問題解決に焦点を当てたコースの内容は、relevant(関連性がある)であるため参加者のパフォーマンスが上がることに繋がります。また、ファシリテーションの技術を駆使して体験的な内容を用意することも重要です。さらにそれは実行可能である必要があるため、適切なガイドを用意したり、研修後のアクションプランにつなげるよう設計することが重要です。

 

最後に、コンテンツを記憶させるためのストーリーテリングについて、narrative arc(物語の構造・進行)を意識することを推奨しています。どんな名作映画などにおいても、人々を惹きつけるのは同様のストーリーで、主人公が困難な状況や悪役に打ち勝ち成功するというものです。研修においては、参加者が主人公・直面する課題が悪役・トレーナーがガイドとなると、このストーリーがエンゲージメントを高めるものとなります。

 

より良いブレイクアウト:バーチャルクラスにおけるコラボレーションの創造
Better Breakouts: Creating Collaboration in Virtual Classes

■登壇者名:Cindy Hugget

 

■アジェンダ

①バーチャルクラスにおけるコラボレーションの種類

②ブレイクアウトをファシリテートする方法

③ブレイクアウトの創造的な使い方

 

■重要ポイント

①参加者のエンゲージメントを高めるために、小グループやペアでのブレイクアウトはなるべく多く行うことが重要である。

②参加者をブレイクアウトに分ける方法は複数あり、その中からどの方法が最も適切かを考えて行う必要がある。

③ブレイクアウトのクリエイティブに使うアイディアは既にたくさんあるため、それを使ってみるべきだ。自分たちなりのアイディアでより良いブレイクアウトにするのが重要である。

 

■要約

「バーチャルクラスにおいてブレイクアウトルームをどのようにクリエイティブに使うか」というのが本セッションの大きな問いです。

 

大規模グループでのコラボレーションでは、1人ずつが声を出して話していくアクティビティを行うととても時間がかかり、エンゲージメントが高まりません。この場合、投票・チャット・リアクション等を使ったコラボレーションが有効です。

エンゲージメントを高めていくための鍵は、小グループやペアでの「ブレイクアウト」です。Cindy Huggett自身は90分のクラスで4,5回のブレイクアウトルームを実施します。

 

ブレイクアウトのアクティビティを成功させるには、事前・ブレイクアウト中・事後のステップで進めていくことが重要です。

まずブレイクアウト前には、ブレイクアウト機能がオンになっているか・何個の部屋に分けることができるか・事前にブレイクアウトルームをセットしておけるか等の設定を確認しておきます。参加者をブレイクアウトルームに分ける方法としては、事前割当・手動割当・投票結果で割当・参加者自身が好きな部屋を選択するという4つの方法があり、どれが適切かを検討して選びます。

ブレイクアウト開始前には、視覚・聴覚両方に訴えるようなアクティビティインストラクションを用意することが重要です。

また、各チーム内の役割として、最低限チームリーダーをアサインします。

ブレイクアウト終了後には振り返りの時間を設けます。どのぐらいの時間、どのような内容を発表してもらうことが適切かを決定する必要があります。

 

ブレイクアウトをクリエイティブに使うアイディアはたくさんあります。例えばあるトピックに関する過去の経験について議論したり、ロールプレイをしたりすることができます。他にも良い方法がたくさんありますので、創造的に、工夫して使っていきましょう。

 

学習者中心のマイクロラーニングを実現する方法
Ways to Make Your Microlearning Learner-Centered

■登壇者名:Carla Torgerson

 

■アジェンダ

①マイクロラーニングの定義

②マイクロラーニングの4つのユースケース

③マイクロラーニングを設計するための方法

 

■重要ポイント

①マイクロラーニングとは、学習者が学んだ内容を仕事や個人の生活に統合することができるように意図的に短縮したコンテンツのことで、学習者中心であるべきで、学習者の時間の価値と活用を最大化することを目指すものである。

②マイクロラーニングは、準備・フォローアップ・独立した学習・サポートという4つの場面で用いられ、良いマイクロラーニングを設計するにはどの場面で使うものなのかを特定するべきだ。

③学習者のモチベーションと設計者側の意図の両方を考慮してマイクロラーニングコンテンツを作成することが重要だ。

 

■要約

効果的な学習設計において、マイクロラーニングは非常に重要です。Carlaの定義では、マイクロラーニングとは、学習者が学んだ内容を仕事や個人の生活に統合することができるように意図的に短縮したコンテンツのことです。マイクロラーニングは学習者中心のもので、学習者の時間の価値と活用を最大化することを目指して活用すべきものです。

 

マイクロラーニングの4つのユースケースを紹介します。①準備②フォローアップ③独立した学習④サポートです。

 

準備のためのマイクロラーニングは、長い形式の指導をサポートまたは向上させるために使用されます。最大10分が良いでしょう。

 

フォローアップのマイクロラーニング(ブースト学習・トレーニング後の強化)は1分以下に抑えるのが理想です。

 

独立した学習とは、単体で完結したマイクロラーニングモジュールを指します。このケースでは、インフォーマルラーニングであれば4分以下、フォーマルラーニングであれば8分以下を目指すとよいでしょう。

 

サポートのためのマイクロラーニングとは、ワークフロー学習中に使用されるパフォーマンスサポートのことで、クイックに確認するものは15秒以下に、作業の一時停止が必要な場合は最大5分までが理想です。

 

どの場面で用いるマイクロラーニングなのかを特定することがとても重要で、それによってターゲットを絞った効果的な学習体験を設計・提供することができます。

 

どうすればコンテンツをマイクロ化することができるでしょうか?マイクロラーニングフォーマットは5つあります。①テキストベースのリソース②Eラーニング③動画④インフォグラフィック⑤Podcastです。その他にも様々なテクノロジーがあります。どの場面で用いるマイクロラーニングなのかを特定した上で、適切なフォーマットを選んで設計しましょう。

 

ひとつひとつのマイクロラーニングを学習者中心の設計にするには、設計者が情報を共有したいのか学習者のパフォーマンスを変革したいのかという軸と、学習者のモチベーションの高低という軸を併せて考える必要があります。例えば、学習者のモチベーションが低めで、設計者側も情報を共有するという目的が強い場合には、WIIFM(What’s In It For Me:何が得られるか)を創造することがおすすめです。一方、学習者のモチベーションが高めで、設計者側もパフォーマンスに変化をもたらすことを望んでいる場合には、学習者のWHY(なぜこれが自分にとって重要なのか)を意識して設計することが重要です。

 

マイクロラーニングを取り入れる機会を見つけ、学習者中心の体験を作り出して学習成果を最大化し、全体的なパフォーマンスを向上させましょう。

 

 

トレーニングの秘訣:学習者について学ぼう
Secret Trainers Business: Learning About Learners

■登壇者名:Tania Tytherleigh

 

■アジェンダ

学習者のより良い学びを検討するにあたり、神経科学が教えてくれる5つのこと

 

■重要ポイント

①学習者が恐怖で支配されているときや、感情の状態が良くないときには、学習者はよく学ぶことができないため、それらの状態を避ける必要がある。

②脳はソーシャルであることを望むため、学びの中で学習者同士のつながりを作ることが重要だ。

③脳にとって変化は痛みを意味するということを理解した上で学習のコンテクストを設定する必要がある。

 

■要約

価値が高く、適切で、魅力的な学習を提供する秘訣は、学習者を理解することです。このセッションでは、優れた学習体験を生み出すための神経科学からの5つの教訓を紹介しています。

 

①恐怖状態ではよく学べないため、学習者を怯えさせないように、安全だと感じさせることが重要です。

失敗もラーニングジャーニーの一貫なので、FAiL(First Attempt in Learning)を意識して、学習者がトライするように促すのは良い方法です。例えば、自分が間違えたときのストーリーをシェアしたり、学習者がすでに知っていることを中心にアクティビティをデザインするのも良いです。

 

②脳はソーシャルな臓器なので、学習者同士の繋がりを作る必要があります。

自分自身が何者かを隠さずに伝えたり、学習者がお互いにつながることができる機会を提供することが重要です。学習者は、つながりを感じるときによく成長します。

オンラインライブのバーチャルクラスでは、アイスブレイクで個人的な情報をシェアしたり、ブレイクアウトルームやチャットを使って繋がりを作ることができます。

Eラーニングにおいては、ディスカッションボードやSNS・ゲーミフィケーションなどの方法が考えられます。

③感情の状態が良いときに、学習者は1番よく学ぶことができます。
ワクワク・驚き・喜び などの感情を与えるようにすることで、学習者は最もよく学びます。

④情報過多だと脳は処理しきれません。
脳は、一気に多すぎる情報を浴びせられると処理しきれなくなってしまいます。一足飛びのイベントよりも小さな変化の連続の方がより効果的です。1回1コンセプトにフォーカスするような学習をデザインしたり、繰り返しや再確認をする機会を作ったりするのが良い方法です。

⑤脳にとって、変化は痛みを意味します。
学習者は自分にとって重要で関連性のあるものに注意を払うので、そのことを理解した上で学習のコンテクストを設定する必要があります。学習者が学びたいと考えている理由や学習者の反応を理解することも重要です。

 

 

学び・トレーニングのあり方を全て反映できるUMU

登壇者の解説から、より良い学びにしていくための要素として以下の内容がありました。

・エンゲージメントは質問から始まる

・マイクロラーニングを学習者中心の設計にする

・学習者同士の繋がりを作る

 

ラーニングプラットフォーム「UMU」では、これらを全てをワンプラットフォームにて実現可能です。

eラーニングを有効に活用するのに必要なのは、以下のステップです。

 

ステップ1 意味づけ

ステップ2 インプット

ステップ3 アウトプット

 

例えば、学習コンテンツとして動画を用意したら、業務に当てはまるように意味づけします。コンテンツをただ見るだけではなく、得た気づきをアウトプットできるようにデザインしなおすのです。

 

UMUでは、多様なアウトプット形式が設定可能です。例えばディスカッションの場を設けたい場合、気軽にコメントを投稿でき、いいねボタンや返信ボタンを用いて、受講生同士が他者の投稿に対してリアクションしあえる画面設定もあります。TwitterやFacebookに似た使い勝手で馴染みやすく、楽しめる仕掛けになっています。

学びは楽しく、業務に役立つものだという成功体験を積める学習デザインにすることで、自律的な学びに繋がります。最新のテクノロジーを応用した学習プラットフォームUMUは、最適なコンテンツをフレキシブルに組み合わせられる点と、アウトプットなどの双方向性を強みに、それらをサポートします。

 

正しい学びのあり方を具体的に実現する方法についてご相談されたいという方は是非UMUへお声がけください。

 

▼ATD-ICEセッション登壇者にインタビューを実施し、セッションの重要ポイントを話していただきました。

ATDグローバルシニアディレクターのWei氏からのメッセージも含めた17もの動画を以下より一覧でご覧いただけます。


私達UMUは、企業様向けに研修のオンライン化やリモート学習の無料相談会を毎日実施しております。
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