ATD ICE 2024現地参加、デイリーレポート(DAY3:5月21日)
2024年5月19日(日)〜22日(水)まで、アメリカ・ルイジアナ州ニューオーリンズにて、世界最大規模の人材開発・組織開発関連カンファレンス、「ATD-ICE(International Conference & Expostion)」が開催!ATD ICE 2024現地参加者によるデイリーレポートをお届けします。
UMUがATD ICE 2024参加する理由
人材開発の最新トレンドとベストプラクティスを学ぶ
ATD ICE 2024は、世界最大規模の人材開発・組織開発関連イベントであり、80カ国以上から10,000名を超える参加者が集まります。このイベントでは、業界のトップスピーカーによる講演や、最新のツールやソリューションを紹介する展示会などが開催されます。参加することで、人材開発の最新トレンドとベストプラクティスを学ぶことができ、自社の研修プログラムや組織開発戦略の改善に役立てることができます。私達UMUはこれらの情報を日本の人材育成に関わる方々にいち早くご紹介し、お役立てできればと思っています。
セッション参加レポート(DAY3)
私たちは今回参加したメンバーでカテゴリごとにチーム分けをし各セッションに参加をしています。
本日はその中から、
・基調講演のDaniel Pink(ダニエル・ピンク)
カテゴリ別に
・5 Ways to Build a Culture of Coachability(コーチングの文化を築く5つの方法)
・Innovate or Die: Harnessing Generative AI for Maximum Impact
(改革か死か:生成AIを活用し、最大のインパクトをもたらす)
・Create a Measurement and Reporting Strategy With TDRP(TDRPで測定と報告の戦略を立てる)
合計4つのセッションをご紹介します。
基調講演:Daniel Pink
(ダニエル・ピンク)
ダイエル・ピンクの講演では、現代の仕事環境とその変化、特に2024年の経済状態、労働市場の動向、働き方の多様化について語られました。
2024 年はすでに 142 日が経過し、年の 40% が過ぎ去った。 経済は好調だが、消費者は不安を感じている。 失業率は低いが、労働市場は混乱している。9時〜17時勤務は終わり、多くの人が週 4 日勤務やリモートワークを選択しており、 従業員は秘密の副業や静かに辞めるなど、新しい働き方をしている。次はどんなことがおこるのか?その答えは誰にもわからない。誰にもわからないからこそ行動することで答えを見つけることができるのである。
証拠に基づいた情報に基づいて行動し、 新しいアイデアやアプローチを試す。
失敗を恐れず、そこから学び、 他の人と協力する:他の人の経験や知識を共有し、 変化を受け入れ、新しい状況に適応する。
これらの行動を取ることで、将来の仕事や学習の仕方がどうなるかについて、より良い理解を得ることができるだろうと述べていた。
また人間がモチベーションを高く感じる時は自分が進捗をしているときが、一番モチベーションを感じる。誰かに頼るのではなく、自分を自らモチベートする必要がある。そのための5つのヒントとしての方法を伝えたい。
1.やる前から足すことを考えない
問題解決には、足し算だけでなく引き算も重要である
2.小さな勝利を積み重ねる
進捗を記録することで、モチベーションを維持できる。
毎日3つの進捗を書き留める習慣をつける。小さな勝利を積み重ねることで、大きな目標達成に繋がる。
3.「なぜ」と「どのように」を意識する
人々に指示を出すだけでなく、なぜその指示が必要なのかを説明する。
「なぜ」と「どのように」を意識することで、より効果的なコミュニケーションが可能になる。
毎週2回の「どのように」の会話を2回の「なぜ」の会話に変える。
4.休憩を効果的に利用する
休憩はパフォーマンス低下を防ぐだけでなく、学習効果を高める。15分間の屋外休憩を1日1回取る。
5.大胆な決断を下す
後悔のない人生を送るためには、リスクを恐れずに大胆な決断を下すことが重要である。
10年後の自分自身にアドバイスを求める。小さなことから始め、徐々に大きな挑戦に挑む。
ポジティブな仕事環境の創出、目標の達成、そして個人としての成長を目指す人々にとって、実践的なヒントを教えてくれました。
リファレンスサイト:https://www.td.org/atd24news/pink-keynote
5 Ways to Build a Culture of Coachability
(コーチャビリティの文化を築く5つの方法)
スピーカー:
Universitiy of Minnesota Carlson School of Management/Executive Leadership Fellow
(ミネソタ大学カールソン経営大学院/エグゼクティブ・リーダーシップ・フェロー)
Kevin D. Wilde(ケビン・D・ワイルド)
コーチャビリティとは、フィードバックをする側ではなく、フィードバックを受け取る側に焦点を当てた考え方です。 元々は成功するスポーツ選手の資質と見られていたもので、コーチャビリティの高い選手のことを「彼/彼女はコーチャブルだ」と評したりします。
コーチャビリティの構築に向けた取り組みを強化したい組織は、従業員のコーチング能力の開発に投資することをお勧めします。
Innovate or Die: Harnessing Generative AI for Maximum Impact
(改革か死か:生成AIを活用し、最大のインパクトをもたらす)
スピーカー:
Novartis/Associate Director of Curriculum Development & Learning
(ノバルティス/カリキュラム開発・学習部門アソシエイトディレクター)
Julie McGovern(ジュリー・マクガバン)
Novartis/Global Learning Partner(ノバルティス/グローバルラーニングパートナー)
Courtney Nall(コートニー・ノール)
ノバルティスファーマが研修プログラムを企画運営をする上で、どのようなAIを活用をしてきたかをシェアする会であった。ADDIEモデルを使い、各段階(分析、設計、開発、実施、評価)でAIがどのように役立つかを具体例を交えて紹介した。
分析フェーズでは、AIが迅速にデータ分析を行い、学習目標を提案。設計フェーズでは、AIが構造や評価方法のアイデアを提供。開発フェーズでは、AIが指導ビデオの作成やクイズの作成を支援。そのステップにどのようなAIをトライしてきたかがシェアされた。従業員のニーズに合わせてワークショップとスライドを作成する内容は実際の、営業担当者のプレゼンテーションスキルを向上させる。腫瘍学の科学者向けの認定資格準備をサポート等を行う。等が生成AIの活用部分である。実際のデモンストレーションでは、ワークショップとスライドを作成において、簡単なプロンプトを入れ込むだけで、10P程度のスライド骨子が数分で完成することができた。
AIは万能なものではないものの、学習デザインの未来にどのように影響を与えるかををイメージをすることができる
Create a Measurement and Reporting Strategy With TDRP
(TDRPで測定と報告の戦略を立てる)
スピーカー:Manage Learning/President/David Vance
(マネージ・ラーニング/社長/デイビッド・ヴァンス)
この講演では、タレント開発報告フレームワーク(TDRP)を紹介し、測定と報告の重要性について論じた。特に、共通言語とフレームワークの確立が求められている点が強調された。測定の目的としては、情報提供、監視、評価、管理の4つがあり、それぞれに応じたデータ収集と活用方法が必要とされる。測定の種類は効率性、効果性、成果の3つに分類され、具体的な測定方法が紹介された。また、報告方法としてダッシュボードやスコアカード、プログラム評価報告、運用報告などが挙げられ、目的に応じた適切な形式を選ぶことの重要性が述べられた。最後に、学習と人事の分野で業界標準を確立し、ベストプラクティスを導入することの重要性が強調された。
このように、ATD ICE 2024は人材開発の専門家としてスキルアップするための絶好の機会です。
参加することで、最新の知識やスキルを習得することができ、他の専門家との交流を通して、自分の視野を広げることができます。
浦山昌志のデイリーインサイト
DAY3の基調講演でダニエル・ピンクが登場しました。
彼は私たちに対して、今年の残りの日々にもって欲しい5つのマインドセットやアクションを提案をしました。
彼の主張の全てが、モチベーション3.0の時のように、多くのデータによって裏付けられています。だから説得力に溢れていて多くの参加者が共感していたと思います。
私は、5つのうち一つ紹介して実践したいと思います。
3番目の提案で、「今年の残りの日々の終わりに、その日に進歩した3つの方法をリストアップしてください」というものがありました。
1)私は年老いてもまだ沢山の学びたいことがあること
これが私の成長の一番かと感じたこと
2)共に学び合うこと
i4CPの本日のセッションで、ハイパフォーマ企業は従業員が学び合う
システムを、ローパフォーマ企業の3.5倍も投資をしているというデータが示された。
3)感謝をすること
これまで、帰国する際には出展者から頂いたパンフやフライヤーは荷物が重くなるし、
同じ情報はWebでも見れるからと捨てていたのだが、
一つ一つが私のための説明をしてくれた人たちの顔を思い出しながら、
読むため全部持って帰ろうと決断できたこと。
そのフライヤーひとつひとつにも感謝ができ、毎日このような振り返りをしていこうと決めました。
浦山昌志について
ASTD Japan創設者、株式会社IPイノベーションズ代表取締役の浦山昌志氏監修によるATD ICE UMUツアーを現地で開催します。人材育成(主にICT業界向け)の豊富な実績と、ASTD Japanでの研究成果をもとにした先進的なコンサルティングに定評がある浦山氏によるインサイトをいち早くお届けします。
ATD ICE 2024での学びをイベントで終わらせないための「振り返り会」レポート(UMUデリゲーションツアー)
UMUデリゲーションツアーでは、その日の終わりに「振り返り会」を実施しています。
振り返り会はお互いの学びの共有し、新たな気づきを得る機会です。
ATDでは300以上の多くのセッションが実施されるので、この場を活用してより多くの学びを得て持ち帰ることが可能です。
UMU取締役会長である浦山昌志のファシリテーションにて、テーマをグループごとに振り返りを行いました。
振り返り会では以下のような「学び」が共有されており、この時間を活用することによって、自分以外の参加者による学びの共有が自身にとって大きな学びになり、良い時間になりましたという声を多くいただきました。
振り返り会で話された主な論点
・人材育成計画の策定
・生成AIの活用
・フィードバック文化の醸成
・知識の呪いへの対策(認知における脳の働きに関するセッション)
・アジャイルなコンテンツ制作
・行動科学に基づいた研修設計
・ラーニングサイエンスの活用
・育成とROEの結びつき
・Why? 視点の重要性(「何のために」ということが重要である)
・聴衆を意識したコミュニケーション
テーマ1:人材育成計画の策定
〈論点〉
実際に活用できるフレームワークを学ぶことができた
〈コメント・ディスカッション内容〉
・戦略計画に基づいて、自社の人材開発文化を理解した上で作成する必要がある
・エンゲージメント計画も同時に検討していく必要がある
〈今後について〉
具体的なフレームワークを活用し、自社に合致した人材育成計画を策定する。
テーマ2:生成AIの活用
〈論点〉
Beautiful AIなどのツールを活用したプレゼンテーション作成が紹介された
〈コメント・ディスカッション内容〉
・教育分野でも生成AIの活用が期待される
・社内で活用することで、新しい取り組みを促すことができる
〈今後について〉
決定: 生成AIの活用を検討し、社内での導入を推進する
テーマ3:フィードバック文化の醸成
〈論点〉
上司から部下だけでなく、部下から上司へのフィードバックも重要である
〈コメント・ディスカッション内容〉
・フィードバックを受けることで、自身の成長を促すことができる
・上司もフィードバックを受けることで、より良いリーダーになれる
〈今後について〉
フィードバック文化を醸成し、上司と部下の双方向のフィードバックを促進する
テーマ4:知識の呪いへの対策
〈論点〉
学習コンテンツ作成において、知識の呪いを意識する必要がある
〈コメント・ディスカッション内容〉
・研修作成者は、受講者の視点に立ってコンテンツを制作する必要がある
・研修内容を事前に実践してみることも有効である
〈今後について〉
知識の呪いを意識し、受講者にとってわかりやすく効果的な研修コンテンツを制作する
テーマ5:アジャイルなコンテンツ制作
〈論点〉
ノバルティス社のセミナーを参考に、アジャイルなコンテンツ制作について学んだ。
〈コメント・ディスカッション内容〉
・MiroやSlidoなどのツールを活用することで、コンテンツ制作を迅速に行うことができる。
・生成AIを活用することで、動画制作などの負荷を軽減することができる。
〈今後について〉
アジャイルなコンテンツ制作手法を導入し、コンテンツ制作の効率化を図る。
テーマ6:行動科学に基づいた研修設計
〈論点〉
ダニエル・ピンクの基調講演で、行動科学に基づいた研修設計について学んだ
〈コメント・ディスカッション内容〉
・TO DOリストではなく、DON’tリストを作ることで、より効果的な行動を促すことができる。
・1日の最初に重要なことにフォーカスすることで、生産性を向上させることができる
・後悔はモチベーションを低下させるため、事前に意思決定しておくことが重要である
〈今後について〉
行動科学に基づいた研修設計を取り入れ、受講者の行動変容を促進する
テーマ7:ラーニングサイエンスの活用
〈論点〉
ラーニングサイエンスに基づいた研修設計の重要性について学んだ
〈コメント・ディスカッション内容〉
・研修内容を長期記憶に定着させるためには、繰り返し学習やアウトプットが重要である。
・受講者同士で教え合うなどのアクティブラーニングを取り入れることで、効果的な学習を促進することができる
〈今後について〉
ラーニングサイエンスに基づいた研修設計を取り入れ、受講者の学習効果を最大化する
テーマ8:育成とROIの結びつき
〈論点〉
育成投資とROIの関係性について学んだ
〈コメント・ディスカッション内容〉
・育成投資の成果をデータで示すことが重要である
・研修プログラムの責任を負う=ROIの責任を負うと同義である
〈今後について〉
上位概念の「あるべき姿」があり、その下に育成施策がある。より大きなレイヤーの課題を解決するのがROIにつながるものであり、組織におけるあるべき姿に対して、様々な背景や意図なども組み上げたうえで検討していく必要があると感じた
振り返り全体を通して
DAY3の振り返り会では、様々なセッションを通して得られた学びや気づきを共有し、今後の活動に対してどのように活かすか?についてディスカッションを実施しました。特に、「Why?」というキーワードが各セッションで共通して取り上げられ、人材開発における目的意識の重要性が再認識されました。また、ラーニングサイエンスやデータ分析など、科学的な知見に基づいた人材開発の重要性も示唆されました。今後は、これらの学びを踏まえ、より効果的な人材開発施策の立案・実行に取り組んでいく必要があると感じます。
ネットワーキングナイト
今年のATD24、ネットワーキングナイトでは、ニューオーリンズの伝説的な祭典であるマルディグラで開催されました。
このイベントでは、美味しい料理や活気ある音楽、笑いが耐えない空間を楽しめます。
特に注目すべきは、有名なフロート・デンで展示される壮大なデザインや美しい色彩の世界です。
会場は熱気に包まれ、生バンドの演奏やダンスフロアも用意されており、皆がその場を思う存分楽しむ時間を過ごしている様子からもパワーを感じることができます。
さらに、マンション・ネットワーキング・ラウンジでは、くつろぎながらカクテルを楽しむことができ、世界中の同業者との交流も深められ、パレードでは華やかな夜を演出してくれました。
カンファレンス会場とは打って変わって、環境や空気感が変わり、ATDの新たな一面に魅了されます。
日本の交流会とはまた異なった空気感を味わいながら、いつもの自分より少しアクティブになれるのは、アメリカという現地まで来たからこそ感じられる特別な体験です。
UMU限定!登壇者インタビュー動画公開
セッション登壇者にインタビューを実施し、セッションの重要ポイントを話していただきました。
登壇者インタビュー動画はこちらよりご確認いただけます。
ATD ICE 2024登壇者インタビュー
ATD ICE24を総括した報告会開催決定!
報告会(Webinar)では浦山昌志、UMUスタッフが現地参加で得ることができた、グローバルにおける最新のテクノロジーや学習テーマ別の学習ベストプラクティスについてお伝えします。カンファレンス期間中に開催された3つの基調講演の情報をはじめ、各テーマ別に実施されていたセッションの内容をご紹介します。
開催詳細
開催日:2024年6月5日(水)10:00~11:30
形式:Zoom Webinar
費用:無料
このような方はぜひご参加ください
・グローバル企業が実際に何を取り組んでいるのか、まずは知りたい
・自分と同じ、人材開発に携わる方が何に困っているのかまずは知りたい
・トレンドを踏まえて、2024年は何を優先的に取り組む、準備するべきか知りたい
・最新のテクノロジー活用状況を知り、社内で実践したい
関連リンク
■【ATD-ICE 2024】ラーニングトラックとは?注目セッションのご紹介 Learning Science
https://umujapan.co.jp/column/atd-ice2024_session01/
■ATD-ICE公式サイト
■アメリカATD公式サイト
■ATD Member Network Japan公式サイト
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