ATD ICE 2024現地参加、デイリーレポート(DAY2:5月20日)
2024年5月19日(日)〜22日(水)まで、アメリカ・ルイジアナ州ニューオーリンズにて、世界最大規模の人材開発・組織開発関連カンファレンス、「ATD-ICE(International Conference & Expostion)」が開催!ATD ICE 2024現地参加者によるデイリーレポートをお届けします。
UMUがATD ICE 2024参加する理由
人材開発の最新トレンドとベストプラクティスを学ぶ
ATD ICE 2024は、世界最大規模の人材開発・組織開発関連イベントであり、80カ国以上から10,000名を超える参加者が集まります。このイベントでは、業界のトップスピーカーによる講演や、最新のツールやソリューションを紹介する展示会などが開催されます。参加することで、人材開発の最新トレンドとベストプラクティスを学ぶことができ、自社の研修プログラムや組織開発戦略の改善に役立てることができます。私達UMUはこれらの情報を日本の人材育成に関わる方々にいち早くご紹介し、お役立てできればと思っています。
浦山昌志のデイリーインサイト
2日目は、基調講演から始まりました。
マシュー・マコノヒーが「Alright, alright, alright」と述べることで表現される楽観主義が生き残りの鍵であり、信念の一部であるということ。そして、ご自身の経験から、生き残る秘訣は失望をどう管理するかだと考える点に感動しました。
キャリアが上手くいかなかった期間に、それは自分が準備ができすぎていたからという楽観的なマインドセットにさえ衝撃を受けました。その役柄に徹するという話には、リーダーシップの発揮に関する概念も多数含まれており、多くの気づきがありました。
ブレイン・タトゥーについて、マコノヒーの前に、ロバート・X・フォガーティがブレイン・タトゥー・メソッドを紹介してくださいました。自分にとって重要なことを肌に書き、それを撮影する方法です。
自分にとって意味のある言葉を選び、関連する記憶を書き留める演習を行いました。考えてみると、私は自分の人生の生き方を通して、「ライフタトゥー」を顔にすでに刻んでいるのかもしれないと感じました。その演習はとても面白かったです。
またこの日はEXPOを中心に様々なブースを訪問しました。激増しているテクノロジー関連のブースだけでなく、広く興味深い内容を見学しました。これは、人々の関心がAIやテクノロジー関連に向けられていることを考えると、新しい差別化されたインサイトは別のところで得られると感じたからです。
感じたことは、AIなどのテクノロジーと人間性の交差点です。人間性を最大限に活用するAIの活用を意識することの必要性をEXPOで感じました。
UMUの振り返り会では、リーダーシップ関連のグループを担当しましたが、この日もセレンディピティが起こりました。聴こうとしていたセッションに向かう途中で、全く意識していなかったセッションの前で、「この内容は今回のATD ICEでも非常に好評ですよ」という案内に引き寄せられました。
それは、リーダー育成を生成AI駆動のアバターを使用して、リアルタイムのシミュレーション訓練を行うデモでした。単なるロールプレイではない、とても印象的な技術だと感じ、振り返り会でも共有しました。
お昼には、今回のATD ICEで初めてお会いする方と会話をしましたが、その出会いにもセレンディピティを強く感じました。
私が常々話すことですが、「エッジ(最先端)は、部屋の中でのセッションではなく、部屋の外の廊下での人との出会いや会話の中にある」ということを実感しました。
浦山昌志について
ASTD Japan創設者、株式会社IPイノベーションズ代表取締役の浦山昌志氏監修によるATD ICE UMUツアーを現地で開催します。人材育成(主にICT業界向け)の豊富な実績と、ASTD Japanでの研究成果をもとにした先進的なコンサルティングに定評がある浦山氏によるインサイトをいち早くお届けします。
セッション参加レポート(DAY2)
(Main Stageのオープニング、ATD CEO トニー・ビンガム氏プレゼンテーションの様子)
私たちは今回参加したメンバーでカテゴリごとにチーム分けをし各セッションに参加をしています。
本日はその中から
・基調講演のMatthew McConaughey(マシュー・マコノヒー)、
カテゴリ別に
・ Leading the Charge: Harnessing Strengths to Champion Change
(リード・ザ・チャージ 強みを活かして変革の先頭に立つ)
・Generative AI: New Technologies for Learning( 生成AI:学習のための新技術)
・Proving Value in Top Leadership Development Program (Case Studies)
(トップリーダー育成プログラムの価値を証明する(ケーススタディ))
合計4つのセッションをご紹介します。
基調講演:Matthew McConaughey
(マシュー・マコノヒー)
OptimismとPreparationの重要性
Optimism is servival. Optimismはサバイバルに不可欠な要素である。スポーツや仕事においても、ポジティブな姿勢を持ち続けることで困難を乗り越えられる。一方で緊張する場面を乗り越える場合には、Optimismだけでなく、適切なPreparationも重要。マシューは元々恥ずかしい思いをすることが嫌いで、それを避けるためにPreparationは重要であると話している。実際にスペイン語で4ページのモノローグを読まなければならない場面で、準備不足を悔いたエピソードを話している。
Ownership of ideas
良い物語を語るには、良いリーダーシップも必要だと指摘した。マシュー自身が監督には彼が何をすべきか指示しないよう伝えており、様々な仕事をこなす中でも誰かに指示をされるのではなく、主体的に、アイディアのオーナーシップを持って物事に取り組む重要性を話した。また、同じく最高のリーダーは指示を出すのではなく周囲のアイディアに「Exactly」と容認しそれをサポートできる人物だとした。
リファレンスサイト:https://www.td.org/atd24news/mcconaughey-keynote
Leading the Charge: Harnessing Strengths to Champion Change
リード・ザ・チャージ 強みを活かして変革の先頭に立つ
スピーカー:Zenger Folkman/President/Joseph R. Folkman(ゼンガー・フォークマン/社長/ジョー・フォークマン)
変化をリードするための個人の強みの活用と、新しい挑戦に適応する方法の重要性が強調されています。保健指導者の例を通じて、実際のデータとフィードバックツールの使用を含むプロセス改善の方法が示されました。また、講師はテクノロジーの進化や変化への個人的な適応を共有しながら、急速に変化する世界で、組織および個人が直面する挑戦と、それに対応する必要性を説きました。講演はデジタル変革、リモートワーク、新技術、組織文化のような現代ビジネス環境の重要なトピックに焦点を当て、変化をリードするための具体的なアプローチや思考方法についてのアイデアを提供しました。変化に必要なスキル、自信を持って新しい方向に進む方法の開発、戦略的思考と行動、そして持続的な成長とイノベーションを促すリーダーシップの重要性が講演全体を通じて強調されています。
Generative AI: New Technologies for Learning
生成AI:学習のための新技術
スピーカー:AWS | UnDesto LLC/Technologist/Almira Roldan(AWS|UnDesto LLC/テクノロジスト/アルミラ・ロルダン)
AWSの上級研究員であり、Undestoというコンサルティング企業も経営をしている同志が幅広くAIについて共有をした。昨今AIという言葉を聞かない日はない。実際セッションの中でもAIツールの使用有無に関して挙手性でアンケートをとったシーンもあった。ChatGPTは8割以上ただしそれ以外のGeminiや、Bird、Mid Journyを使ったことがある人は20%以下だった。ChatGPTで一気に認知が広まった、AIツールも、まだまだAIそのものについては分からないという人が多いという印象。自身が推奨するAIの紹介もしており、Hey gen,Pictory, 7Taps,Ideogram, Sybthesia, Mobile coach,の簡単な紹介がされていた。
一方で、AIのリスクに関しても話が上がっており、不正確さ、データとプライバシー、AIへの極度な依存、誤った情報がアウトプットされるということも共有されたいた。
機械学習による、AIについては、教師データと呼ばれる正解があり、それをもとに正誤判定を行う。一方で、生成AIはデータとなる、PPTやワード、テキストを”基礎モデル”を通してアウトプットをするため、毎回異なるアウトプットが出ており、正解が無いものである。このようなことから、AIへの過度な期待や、認識のズレを起こさぬようにする必要がある。
Proving Value in Top Leadership Development Program (Case Studies)
トップリーダー育成プログラムの価値を証明する(ケーススタディ)
スピーカー:
・Sulaiman Hamed Ali Al Ghafri(スライマン・ハメド・アリ・アル・ガフリ)
石油・ガス部門 ラーニング&ディベロップメントエキスパート
・William A. Brantley, CPTD(ウィリアム・A・ブラントリー CPTD)
・DEBORAH Masak(デボラ・マサック)
・Patti P. Phillips, CPTD(パティ・P・フィリップス、CPTD)
・James T. Ward(ジェームス・T・ワード)米海軍 リーダー育成継続プログラム・マネージャー
この講演では、リーダーシップ開発プログラムの実践とその成果について詳しく説明されました。特に、ROI(投資利益率)モデルを導入し、プログラムの効果を数値で測定する方法が強調されました。データ収集と分析の手法を通じて、トレーニングが実際の業務にどのように適用され、どのような成果が得られたかを評価する重要性が説明されました。また、トレーニング後のフォローアップの重要性も強調され、参加者が学んだ内容を実際の業務にどのように適用しているかを追跡する具体的なステップが示されました。さらに、異なる国や文化で働くリーダーに対するリーダーシップ開発の適用例が紹介され、各地域の法律やビジネス環境に合わせたリーダーシップ開発の重要性が述べられました。全体として、この講演はリーダーシップ開発プログラムの価値を具体的なデータと実例を通じて明確に示し、組織全体でパフォーマンスを重視する姿勢の重要性を強調しました。
このように、ATD ICE 2024は人材開発の専門家としてスキルアップするための絶好の機会です。
参加することで、最新の知識やスキルを習得することができ、他の専門家との交流を通して、自分の視野を広げることができます。
ATD ICE 2024での学びをイベントで終わらせないための「振り返り会」レポート(UMUデリゲーションツアー)
UMUデリゲーションツアーでは、その日の終わりに「振り返り会」を実施しています。
振り返り会はお互いの学びの共有し、新たな気づきを得る機会です。
ATDでは300以上の多くのセッションが実施されるので、この場を活用してより多くの学びを得て持ち帰ることが可能です。
DAY2はUMU取締役会長である浦山昌志のファシリテーションにて、テーマをグループごとに振り返りを行いました。
振り返り会では以下のような「学び」が共有されており、この時間を活用することによって、自分以外の参加者による学びの共有が自身にとって大きな学びになり、良い時間になりましたという声を多くいただきました。
テーマ1:効果測定の進化と課題
・昨年と比べて、実際の効果測定実践事例の共有が増加。
・日本国内と比べて、グローバルでは「数字で測る」ことに対する意識が高い。
・昨年はカークパトリックモデルのレベル3まで計測している企業がグローバルで約半数存在。
・ROI Instituteの登壇者が多い。
・効果測定はすべての研修に当てはめることは難しい。
・研修の目的を明確にした上で、効果測定方法を検討する必要がある。
テーマ2:リーダーシップ開発のトレンド
・ソフトスキルをハードデータに変換し、有価証券報告書で報告する必要性が高まっている。
・ROIとカークパトリックモデルが、効果測定の2大指標として紹介された。
・昨年はAIに関するセッションは概念的な内容が多かったが、今年は実践的な内容が増加。
・リーダーシップは、企業の価値観とフィットさせることが重要。
・ウェルビーイングやダイバーシティを重視したリーダーシップが求められている。
・研修設計では、結果の設定から具体的な行動まで設計することが重要。
・リーダーは、組織の文化を担う存在。
・リフレクションを深めるために、ジャーナリングと問いを活用する。
テーマ3:人材開発×AIの今後の展望
・AIを活用して、人材育成を推進していく。
・QRコードを活用して、研修後のアンケートを効率的に収集する企業が増えている。
・ChatGPT4などのAIツールを活用して、新しい研修コンテンツを開発する。
・翻訳ツールを活用して、海外のセッションを理解する。
振り返り全体を通して
ATD ICE 2024では、効果測定とリーダーシップ開発に関する様々なセッションが開催されました。これらのセッションを通して、効果測定の重要性とリーダーシップ開発の最新トレンドについて理解を深めることができました。今後、これらの知見を活かして、自社の研修プログラムをより効果的なものにしていきたいという内容が共有されました。
UMU限定!登壇者インタビュー動画公開
セッション登壇者にインタビューを実施し、セッションの重要ポイントを話していただきました。
登壇者インタビュー動画はこちらよりご確認いただけます。
ATD ICE 2024登壇者インタビュー
ATD ICE24を総括した報告会開催決定!
報告会(Webinar)では浦山昌志、UMUスタッフが現地参加で得ることができた、グローバルにおける最新のテクノロジーや学習テーマ別の学習ベストプラクティスについてお伝えします。カンファレンス期間中に開催された3つの基調講演の情報をはじめ、各テーマ別に実施されていたセッションの内容をご紹介します。
開催詳細
開催日:2024年6月5日(水)10:00~11:30
形式:Zoom Webinar
費用:無料
このような方はぜひご参加ください
・グローバル企業が実際に何を取り組んでいるのか、まずは知りたい
・自分と同じ、人材開発に携わる方が何に困っているのかまずは知りたい
・トレンドを踏まえて、2024年は何を優先的に取り組む、準備するべきか知りたい
・最新のテクノロジー活用状況を知り、社内で実践したい
関連リンク
■【ATD-ICE 2024】ラーニングトラックとは?注目セッションのご紹介 Learning Science
https://umujapan.co.jp/column/atd-ice2024_session01/
■ATD-ICE公式サイト
■アメリカATD公式サイト
■ATD Member Network Japan公式サイト
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まずはコレから!
人材開発におけるAI活用がわかる
初めて資料3点セット
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