リスキリングとは? メリット・デメリットや導入の流れを徹底解説

最近、「リスキリング」という言葉を耳にする機会が増えています。「学び直し」を意味するリスキリングが急速に求められるようになった背景、そのメリットや事例など、解説していきます。

 

リスキリングとは? なぜ必要に? 対象となるのは誰?

リスキリングとは、Reskilling=学び直しで、経済産業省は「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、 必要なスキルを獲得する(させる)こと」としています。

 

2020年のダボス会議(世界経済フォーラムの年次総会)で、「2030年までに全世界で10億人により良い教育、スキル、仕事を提供する」という「リスキリング革命」が主要な議題にのぼるなど、世界的に注目されている学びの手法です。

日本では、2022年6月に発表された「経済財政運営と改革の基本方針2022」においてリスキリングについて言及されたことが契機となり、注目が高まりました。

 

日本の企業では、これまで主にOJTによる社内研修が行われてきました。OJTは実践を通じて、今の業務に必要な技術や能力を高めていくものです。

一方、リスキリングは、DXなどにより仕事が大幅に変わっていくなか、次代を見据えて企業が社員に新しいスキルを社員に体得してもらう学び方です。

 

日本で急速に注目を集めた理由は、DXに対応する必要性が高まったことが挙げられます。DX推進のためには新たなスキルが必要なことから、リスキリングが重要視されるようになりました。

ただ、リスキリングはデジタル技術を直接扱う職種のみに対するものではなく、DX化を通してあらゆる職種でビジネスのあり方を変える取り組みが求められます。年代や職種を問わず、あらゆる人材に必要な学びの手法です。

 

リスキリングを推進するメリット

 人材不足に対応できる

三菱総合研究所の推計によると、10年以内に、国内では事務職や生産職に数百万人規模の大幅な余剰が生じる一方、DX人材をはじめとした専門職・技術職は同程度以上の不足が予測されています。

不足するDX人材を採用することは難しく、コストもかかります。リスキリングにより、今いる人材に必要なスキルを身に付けてもらうことが、企業が成長していくためには必要です。

参考:三菱総合研究所『目指すべきポストコロナ社会への提言』

https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/ecooutlook/2020/dia6ou000002ef04-att/nr20201019pec_all.pdf

 

業務を効率化できる

デジタルスキルを身に付けた人材を育成することで、DX化が進み、業務効率化につながります。例えば、DX化によりこれまで検討や調査にかかっていた時間を短縮できます。

 

エンゲージメント向上につながる

リスキリング推進により従業員に学びの機会を提供することで、満足度が向上し、エンゲージメントの向上につながります。エンゲージメントが上がれば生産性も高まるでしょう。

 

自律型人材を育成できる

企業がリスキリングを推進することで、社内に自ら新しいスキルを勉強しようという文化が生じます。自発的に学び、考えられる自律型人材が増え、新たな事業の展開にもつながるでしょう。

 

新しいアイデアが生まれる

リスキリングでスキルや知識をアップデートすることにより、新たなアイデアが生まれやすくなります。新規事業の立ち上げや事業拡大につながり、変化の激しい時代にも対応できるようになります。

 

企業の業務や文化に精通した人材が新規事業に取り組める

新規事業を立ち上げるとき、外部人材や新規採用した人材だけで行うと、その事業においては企業の文化に合わなかったり、他業務との連携が難しかったりする場合があります。企業の業務や文化に精通した人材をリスキリングすることで、自社の強みを活かしてスムーズに事業展開することができるでしょう。

 

リスキリングを推進するデメリット

コストがかかる

リスキリングを行うためには、OJTなどと比べて時間と手間がかかります。どのようなスキルを習得するのか、誰にリスキリングを行うのか、アウトソーシングを行うかなど、事前に検討することが多々あります。研修や資格取得などの費用も必要です。

 

転職リスクがある

リスキリングによって新たなスキルを習得した従業員は、よりスキルを活かせる職場や待遇の良い職場への転職を考える可能性があります。優秀な人材の流出を防ぐためには、適切な対応が必要です。スキルを活かせる職種への異動や待遇の見直しなどを、随時行っていくことが求められます。

 

グローバルにおけるリスキリング取り組み事例

 世界的に広がっているリスキリングのなかでも、特に進んでいる3社についてご紹介します。

 

・Walmart Inc.

2020年に10億ドルを投資して「ワークフォース2020」を行い、10万人をリスキリング。体系化したモデルをつくり、店舗従業員に、小売りのDX化に対応できるスキルを習得させています。

 

・AT&T Inc.

これからの業務に必要となる技術職81%を、社内で育成し、充足させることに成功しました。リスキリングプログラムに参加した従業員は、そうでない従業員と比べ、離職率も低く社内評価も高い結果が出ています。リスキリングは急速な変化を続ける通信業界で、必要なスキルを保有する人材を同社が確保し続ける基盤となっています。

 

・AMAZON

2019年7月から2025年までに約7億ドルを投資し、10万人にリスキリングを行うことを予定しています。データサイエンティストやビジネスアナリストなど、高度なスキルをもつ人材を育成するためにリスキリングを実施しています。

 

リスキリング実施準備において欠かせないポイント3選

企業は、リスキリングを行う前に、準備が必要です。実施において欠かせないポイントを3つご紹介します。 

 

自社のゴールから逆算して課題を明確にする

ゴールを決めたうえで、不足しているものを分析し、リスキリングを行うことが大切です。必要でないスキルをリスキリングしても意味がありません。まずは企業の戦略とゴールを明確にし、自社の課題を見つけることから始めましょう。

 

従業員のスキルを可視化する

リスキリングを行う前に、まずは従業員の既存スキルの可視化が大切です。従業員それぞれが、どのようなスキルを保有し、どのような仕事に適性があるのかを確認したうえで、今後身につけるべきスキルを決定します。可視化することで、従業員自身も自分のスキルと習得すべきスキルのギャップを知り、キャッチアップできます。また、スキルマップやスキルデータベースを構築し、従業員のスキルを管理・共有することで、従業員を最適な仕事へ配置することができます。

 

学び続けるためのマインドセットと仕組みをつくる

企業がリスキリングのための研修プログラムを提供するだけではなく、その後も自発的に学び続けるLearnabilityを備えていくことが、個人と企業の成長につながります。そのために、まずは従業員の学びのマインドを変えていくことが必要です。研修プログラムを導入するだけでなく、学び続けたくなるような仕組みをつくることが求められます。

 

リスキリングの注意点2つ

企業が学習プログラムを用意するだけでは、従業員の継続した学びにつながりません。リスキリングを実施する際の注意点を2つご紹介します。 

 

学習環境を確保する

リスキリングは、働きながら学習することを想定しているため、業務の一環として就業時間内に組み込むなど、従業員の負担にならない学習時間の確保が必要です。また、離脱させないためには、教育担当者が伴走することも大切です。

学習しやすいアプリケーションや、従業員個々の理解度や獲得スキルが確認できる学習管理システムを導入すると、取り組みやすくなるでしょう。

 

スキル活用の場を提供する

新たなスキル習得を促しても、そのスキルを活用できる環境がなければ、なかなか取り組もうと思えません。スキルを活かせる業務が社内にない場合は、今後想定している事業をトライアルで実践するなど、早い段階で経験を積むことが大切です。

 

テクノロジーがリスキリングを加速! UMUでできるリスキリング支援

 UMUは、リスキリングに必要なプラットフォームの要件である、以下の2つを実現します。

 

①新分野での役割定義スキルを可視化を可能にする
②学習パスを定義し、日々の業務の中で学ぶことができる

ワンプラットフォームで、集合研修・オンライン研修・eラーニングなどのオンライン個別学習、これら全てを組み合わせながら、日々の業務の中に学習を組み込めます。
研修を一度きりのイベントで終わらせないことができるため、実務に活かせる学びの効果性を高めます。

 

〈活用の一例〉

 

・研修後、事後課題の案内を通知
・学んだことを踏まえて、今後のアクションプランを考え提出
・実際にアクションした振り返りを提出
・振り返りに対して講師からのフィードバック、他の学習者からのフォードバック

 

他の学習者がアクションした結果のコメントを見て学ぶことができ、お互いにフィードバックをしあうことで、学び合う文化の醸成にも繋がります。

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