Zoomによるオンライン研修、社員に本当に定着していますか?

新しい時代のラーニングプラットフォーム、UMU(ユーム)を提供するユームテクノロジージャパンです。今回は最近急増しているZoomによるオンライン研修についてお話します。

 

Zoomを利用した企業オンライン研修に問題点がある?

ここ数カ月でオンライン研修は一気に広まりました。使用するツールも様々ですが、中でもZoomは社会現象とも言える勢いで利用者が増えています。Zoom形式による研修について考える前に、まずは研修が集合からオンラインに変わったという変化についてお話したいと思います。

1、オンライン型の研修が増えたのは良い変化である

<受講者目線で捉えると、学びの選択肢と可能性が広がった>

 研修をオンライン化せざるを得なくなったので、大慌てで何とか移行したという企業は多いかと思います。もしそれが「バタバタで大変だった!」という話だったとしたら、それはあまりにも企業目線ではないでしょうか。受講者目線ではもっと違った話として語られるかもしれません。

というのも、オンライン研修は受講者にとっても新しい体験だったはずです。従来の集合研修では大勢の中で匿名的な存在として参加し、一方向的に話を聞くだけのことも多かったかも知れません。しかしオンライン研修では、プログラムの設計次第でリモートとはいえ講師と受講者一人一人が密に繋がっているという実感を持てます。発言頻度も増し、集合研修よりも深く学びに関われたと実感している参加者はけっこういるのではないでしょうか。オンライン研修は、受講生目線で捉えると選択肢・可能性が広がったということになるのではないでしょうか。

<伝えるべきことが絞られた>

オンライン研修で長時間拘束されるというのは、なかなかしんどいものがあります。人間の集中力には限界があり、その時間は集合よりもオンラインの方が短いので、オンライン研修ではプログラムの設計を見直して再構築しなくてはなりません。学びの中身を精査し、本質を見極め、無駄を省いていくという作業です。そこに必然があったとはいえ、このように研修でしか伝えられないこと/伝えるべきことが絞られたのは望ましい変化だと思います。

<研修の受講経験そのものが、新しい働き方を理解するヒントになった>

オンライン研修は学び方だけではなく働き方、さらには人との関わり方にまで変化をもたらしました。オンライン研修では学びの獲得だけではなく今までにないコミュニケーション方法で自己発信し、人の意見に耳を傾け、そして人間関係を構築していく必要がありました。この経験は今後も加速していく新しい働き方を理解するヒントになったのではないでしょうか。

2、手段が目的化しているところは注意すべき点

 上記をふまえた上で、あらためて問題点について考えてみます。

まず今回の変化の中で、研修を提供する側は「研修をオンライン化すること」が目的となってしまい、肝心の「研修をオンライン化することによって、どのように学習効果の高いプログラムを設計するか」という議論にまで達していないところが問題だと思います。手段が目的化してしまっているのです。研修をオンライン化することは技術を覚えればすぐに可能です。しかしこれは初期設定みたいなもので、その先の「オンラインでしか成しえない良質な学びの提供」が本来の目的です。そこをきちんと念頭において、あらためてオンライン化に取り組むべきでしょう。

3、これらを必要なステップとしてポジティブに捉えよう

 デジタルツールというのは、触って、使いながらイマジネーションが広がっていきます。そして次の段階で「これを使ってどのようなことが可能なのか?」という考えに及びます。今はまさにこの段階で過渡期とも言えるでしょう。

大切なのはここで満足してしまうことではなく、デジタルツールを使ってこれまでの学びを超えるようなより高度な学びを目指すことです。やりたいことが先にありきで、それを実現するためにどのようにツールを使えばいいのかという設計の問題になってくるでしょう。あくまでツールは手段だという認識を忘れず、その先にある真の目的を見失わないようにすることが重要です。

 

オンライン研修を行う上で、研修講師が気をつけるべきことは?

1、TPACKという「学習プログラム設計」の要素

UMUが考える「学習プログラム設計」はTPACKから成り立っていますTPACKとは「テクノロジー(Technological Knowledge)」「教育学(Pedagogical Knowledge)」「コンテンツ(Content Knowledge)」のことで、この3つの組み合わせ次第で効果性の高い学習プログラムを設計できるのです。特に着目したいのが「教育学」。教育の科学とも認知科学とも言われるこの分野は学習効果を考える時には欠かせない要素で、人間の集中力の限界や適切な時間配分などの知識が含まれています。良質なコンテンツとそれを可能にするテクノロジーを知るだけでは不十分だということです。

2、「ファシリテーション」の重要性

オンラインという環境では、集合の時と違って学びを共有しているメンバーの表情や動き、心の機微が読み取りにくいという側面もあります。そしてそのような環境では、発言や発表のタイミングが難しく、何か言いたいことがあっても躊躇してしまうこともあります。そこでオンライン研修では「ファシリテーション」が必要になってきます。講師はファシリテーターとしての役割も担い、中立的な立場でメンバーの発言を促し、必要であればグランドルールを設けて個々の発言や発表を守り、尊重し合えるような環境をつくらなくてはなりません。

またオンラインでは双方向性を取り入れやすいという特徴もあります。講師の知識や経験を一方的に与えるだけの学びでは、個々が享受できる学びの総量が講師の蓄積を超えることは起こりません。しかしデジタルツールを活用することによって、講師だけではなく個々が持っている知識や経験が共有でき、学びの総量が増えるという効果を生みます。講師兼ファシリテーターはこのように学び手同士の結びつきを促すという役割も果たします。

これからの学びでは、講師が「ファシリテーション」スキルを身に付けることが必須になってくるでしょう。

3、オンラインには独自の「学習プログラム設計」と「ファシリテーション」が必要

<オンライン研修における学習プログラム設計について>

オンライン研修の「学習プログラム設計」では、その性質上いくつか注意する点があります。

オンラインによる学びでは個々のコンテンツの長さが重要になってきます。人の集中力の限界は意外と短く4分とも8分とも言われているので、オンライン研修では決して動画を長時間流しっぱなしにするようなことはせずに4分に1回、あるいは8分に1回の頻度で何らかのインタラクションを入れるのが理想です。他に適切な手法を選ぶことも大事です。テキストなのか、動画なのか、イラストなのか…。研究によると、実は動画やアニメーションはそれほど学習効果が高くないそうで、凝ったコンテンツにするよりもシンプルにスライドや音声だけを使用したほうが記憶に残りやすいそうです。

また、同期と非同期の組み合わせも注意すべき点です。オンライン研修だからといって画面越しに受講者をずっと縛っておくのはあまり良い方法とはいえません。集合研修では終日会場にいることが当たり前でも、オンライン研修で同じことをするのはかなり意味合いが変わってきます。終日にわたる研修だとしても同期で双方向的に行う部分と非同期で自己学習として行う部分を振り分け、受講者のストレスにならないプログラム設計をしましょう。

<オンライン研修におけるファシリテーションについて>

次に「ファシリテーション」についてです。オンライン研修におけるファシリテーションの重要性は既に述べましたが、さらにここでは具体的な事例とともにお話をしようと思います。

まず「顔出し」について。Zoomでは画面に顔を出すことも出さないこともできますが、ルールとして「顔出し」を指定される場合もあります。しかし、これは極めて講師側の都合で、「顔出し」にした方が学習効果が高いのかどうかというと決してそうではないのです。受講者にしてみれば、研修中ずっと顔を見られてることはストレスで、学習にも悪影響を及ぼしますよね。ファシリテーションの中でグランドルールを設ける場合は、このことも十分に考慮に入れるべきでしょう。

そしてオンラインという特性を考えたとき、システムエラーはどんなときも起こり得ると思ったほうが良いでしょう。1人の講師がたった1つのデバイスで研修を行うことはあまりにも無謀です。もしシステムがダウンしたときに研修が成立しなくなってしまうからです。このようなことも想定しオンライン研修では必ず2人以上のチーム体制で臨み、デバイスやシステムも2重3重に準備しておくと安心でしょう。

オンライン研修で双方向性を取り入れたプログラムを組んでいる企業事例

ある大企業の新人研修の好例があります。その企業では1300人近い新入社員を迎え、4月に2週間に及ぶ新入社員研修を行いました。何しろ人数が多いので新人研修時のクラス編成が重要になってきます。44人の先輩社員(チューター)がクラスを運営する形式で、それぞれのクラスのコースはチューターが設計しました。1クラスで設定されるコースも複数あり、それらを44クラス分合計すると1145コースという膨大な数になりました。

コンテンツはオリエンテーション、知識獲得部分、チューターが独自に構築する部分の3つの柱から成り、特にチューター部分に関しては、チューターの裁量により自由度の高い内容で構築され、ここでクラスごとに活発な議論が展開されました。1対1のミーティング、オンライン飲み会、Zoomを繋いだ工場見学など、新入社員の主体性を引き出しチーム力の強化にもなるようなコンテンツとなりました。

そして、毎日のスケジュールにおいては始まりと終わりだけを同期で行い、ほとんどの時間を非同期にして自己学習などに充てるという設計にしました。自己学習では課題に取り組む他に他の受講者の提出物や投稿を見ることや、それに対してのフィードバックや返信をするという時間の余裕もあったので、互いに興味を持ち合い、関係性を構築することもできたそうです。

企業としても初めての試みでしたが、今までの集合研修と変わらないコンテンツを網羅できたという実感を得られたそうです。さらには、集合では実現が難しかったチューター同士の横の繋がりもオンラインによって実現でき、予想以上に収穫のあった研修になったそうです。

新人研修、営業研修をオンラインで行っている企業が学習効果を高めるためにするべきことと、UMUの可能性

学習効果を高めるためには、学んだことをアウトプットし続け、それに対して適切なフィードバック&コーチングを受けることが大事です。オンライン化によってこれらの機会は格段に増しました。

私たちは研修をイベントではなくプロセスだと考えています。それは行動変容に至るまで継続的に行われなくてはなりません。インプットとアウトプットを繰り返し、それに対しての反応も得続けることができる。これがプロセスとしての学びです。

プロセスとしての学びでUMUは優れた性能を発揮します。フィードバック&コーチングに関してはそれが先輩や上司からのものだけではなく、UMUを利用するとAIによるフィードバック&コーチングも可能です。例えば受講者が画面に向かってロールプレイングをしたら、それをAI機能が「表情」「音声」「ジェスチャー」などの項目ごとにジャッジし、「流暢に喋れてますね」などのコメントと共にレーダーチャートを出してくれます。AIで自己練習を一通り行った後は動画機能を使います。自分のロールプレイを動画にアップして先輩からのフィードバックをもらいます。さらには録画機能を活用して、自分のロールプレイを何度も見て復習することや、他人のロールプレイを見て参考にすることもできます。講師×受講者だけではなく、受講者×受講者の関係も生まれるわけですね。

このように双方向的に反応を得ながら気軽に練習ができるのもオンラインならではと言えるでしょう。

テクノロジーは学びの可能性を広げ、私たちに選択肢を与えます。今回のドラスティックな変化を柔軟に受け止め、研修という学びの場をさらに昇華させていくことが今後の課題ではないでしょうか。

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