【ATD-ICE2023】アダム・グラント基調講演内容《日本語訳》

2023年5月21日〜5月24日までアメリカ・サンディエゴで開催された世界最大規模の人材開発・組織開発関連カンファレンス、「ATD-ICE(International Conference & Expostion)」は、大盛況のうちに幕を閉じました。

 

本記事は基調講演スピーカーの1人、アダム・グラント(Adam Grant)の基調講演について紹介したATD公式サイトの記事、”Think Like A Scientist” を日本語に翻訳したものです。

 

ATD公式サイト”Think Like A Scientist”記事日本語訳

(ここから”Think Like A Scientist”  の日本語訳)

 

アダム・グラント氏は、ATD23の参加者に「自分の知っている物事を見直す」ことを求めた。

 

月曜日のオープニング・ジェネラルセッションでは、ウォートンの組織心理学者、『Think Again』のベストセラー著者、ポッドキャスト『WorkLife』のホストでもあるアダム・グラント氏が、人々が仕事で苦労する原因は何か、どうすれば「仕事が嫌にならない」のかという問題を扱った。基調講演「Think Again: The Power of Knowing What You Don’t Know」の中で、グラント氏は参加者に対し、チャレンジネットワークの構築・心理的安全性の確保・マインドセットの見直しについてアドバイスを送った。

 

チャレンジネットワーク

私たちの多くは、自分の盲点に気づき・成長し・学ぶために、誰かあるいは複数の誰かを必要としている。グラント氏は、このような人を「不愉快なギバー」と呼んだ。表面的には荒っぽい性格だが、対立を嫌って何でもかんでもYESと言う「好意的なギバー」とは違い、「不愉快なギバー」は厳しい愛情を注ぎ、あなたが聞きたくない、でも聞く必要があることを教えてくれる。

 

「正直であることは、忠誠心の最高の表現である」とグラント氏は言い、「嫌われ者は、最悪の自分から私たちを守ってくれる」と語った。

 

チャレンジ・ネットワークに必要な人数は、その決断がいかに重要であるかということと関連している。重要な選択をするのであれば、正直なフィードバックをくれるより多くの独立した声が必要だ。

 

心理的安全性

 

組織が心理的安全性に欠けるのは、リーダーが従業員に対して、問題ではなく解決策を提示することを期待しているためであり、その結果、多くの機会損失が発生する。

 

心理的に安全な職場環境を作るには、リーダーは「ドアは開いている」と言うだけでなく、自ら批判を受け止めることが必要である。そうすることで、他の社員も同じように批判を受けられるようになる。

 

例えば、生死に関わるような医療現場で心理的安全性のない職場環境では、職員が恐怖心から発言しなくなる可能性があるとグラント氏は指摘し、こうした組織ではミスが繰り返される可能性が高いと指摘した。

 

また、ブリッジウォーター・アソシエイツとその創業者であるレイ・ダリオが、どのようにして従業員が現状に挑戦することを奨励する心理的安全性のある環境作りをしているのか、ということについてグラント氏は紹介した。

 

グラント氏は3つの例を紹介した。新入社員がブリッジウォーターの原則に同意するかどうかを尋ねる「オンボーディング」、目上の人に挑戦することが評価に反映される「業績評価」、そして「組織の日常文化」である。グラント氏は、ある若手スタッフがダリオ氏にメールを送り、彼のプレゼンテーションにD-の評価をつけたという例を紹介した。

 

重要なのは2回目の評価、つまり、1回目の評価を受け止め、自分を向上させようとする姿勢だとグラントは言う。あなたの成長心や学ぼうとする姿勢にはA+がつくだろうか?

 

私たちのマインドセット

 

牧師、検察官、政治家、カルト宗教の指導者たちは、「私は正しい」「あなたは間違っている」と主張する。

 

グラント氏は、同じような考え方に固執するのではなく、科学者の考え方を取り入れてみてはどうか、と言う。つまり、イニシアティブを理論・仮説・実験と考え、アイディアがうまくいかなかったり、変更する必要があるときには、迅速に切り替える準備をすることができるのだ。

そして、グラント氏は参加者にこう問いかけた。「あなたには、もはや役に立たない習慣がありますか?」私たちの習慣が新しい現実に合っていないことを早く認められれば、何が上手くいくのか、何が正しいのかをより早く知ることができる。

 

実践編

 

グラント氏は、彼のアイディア(チャレンジネットワーク、心理的安全性、科学者のマインドセット)を日常生活に取り入れるためのいくつかの戦略を紹介した。

 

「言葉は本当に重要だ」とグラント氏は言った。私たちは自分たちの物事の進め方を、パイロット版(人材開発者が慣れ親しんでいる取り組み)や実験として見ることができる。代替仮説は何かと問うことが重要だ。

 

最終的なまとめ

 

元ダイバーであるグラント氏は、ダイビングに挑戦するとき、自分に恐怖心があったと認めている。特に難しいことに挑戦するときに、彼のコーチはグラント氏に「やりますか?」と問いかけた。「はい」と答えたグラント氏に、コーチは続けて「何を待っているのですか?」と質問した。これこそ、私たちが恐怖に直面したときに誰もが得る学びである。

 

”Think Like A Scientist” の日本語訳はここまで)

 

UMUコメント

世界的なベストセラー「Think Again」の著者アダム・グラントによる基調講演は、世界中の人材開発プロフェッショナルにとって大変示唆に富んだものでした。チャレンジネットワーク、心理的安全性、科学者のマインドセットを日常生活に取り入れるために、自分たちの取り組みを実験的なものと捉え、より良い選択肢はないかと常に検討して試していきたいものです。

 

 

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〈ATD23-ICE〉登壇者インタビュー動画

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